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駐車場の消費税は原則課税|非課税になるケースをわかりやすく解説!【税理士監修】


駐車場の消費税は原則課税|非課税になるケースをわかりやすく解説!【税理士監修】

駐車場の消費税は原則課税だが、非課税になるケースもある。判断基準が複雑なため、税務処理で不備が起きないよう正しく理解しよう。

本コラムでは、駐車場の消費税が課税になるケースと非課税になるケースついて詳しく解説する。

基本的には駐車場代収入は消費税の課税対象

基本的に、駐車場代収入は消費税の課税対象である。土地をそのままの状態で貸し付ける場合、原則消費税はかからない。しかし「駐車場として車両を管理している」「アスファルトや砂利、コンクリートなどで地面を整備している」「フェンスを設置している」など土地を整備して施設として利用すると消費税の対象となる。つまり整備されている土地は施設と見なされ、課税対象になるのだ。

ただし、単に土地の貸し付けであっても契約期間が1ヵ月未満の場合は、消費税がかかってしまう。実質賃貸期間ではなく、形式上の期間が判断基準となることに注意が必要だ。

<消費税が課税される可能性のある主なケース>
・土地を整備して施設として利用しているケース
・契約期間が1ヵ月未満の月極駐車場のケース
・車両の出し入れを管理する係員がいるケース
・照明設備や防犯カメラを設置しているケース
・料金徴収機を設置しているケース

上記の消費税が課税される可能性のあるケースに当てはらず、以下に当てはまる場合は消費税が非課税になる可能性がある。

<消費税が非課税になる可能性のある主なケース>
・土地の貸し付けのみで契約期間が1ヶ月以上のケース
・白線のみで区画されただけの簡易的な駐車場のケース
・管理人不在で利用者自身が駐車するケース

なお、駐車場代収入が消費税の課税対象となるかどうかの判断基準が難しく状況により異なるため、判断に迷う場合は税務署などに確認するのが賢明だ。また、消費税の課税対象となる場合は事業税の課税対象にもなるため注意しよう。

課税・非課税の判断基準

「空き家や相続した土地を所有しているが、活用せず放置している」という人もいるかもしれない。ここでは、以下の3つのケースに分けて消費税が課税になるケースと非課税になるケースを紹介していく。

<課税・非課税の早見表>

消費税が課税になるケース消費税が非課税になるケース
土地として貸し出し・土地を整備して施設として利用する
・契約期間が1ヵ月未満の場合
・単に土地の貸し付けの場合
・舗装をしておらず、区画を設けるためのロープも張っていないような更地
駐車場として貸し出し・舗装が行われていたり、駐車区画が設けられていたりする場合
・駐車場以外でも自転車駐輪場や資材置き場として利用している場合
・更地を駐車場として貸し出す場合
・更地だったものを賃借人があとで舗装した場合
マンション・アパートの駐車場として貸し出し・原則として課税対象・分譲マンションで駐車場代の支払い先が管理組合の場合
・区分所有者1戸につき1台以上の駐車スペースが確保されている(自動車を所有していなくても割当すること)
・駐車場代が家賃に含まれている
・マンション敷地内に駐車場を確保している

<土地として貸し出し>
土地として貸し出す場合の課税ケースと非課税ケースを解説する前に、まずは更地について説明する。

更地とは、建物や構築物等の定着物がなく、抵当権や借地権、地上権などの使用等を成約する権利が設定されていない土地のことを指す。例えば、住宅が建てられる土地だが建物を建てず、農地や山林などが手入れされていない場合でも更地には該当しない。このことを踏まえたうえで以下に解説していく。

・課税ケース
上述したように「土地を駐車場として利用し、車両を管理している」「アスファルトやコンクリートなどで地面を整備している」「フェンスを設置している」など土地を整備して施設として利用すると消費税の対象となる。野球場やテニスコートとして利用している場合も同様に消費税がかかる。

また単に土地の貸し付けであっても契約期間が1ヵ月未満の場合は消費税の課税対象だ。花見や花火大会などで一時的(1ヵ月未満)に貸し出す場合などが例に挙げられる。

・非課税ケース
単に土地の貸し付けの場合は、非課税となる。そのため舗装をしておらず、区画を設けるためのロープも張っていないような更地を貸す場合は消費税がかからない

<駐車場として貸し出し>

・課税ケース
駐車場として貸し出す場合は、基本的に課税対象になる。舗装が行われていたり、駐車区画が設けられていたりする土地は施設と見なされるからだ。

また駐車場用途に限らず、自転車駐輪場や資材置き場として利用している場合も、消費税の課税対象となる。ただし消費税がかかるといっても、課税売上高が年間1,000万円以下のような個人の場合、納税義務はない。

・非課税ケース
舗装が行われず、駐車区画も設けられていない更地を駐車場として貸し出す場合は、青空駐車場と見なされ消費税はかからない。また整備されている駐車場でも使用されていなければ非課税だ。

課税ケースで説明した自転車駐輪場や資材置き場が貸し付け時点で更地の場合、賃借人があとで舗装したとしても消費税は非課税となる。

<マンション・アパートの駐車場として貸し出し>

・課税ケース
マンション・アパートの駐車場として貸し出す場合は、原則として消費税の課税対象となる。

・非課税ケース
例外として分譲マンションの場合、駐車場代の支払い先が管理組合であれば非課税となるケースもある。なぜならマンションの管理組合と区分所有者との間での取引は、営業に該当せず、事業の対価と判断されないからだ。

また賃貸マンション・アパートの駐車場として貸し出す場合、以下の要件をすべて満たすと消費税がかからない。

・区分所有者1戸につき1台以上の駐車スペースが確保されている(自動車を所有していなくても割当すること)
・駐車場代が家賃に含まれている
・マンション敷地内に駐車場を確保している

区分所有者1戸につき必ず1台分の駐車スペースの確保が必要なため、自動車を所有していないなどの理由で駐車スペースが余ったとしても他の区分所有者に貸し出すことはできない。仮に他の区分所有者に2台以上の駐車スペースを貸し出した場合は、全区分所有者に駐車場が確保されていない状態となり、消費税がかかってしまう。

敷金、礼金、仲介手数料などは課税か非課税か

駐車場付きの賃貸マンション・アパートを借りる際は、敷金や礼金、仲介手数料などのさまざまな初期費用がかかるが、これらは課税されるものと非課税となるものに分かれる。

<課税・非課税の早見表>

課税対象・駐車場のみ借りる場合の礼金
・仲介手数料
非課税対象・敷金
・礼金
・管理費・共益費

・敷金
家賃の未払いや退去時の原状回復費用に備えて、大家さんや管理会社に預ける費用を指す。あくまでも退去時に返却される預託金であるため、消費税はかからない。

・礼金
部屋を貸してくれたお礼に大家さんへ支払われる謝礼を指す。敷金と同様に消費税はかからないが、賃貸物件とは別に駐車場を借りる場合は居住目的での契約ではないため、課税対象となる。つまり月極駐車場を借りる際は礼金に消費税がかかる。

・毎月支払う管理費・共益費
エントランスや廊下、エレベーターなどの共有部分を維持・管理するための費用であり、家賃に含まれるため消費税はかからない。

・仲介手数料
賃貸物件の紹介や契約手続きなどをしてくれる不動産会社には、仲介手数料を支払うことになるが、これは居住用の場合でも消費税がかかる。

<注意点>
消費税が課税か非課税かは状況によって判断が異なるため、まずは税務署などに確認したほうがいいだろう。

また、消費税の税率は契約締結時点の税率が適用されるケースが多い傾向にある。現在の消費税率は10%だ。消費税率10%で契約締結した場合、仮に、今後増税になったとしても支払う消費税は10%のままである。

詳細は後述するが、賃貸借契約書に「消費税率が変更された場合は変更後の税率とする」といった内容の記載がある場合もあるため、注意したい。

駐車場代をアップできるタイミング

貸主として、駐車場代をアップできるタイミングは主に3つある。

・消費税増税のタイミング
・駐車場の設備やサービスを向上させたタイミング
・周辺の駐車場代が上がったタイミング

・消費税増税のタイミング
まずは消費税が引き上がるときだ。2019年10月1日に消費税率が8%から10%に上がった際には、駐車場の貸主が解約者から増税分の税金を預かって納付していた。

駐車場代を税込金額で契約している状態において消費税が増税する場合、駐車場の貸主は契約者に増税分の値上げ請求をする場合は少なくない。しかし値上げ請求をする場合は、駐車場の賃貸借契約書へ次の項目を記載しておく必要がある。

・消費税率が変更した場合は変更後の税率で計算すること
・公租公課の変更などに伴い、賃料の増額請求がなされること

上記項目が記載されていないのにも関わらず、勝手に値上げを請求した場合は認められないこともあるので、注意が必要だ。

・駐車場の設備やサービスを向上させたタイミング
駐車場の設備やサービスを改善させるためにかかった費用を駐車場代に反映させることで値上げすることは可能だ。具体的には、以下のようなケースが考えられる。

・防犯カメラや照明設備を設置したケース
・駐車場の舗装や修繕を行ったケース
・洗車サービスや電気自動車充電設備を追加したケース

・周辺の駐車場代が上がったタイミング
現在の駐車場代よりも周辺相場が高い場合、同等の額の駐車場料金に引き上げることも可能である。ただし、きちんと周辺相場を調べ、かつ客観的な根拠がなければ値上げを行うのは難しいだろう。

ここまで3つの値上げタイミングを紹介したが、以下の点には注意する必要がある。

<注意点>
・駐車場の賃貸借契約書に上記のケースで値上げするといった条件を明記しておく
・値上げする前に必ず契約者に通知する
・周辺の駐車場と比較して、同等の設備やサービスであれば、相応の額に値上げする

駐車場の消費税に関するQ&A

Q.駐車場代に消費税はかかるか?

基本的に駐車場代は消費税がかかる。具体的には、以下のように土地を整備し施設として利用していれば消費税の課税対象だ。

  • 駐車場や駐輪場として管理している
  • 砂利やコンクリートで整備している
  • テニスコートやプールなどを建てて利用している など

一方で単なる土地の貸し付けの場合、契約期間が1ヵ月以上であれば非課税となる。舗装や整備をしていない土地にも消費税はかからない。また整備されている駐車場の場合でも使用されていなければ非課税だ。

Q.駐車場に消費税がかかるのはなぜ?

駐車場など施設の利用に伴って土地が利用される場合は、消費税がかかると定められているからだ。例えば野球場やプール、テニスコートなどに隣接した駐車場がある場合、その駐車場の利用が主であり、土地の貸し付けは施設の利用と関連しているものにすぎない。

Q.駐車場の消費税は何%か?

駐車場の消費税は10%(消費税率7.8%と地方消費税率2.2%の合計)である。消費税の計算式は、以下のとおりだ。

  • 消費税=課税取引額×税率10%

基本的に単なる土地の貸し付けは非課税だが、車両や自転車の管理を行ったり月極駐車場として利用するために整備を施したりした場合は課税対象となる。

宮路 幸人
税務に関する記述の監修

宮路 幸人
税理士・CFP・宅建士・マンション管理士

会計事務所での長い勤務経験で培った豊富な実務知識により、会計処理・税務処理および経営や税務に関する相談など、さまざまな問題に対応。宅地建物取引士、マンション管理士等の資格を保有し、不動産と相続関連に強みを発揮する。特に相続関連では、税務面だけでなく、家族の幸せを重視したトータルでの提案を行っており、軽いフットワークでお客さまのニーズに応えることをモットーとする。離島支援活動にも積極的。
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