CRGHD Research Memo(8):リファイナンス費用で進捗が遅れるも下半期の挽回を見込み通期予想は据え置き
■CRGホールディングス<7041>の今後の見通し
1. 2026年9月期の業績見通し
2026年9月期の連結業績は、売上高が前期比9.6%増の18,000百万円、営業利益が同7.4%増の300百万円、経常利益が同18.6%増の250百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同34.8%減の100百万円を見込んでいる。売上高、営業利益、経常利益は着実な成長を見込む一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は減少する見通しである。これは、2025年9月期に計上された一過性の特別利益である関係会社株式売却益197百万円の反動減を主因としており、この特別要因を除けば、本業における実質的な収益力は向上する計画である。
各サービスの事業戦略については、基本的にこれまで述べた方向性を踏襲する。常用型人材派遣の強化を軸に、コールセンター業務から製造業やIT分野への配置転換を行うことで、経営資源の最適配分を推進し、さらにグローバル人材や技能実習生など外国人材の活用も視野に入れる。派遣から請負化への転換も、引き続き推進する方針である。主力のコールセンター向け人材派遣については、足元では比較的底堅く推移しており、安定的な需要を確保している。ただし、従来のように待っていれば依頼が舞い込む営業スタイルは通用しなくなっており、今後はプッシュ型営業への転換が不可欠である。そのため、新規顧客獲得に特化した専門部隊を社内に組織し、常用型派遣の付加価値を強く訴求することで、需要の回復シナリオを描いていく方針である。
製造業を担うプロテクスについては、東金工場が既に損益分岐点を超えており、今後は品質を高めながらさらなる生産量の向上を図る。パレットが展開する障がい者雇用支援事業についても、法定雇用率の引き上げを追い風に、課題を抱える顧客企業を着実に取り込んでいく考えである。オシエテの宿泊管理事業については、インバウンド需要が活況を呈するなかで、市場に玉石混交の事業者が存在するからこそ、上場企業グループとして適法かつ健全な運営を行う点を最大の強みとしている。実績としても、東急不動産ホールディングス<3289>の子会社であるReINN(株)とのアライアンスによる取り組みや、(株)加瀬不動産活用との業務提携を通じた新宿エリアでの展開など、旺盛な需要を取り込んでいる。
2026年9月期中間期における進捗率は、売上高が約46%、営業利益が約52%となっており、おおむね計画どおりに推移している。そのため、通期業績予想については期初計画を据え置いている。一方で、経常利益以下については、シンジケートローン組成に伴う一時的な費用計上の影響により進捗率が低位にとどまっている。しかし、当該費用は一過性のものであり、下半期における各事業の収益拡大を見込んでいることから、通期業績予想の修正は行っていない。足元では、製造関連事業の収益改善やHR関連事業における収益性向上施策が進展しており、財務基盤も安定化している。下半期はこれらの成果を具体的な業績へと結び付ける局面となるため、製造請負案件のさらなる拡大や、障がい者雇用支援サービスの積極的な拠点展開などが計画達成に向けた重要なカギになると弊社では考える。
人材派遣事業再編と新規事業育成で、収益構造転換を加速
2. 中期成長戦略
同社の中期成長戦略は、既存事業の収益安定化を図りながら新規固定売上を着実に積み上げることで、中長期的に売上高と利益が純増していく構造を確立する点に主眼を置いている。2024年9月期は最終損失を計上したものの、その要因は主力であったコールセンター向け人材派遣事業におけるコロナ関連案件の剥落による影響が大きく、構造的な競争力低下によるものではない。実際、同事業は足元で下げ止まりの兆しを見せており、2025年9月期は回復局面への移行を図るフェーズにあったと位置付けられる。
こうした環境認識のもと、同社は主力のコールセンター向け人材派遣事業への依存度を引き下げ、新たな収益の柱を育成するため、製造、アウトソーシング、障がい者サポート、IT・DXといった各種新規事業の運営体制を抜本的に再構築している。特に人材派遣分野では、従来グループ内で個別に運営されていた3社を統合してミライルへと再編したことで、経費削減や経営資源の効率化が進展した。これにより、人材派遣総合サービスとしての体制が強化され、外部環境の変化に対する耐性も高まりつつある。
2025年9月期については、クレイリッシュが業績に大きく寄与したこともあり、最終損益が黒字転換した点が中期戦略上の重要な転換点となった。コールセンター向け人材派遣が大手顧客依存型であったことは従来の課題であったが、製造業への参入や障がい者雇用支援サービス、さらにはインバウンド需要を背景とした宿泊管理事業といった新規事業が収益事業として育ちつつあり、事業ポートフォリオは着実に分散されている。
事業別に見ると、コールセンター向け人材派遣はAIやボットの台頭、業務効率化の進展により、従来の労働集約型モデルからの転換を迫られている。これに対し同社は、登録型派遣ではなく常用型派遣を軸に据え、人材の質を担保することで差別化を図っている。加えて、コールセンター業務の従事者を製造業務へ配置転換する戦略や、製造派遣でノウハウを蓄積したうえで請負化へと発展させる戦略を展開している。中長期的には高スキル案件へのシフトを進めており、IT人材についても常用型での確保を強化している。未経験人材を育成する「みらパス」の取り組みもその一環である。これは、IT業界未経験の常用型派遣社員を対象に、コールセンター業務に従事しながら、ITエンジニアとしてスキルを身に付けられる教育を実施する取り組みである。
製造分野では、東金工場が2024年9月に竣工し、2025年9月期から製造業としての本格稼働を開始した。立ち上げ当初は製造量の遅れや、品質管理工程の増加にともない損益面での負担が生じたものの、足元では既に損益分岐点を超えており、2026年9月期以降は業績への寄与が本格化すると見込まれている。今後は品質を担保しながら生産性を高めることで、同事業を新たな成長ドライバーへと育成する考えである。
障がい者雇用支援サービスについては、法定雇用率の段階的な引き上げを背景に、構造的な需要拡大が見込まれる分野である。同社はサテライトオフィス事業を軸に、障がい者雇用に課題を抱える企業を継続的に取り込む方針であり、中期的な安定収益源としての位置付けを強めている。また、通訳・翻訳や宿泊管理といった新規事業も、インバウンド需要の拡大を追い風に着実に立ち上がっている。特に宿泊管理事業においては、外部企業との業務提携を通じた案件獲得が一段と進展している。
同社の中期成長戦略は、主力である人材派遣事業の構造転換を進めつつ、複数の新規事業を育成することで収益基盤を多層化し、持続的な成長軌道を描く点に特徴がある。短期的な業績回復にとどまらず、中長期的な事業ポートフォリオの再構築が着実に進んでいる点は、大いに評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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