IC Research Memo(4):2026年9月期は堅調な需要を背景に増収増益が続く見通し
1. 2026年9月期の業績見通し
2026年9月期の連結業績は、売上高が前期比4.2%増の10,558百万円、営業利益が同8.5%増の560百万円、経常利益が同3.8%増の628百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同21.8%減の379百万円を見込んでいる。前期に計上した退職給付制度の改定に伴う特別利益の剥落により当期純利益は減益となる見通しであるが、売上高とそのほかの利益に関しては順調に拡大する見通しである。
売上高は、主力であるソフトウェアソリューション事業がけん引する見通しである。企業のデジタル化推進需要は引き続き堅調であり、業務効率化やデータ活用を目的としたシステム開発案件は安定的に拡大すると見込まれる。同社は人員体制の強化に加え、外部パートナーとの協業を柔軟に活用することで受注対応力を高め、顧客からの追加案件獲得を進める。利益面については人件費関連の増加が想定されるものの、プロジェクト管理の高度化、開発プロセスの効率化、外注費の適正化などにより補完し、営業利益率は前期比で改善基調を維持する見通しである。
新規ITサービスの創出については、チケット領域では「チケット for LINE Hybrid」と「らくらく入場サービス HINORI」の強みを融合させた新サービスの開発が進んでおり、利便性向上と運営効率化を両立させることで新たな需要の取り込みを狙う。また、飲食店向けには人手不足という構造的課題に対応する次世代型IoTサービスの研究開発を推進しており、センシング技術を活用した省人化ソリューションとして、将来的な収益貢献が期待される。
新中期経営計画を策定。売上高113.8億円、営業利益7.9億円を目指す
2. 中長期の成長戦略
同社は2022年10月に、2031年9月期を最終年度とする長期ビジョン「VISION 2031」及びその実現に向けたファーストステップである中期経営計画「co-creation Value 2025(2023年9月期~2025年9月期)」を策定し、2025年12月には次のステップとして中期経営計画「Growing Beyond 2028(2026年9月期~2028年9月期)」を公表した。
(1) 長期ビジョン「VISION 2031」
「ITで感動社会へナビゲート」をビジョンとし、顧客が抱える潜在的な課題を顕在化し解決することによって、新たな価値を創造する価値創造型IT企業グループへの変貌を目指す。具体的には、社会課題解決に資する新規ITサービスと顧客課題の解決に資する企画提案型ソリューションを提供することによって、収益性をさらに高めていく。新規ITサービスの創出に向けては、グループ間シナジーや外部との連携を積極的に活用し、2031年9月期の営業利益に占める新規事業の割合を3割程度まで拡大することを目指す。定量目標として、最終年度である2031年9月期に売上高10,950百万円、営業利益1,140百万円、営業利益率10.5%の達成を目指す。
(2) 中期経営計画「Growing Beyond 2028」
中期経営計画「Growing Beyond 2028」では、前中期経営計画で構築した事業基盤・人材・技術への投資を本格的な業績成長へと転換する「投資回収の開始フェーズ」と位置付けている。同計画では、事業ポートフォリオ改革を一段と加速させることで収益性の向上を図りつつ、長期ビジョン「VISION 2031」の達成に向けた橋渡しとなる期間と定義している。
基本方針は、「選択と集中」による収益性向上と長期ビジョンへの着実なシフトである。成長性と競争優位性の高い領域に経営資源を重点配分し、事業構造の質的転換を進めることで、持続的な利益成長を実現する方針である。基本戦略としては(1) 戦略的投資の継続、(2) 投資成果の着実な回収、(3) 事業構成の最適化を掲げている。競争力強化や将来の成長に資する分野への事業投資・研究開発投資・人的資本投資を継続する一方、第1次中期経営計画で整備した成長基盤を最大限活用し、ITサービス及び企画提案型ソリューションの売上・利益拡大を図る。また、長期ビジョンで目指す売上・利益構成を見据え、顧客価値の最大化につながる事業ポートフォリオへと段階的に移行していく。次フェーズに向けた重点強化テーマとしては、既存ITサービスの着実な成長、顧客課題を起点とした企画提案型ソリューションの拡大、さらなる新規ITサービスの創出、事業ポートフォリオ計画に沿った組織体制への段階的移行を掲げている。特に、企画提案型ソリューションとITサービス事業は注力領域と位置付けられており、付加価値の高い案件創出や継続的なサービス提供を通じて、収益性の向上を目指す。
業績目標は、売上高が2025年9月期比12.3%増の11,380百万円、営業利益が同54.8%増の790百万円、営業利益率が同1.9ポイント改善の7.0%と設定している。成長投資の回収が進むことで、トップラインの拡大とともに収益性の改善が進む見通しである。
戦略投資については、総額1,160百万円を計画している。内訳を見ると、事業投資は300百万円であり、新規ITサービス創出に向けた事業開発活動や広告宣伝・マーケティングに充当する。研究開発投資は400百万円であり、新規ITサービス創出に向けた研究開発を継続的に推進する。人材投資は460百万円であり、新卒・中途採用の強化や各種人材育成施策を通じて、成長を支える人材基盤の拡充を図る。加えて、M&Aについては別枠で実施し、長期ビジョン達成に向けた成長ドライバーとなり得る企業を対象に検討を進める。これらの施策を通じて、同社は中長期的な企業価値向上を目指す。
■株主還元策
2025年9月期は期初計画から増額し、前期同額の40.0円配を計画
同社は株主への利益還元を経営上の重要課題の1つと位置付け、安定的な配当の維持に努めるとともに、必要な内部留保にも留意し、業績等を勘案のうえ、利益配分政策を実施することを基本方針としている。2025年9月期は期末配当金40.0円(期初計画は34.0円)、配当性向61.2%であった。2026年9月期の配当予想は1株当たり40.0円と、前期と同水準の配当を維持する計画である。同社は引き続き安定配当を重視する姿勢を示しており、短期的な業績変動に左右されにくい株主還元方針を維持している。今後は成長投資と株主還元のバランスをどのように最適化していくかが注目点となるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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