みずほフィナンシャルグループがみずほ証券を通じて、楽天証券に出資する資本業務提携について合意したと発表しました。
出資額は800億円規模(株式の20%取得)とし、持ち分法適用会社とする動きです。
資本業務提携で、新たな顧客獲得を目指すとしていますが、今後楽天証券は具体的にどのようなことが考えられるでしょうか。
ここでは、楽天証券とみずほ証券の資本業務提携により、今後の楽天証券の動向について検証しています。
今回の業務提携の内容
楽天グループの連結子会社の「楽天証券ホールディングス」とみずほフィナンシャルグループはみずほ証券を通じて、2022年11月1日に楽天証券の普通株式のうち19.99%を800億円で、みずほ証券に譲渡することになります。
今後どうなる楽天証券×みずほ証券
「楽天経済圏とオンライン証券取引の良質なプラットフォームと、グループの商品力、銀行、信託・証連携を活用した総合資産コンサルティング力を掛け合わせた展開をする」としつつも、詳細は今後検討していくとしています。
今回発表されている範囲で、今後の楽天証券×みずほ証券の展開をまとめると3点挙げられます。
1. 楽天証券の取扱商品が増える
みずほ商品が取り扱っている、
- 引受・組成を行うIPO/PO株式や
- プライマー商品/売出外債などの債券を
楽天証券に販売委託するとのことです。
これにより、取り扱い商材の少ないことが課題だった楽天証券の商品選択が、充実していくことになります。
2. 楽天証券で総合資産のコンサルティングを受けられる
楽天証券で、資産形成や資産運用などのコンサルティングサービスを受けることができるようになるとのこと。
楽天証券ユーザーといえば、手数料の安さやユーザーインターフェースの使いやすさから、比較的個人で粛々と資産運用していそうなイメージがあります。
金融リテラシーの高そうな既存のユーザーが、改めて資産形成や資産運用のコンサルティングが必要なのか、かなり不明瞭です。
サービス手数料次第になりそうですが、今後の展開としては、注目の点といえそうです。
3. ユーザー層を広げる可能性
ネット証券は窓口や店舗がない分、手数料が安いというメリットでネットに強い若年層、ビジネス層の囲い込みに成功しています。
逆にみずほグループは、窓口という対面式により、高齢者やネットサービスを使わない層を多く抱えていることで、双方のユーザー層の流し込みが予想できます。
みずほ証券、みずほ銀行のユーザーに対して楽天証券の取扱商品・サービスを紹介し、個人の金融資産形成に貢献すると発表していますが、オンラインでユーザーが能動的に資産運用をしてもらうという意図だとすると、なかなかハードルが高そうです。
カスタマーサポートなどは窓口対応のほうが利用しやすいため、今後楽天証券のお問い合わせをみずほ窓口で対応してもらえるということもありえるかもしれません。
大手ファイナンシャルグループとオンライン証券の動き
三井住友フィナンシャルグループが、オンライン証券として最大手のSBIホールディングスに出資を発表し、大手金融機関とネット証券の連携が加速しています。
最近は、窓口ではなくオンラインで手数料などを抑えた証券運用がトレンドで、かつiDeCoや積立Nisaなどに注目が集まっています。
これから投資を検討している、個人の若年層獲得が過熱することが予想されます。
みずほグループに対する不安
今後、みずほグループから役員が出向するという話もありますが、今年度に入ってから大規模なシステムトラブルで世間を騒がせたみずほグループに対して不安もあります。
昨今は、銀行金利では、大手メガバンクよりもネットバンキングの方が高く、かつスマホ決済との親和性からあえて、メガバンクと組む意味が見えにくい部分が多いです。
楽天証券の人気の理由として、オンラインの手軽さ、楽天経済圏の連携などがあります。
楽天金融サービスとの同サービス内連携は完成度が高く、みずほ証券を介入させたときの取扱商品の拡大以外にもメリットが出てくると、楽天証券既存ユーザーとしては安心です。
800億円という資金調達という点で、楽天グループの資金繰りの観点からしかたがないと思う部分もありますが、楽天証券のアップデートに期待したいです。(執筆者: 太田 玲世)
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