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想定外の「トランプラリー相場」とどう付き合っていくべきか?(第2回)  含み損を抱えた「塩漬け株」は「貸株サービス」の利用で株価回復を待て!



前回のコラムで、予想外のトランプ・ラリー相場がなぜ起きたのかという経緯、そして金融市場全体にどのような影響を及ぼし、結果的に日本の個人投資家にとって好ましい展開を生んできたのかについて説明をした。



第2回目の本コラムでは、好調な投資環境はしばらく続くという仮定のもと、トランプ相場と相性の良い投資対象について考えてみたい。





≪画像元:http://bylines.news.yahoo.co.jp/usuimafumi/20160301-00054796/≫




トランプ相場と相性の良い投資対象について


すでに述べた通り、米大統領選のトランプ氏勝利決定の翌日から、メガバンクを含む金融業界や素材関連銘柄、建設機械業界の株価が、日経平均株価よりパフォーマンスがよいことからも、当面は投資妙味があると考えられる



トランプ次期大統領は、金融規制改革法(リーマンショック後、オバマ政権下で2010年に施行されたドッド・プランク法)を廃止すことを公約に掲げており、大手金融機関の収益機会が拡大することからが業績の改善が期待される



また、米国長期金利の上昇から貸し出し業務における利ザヤも拡大するだろう



これらの恩恵は、米国の大手銀行はもちろんのこと国際業務を手掛ける日本のメガバンクも享受できる。



インフラ整備に建設資材・素材への需要が拡大と予想




さらに、トランプ氏はインフラ整備として10年間で総額約1兆ドル(およそ113兆円)の投資計画を掲げていたことから、建機やセメント・銅をはじめとする建設資材・素材への需要が拡大すると予想される



日本の建機メーカーや素材関連企業もこの大規模インフラ投資計画の恩恵を受けるだろう







為替市場でも公約通りなら「ドル高円安」が継続


一方、為替市場においても、トランプ政権の公約通りの政策が打ち出されれば、「ドル高円安」がしばらく継続する可能性が高いと筆者はみている



実際、トランプ氏は、米国本国投資法(Homeland Investment Act)という2004年にブッシュ政権下で成立した法人税減税政策と同一の政策の実施を検討しているからだ。



本国投資法の施行は、米国企業が海外の資金を国内に戻す際の税率を大幅に引き下げる(現行の30%から10%へ!?)ことで、海外留保金を減らし国内投資を活性化させる狙いがある



現時点で、米国企業の海外留保金は2兆ドル以上と言われており、これの一部でも米国国内へ還流されることになれば、大規模な経済刺激策となるだろう。



ドル高要因にはなるものの、米国内では物価上昇・賃金上昇となり易い政策と考えられる



大手自動車株や機械株を保有中の投資家はしばらく継続保有で


足もとの円相場は1ドル円112円台半ば(一時は1ドル114円に迫る水準までドル高円安が進行した)であり、大統領選挙当日の東京市場で付けた1ドル101円台からみると、すでに11円以上のドル高円安が進行した。



「今後もさらなるドル高円安が進むのか、そろそろ反転して円高に戻るのでは? あるいは、このまま2016年初の1ドル120円水準まで円が下落していくのか?」については専門家でも見方が分かれるところだ



しかしながら、米国長期金利が上昇中(トランプ大統領決定からわずか1週間程の間に、1.7%から2.3%へ急上昇)である。



FRBによる政策金利の引き上げ(12月のFOMC会合では利上げがほぼ確実視されている)も継続することを踏まえると、少なくとも1ドル100円前後へ短期間で戻ってしまうような円高ドル安局面は起きないのでは、と筆者はみている



よって、円安の追い風を受けやすい自動車や機械をはじめとする大手輸出関連企業銘柄の株価はトランプ・ラリー相場で上昇を続けている



大手自動車株や機械株を保有されている投資家は今しばらく継続保有でいいだろう。







心配の種は…


もちろん心配の種はある。



日本を含む海外から輸入する自動車や関連部品に対し高率の関税を課す方針を発言




米国第一主義の保護貿易政策スタンスを主張するトランプ氏が、日本を含む海外から輸入する自動車や関連部品に対し高率の関税を課す方針を繰り返し発言(NAFTA北米自由貿易協定の見直しを含む)していたことだ。



日本や中国に自国通貨を安く誘導していると批判




また、大統領選挙中に、日本や中国は為替操作を行っており、自国通貨を不当に安く誘導していると繰り返し批判していた。



新政権で起用される財務長官から、ドル高けん制(すなわち円安けん制)発言が出てくることには警戒が必要だ。



新興国から投資資金が流出していることも不安要素




さらには、米国長期金利上昇により新興国から投資資金が流出していることも不安要素であり、一部の新興国で経済危機が起き、世界的なリスクオフ相場へ発展していく可能性には注意しておきたい



OPECの総会での減産合意にも大きく影響される




また、トランプ次期政権の政策とは直接関係はないが、11月30日にウィーンで開催されるOPEC(石油輸出国機構)の総会で、加盟国の原油生産のおける減産合意が決定されるかどうかが、原油価格相場に大きく影響を及ぼすことにも注意したい。



もしも減産合意がなされなかった場合、原油価格が急落して、産油国初のリスクオフ相場が起きるかもしれない



大統領選挙の勝利宣言演説以降、トランプ氏の発言はおおむね穏当で過激な発言は影を潜めている。



同氏が、11月22日に米国がTPPから離脱することを明言したことは残念だったが、大統領就任後は公約で掲げた過激な政策から現実路線へ舵をきっていくことを期待したい



トランプ次期大統領が、米国議会選挙において上下両院の過半数を獲得した共和党の主流派と協調体制を築いてゆけるかどうかも要注目である。



塩漬け株を保有している方にお勧めのサービス




最後に、個別株投資でいまだ含み損失のある塩漬け株を保有している方に利用をお勧めしたいサービスをお伝えしよう。



それは、『貸株サービス』だ。



ベテランの個人投資家なら貸株サービスを上手に利用している方も多いと思われるが、投資経験の浅い皆さんには是非このサービスを知ってもらい効果的に利用してもらいたい。



株式を保有している間で得られる利益として、配当や株主優待はよく知られているが、「保有株式を証券会社へ貸し出すことで金利収入(貸株料)を受け取れる貸株サービス」のことは意外に知られていない。



保有株を貸し出すことで、証券会社や貸す株式銘柄によって差はあるが、0.1%~18%程度の貸株料が受け取れる



誰もが知っている大手企業で売買高の多い(流動性が高い)銘柄のほとんどは、貸株料は0.1%と決して高くないが、日本の10年国債利回り0.03%や個人向け国債10年物利回り0.05%、メガバンクの定期預金(期間1年~10年)金利0.01%などと比べるとはるかに有利な金利水準であろう。



手続きをすれば配当金や株主優待も受け取れる




ちなみに、大手ネット証券におけるトヨタ自動車と三菱商事の貸株料はともに年率0.1%だ。



もちろん、東証マザース等、新興市場に上場する銘柄であれば、貸株料が1%を超えるものも多い。



尚、保有する株式で貸株サービスを利用していても、しっかりと手続きをすれば配当金や株主優待も受け取れる。



貸株サービスは、信用取引とは違うので決してリスクを高める取引ではなく、株式投資の初心者も積極的に利用されることをお勧めする



詳しくは、楽天証券の貸株サービスの関連サイトを参照して欲しい。



塩漬け株を少しでも有効活用できるサービスであるし、もちろん利益の出ている保有株でも利用可能だ。



貸株サービスの注意点






貸株サービスのデメリットといえるものはほとんどないが、以下の2点は注意が必要だ。



配当金は証券会社を経由して支払われる




配当金は、企業から直接支払われるのではなく、証券会社を経由した「配当金相当額」として支払われる。



この場合、配当金相当額は配当所得ではなく雑所得として扱われるので、特定口座で取引していても確定申告が必要な場合がある。



NISAで保有している株式はサービスを利用できない




NISA(少額投資非課税口座)で保有している株式は、貸株サービスを利用することができない。



想定外のトランプ・ラリー相場の到来で、日本の個人投資家の損益が回復することを願ってやまない。



しかし、保有している個別株銘柄でいまだ含み損失を抱えている投資家の皆さんには、貸株サービスを利用して少しでも金利収入を得ながら、来年春頃までのトランプ相場の継続を期待しよう



悪乗りせず株高・円安を享受しよう


予期せず起きたトランプ・ラリーは、2012年末から始まったアベノミクス相場の初期以来の大相場になったことは間違いない。



過度に悪乗りせず、リスクを取れる範囲で個人投資家はトランプノミクスによる株高・円安を享受したいものだ



世界的な著名投資家であるジム・ロジャーズ氏が、米大統領選でトランプ氏勝利の後、間もなく日本株を運用先として組み入れたことは注目に値するし、勇気づけられる。(執筆者:完山 芳男)



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