CRGHD Research Memo(7):事業構造転換の影響をおおむね吸収。製造関連事業は大幅増益を達成(2)
■CRGホールディングス<7041>の業績動向
3. トピックス
2026年9月期中間期の最大のトピックスは、既存借入金のリファイナンスを目的とした総額2,750百万円のシンジケートローンの組成である。借入期間は2026年3月31日から2031年3月31日までの5年間であり、契約形態はタームローン、返済方法は元金均等返済である。アレンジャーは(株)三井住友銀行が務め、担保を設定しない無担保契約として組成された。参加金融機関には、三井住友銀行、SBI新生銀行<8303>、(株)りそな銀行、(株)きらぼし銀行及び(株)商工組合中央金庫が名を連ねている。同ローンの目的は、既存借入金の一本化による財務効率の向上と、中長期的な資金調達基盤の安定化である。契約には、連結純資産を一定水準以上に維持することや、連続した経常損失の回避、一定額以上の現預金の維持といった財務制限条項が設定されている。また、監査法人との協議の結果、シンジケートローン組成にかかる手数料64百万円については、借入期間にわたって按分するのではなく、第2四半期に一括計上する会計処理へと変更された。同社によると、この影響により2026年9月期中間期の経常利益は押し下げられたものの、財政状態や中長期的な業績見通しへの重要な影響はないとのことである。今回のリファイナンスは、短期借入中心の調達構造から長期安定資金への転換を意味するものであり、将来的な成長投資を見据えた財務基盤の強化策として評価できる。特に流動比率の大幅な改善は、金融面における不確実性の低減に寄与している。
(1) ミライル
ミライルでは、従来の派遣中心の事業モデルから収益性の高い請負業務へのシフトを推進している。2026年9月期中間期においては、請負売上高が前年同期比67.1%増と大きく伸長し、外部顧客売上高に占める請負比率も7.8%から13.4%へ上昇した。この取り組みが寄与し、HR関連事業のセグメント利益は前年同期の45百万円から50百万円へと増加している。単なる人員供給型ビジネスから業務受託型ビジネスへの転換を進めることで、利益率の向上と顧客基盤の拡大を同時に実現している点が特徴である。また、IT人材育成プログラム「みらパス」の推進も図っている。これは、コールセンター業務に従事するスタッフに対してITエンジニア教育を実施し、学習を継続しながら現場稼働を行う仕組みである。事業の立ち上げ初期段階にあるため卒業生数はまだ限定的であるものの、育成後にITエンジニアとして就業した人材については単価の引き上げに成功しており、今後は育成人数の拡大を目指していく方針である。この取り組みは、人材単価の向上とIT分野への事業領域拡大を狙った施策であり、人材不足が続くIT市場へのアプローチを通じて、中長期的な収益機会の拡大が期待される。
(2) プロテクス
プロテクスでは、東金工場の本格稼働が業績拡大に寄与している。2024年9月に竣工した東金工場は2025年9月期から稼働を開始し、2026年9月期に入って生産規模の拡大が進んでいる。2026年9月期中間期においては、既存の請負拠点と東金工場の安定稼働が収益性向上に大きく寄与し、製造関連事業の利益は141百万円と前年同期比221.0%の大幅増益となった。2027年9月期以降も生産量が前期を上回る見通しで、今後も安定した成長が期待される。製造請負事業は稼働率の向上による利益レバレッジ効果が大きいため、東金工場の生産能力の拡大が継続すれば、グループ全体の利益成長をけん引する可能性が高い。
(3) パレット
パレットでは、企業における障がい者雇用ニーズの拡大に対応するため、サテライトオフィスを積極的に展開している。2026年9月期中間期には、川越、つくば、名古屋に新たなサテライトオフィスを開設した。各拠点には障がい特性への理解を有する専門職員が常駐しており、メンタルケアを含めた定着支援を提供している。単なる雇用機会の創出にとどまらず、就業継続までを支援する体制を構築している点が特徴である。2026年9月期下半期には広島県及び岡山県での新規開設も予定しており、全国規模でのサービス展開が進む見込みである。同社によると新規拠点は比較的短期間で立ち上がる傾向にあり、出店準備の段階から案件獲得活動を進めているため、開設から数ヶ月程度での収益貢献が期待できるとしている。したがって、下半期に開設を予定している新規拠点についても、早期の業績寄与が見込まれる。
(4) オシエテ
オシエテでは、インバウンド需要の拡大を背景に、都心部を中心とした宿泊施設運営受託の強化に注力している。運営サポート体制の構築を進め、多言語での問い合わせ対応から、滞在中のサポート、清掃及び品質の管理までを包括的に提供している。こうした総合的な運営支援により、施設オーナーの管理負担軽減とゲストの満足度向上を両立させている。その結果、運営受託物件数は順調に伸びており、管理部屋数も着実に増加している。今後は、東京都内を中心とした運営受託施設のさらなる獲得に加え、デベロッパーや投資家向けの収益最大化支援、無人運営モデルの標準化、グローバル企業向けの通訳サービス及び出張支援の展開を進める方針である。宿泊施設における運営効率化へのニーズが高まるなか、運営代行サービスの付加価値向上が差別化のカギとなる可能性があり、今後の事業成長に向けた基盤整備が着実に進んでいる。
(5) AI活用
同社はAIエージェント活用による業務効率化を目的として、2026年1月から9月までのロードマップを策定・公表した。AI技術の急速な進化を受け、当期中の本格活用を目指して段階的な導入を推進している。第1フェーズでは、全従業員向けの研修や活用範囲の検討を通じて基礎環境の整備を実施した。続く第2フェーズでは、特定業務への試験導入を行い、業務効率化や品質向上に対する効果検証を進めている。そして第3フェーズでは、複数業務への展開やナレッジ共有を通じて定着化を図り、次期ロードマップの策定へとつなげる計画である。足元ではロードマップの第2フェーズに位置しており、一部業務においては既にAIエージェント化が始まっている。これらの取り組みによって業務効率化の成果が出始めており、今後はさらに適用範囲を広げ、全社的な展開を進めていく方針である。同社においてAI活用は単なるコスト削減策ではなく、事業拡大を支える生産性向上施策として位置付けられている。また、将来的にはAIを活用した新たなサービス提供モデルの構築も視野に入れており、既存事業とのシナジー創出が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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