クロスキャット Research Memo(6):「知識集約型」への転換に向け、人材育成やM&Aなど成長投資を推進
(1) 中期経営計画「Growing Value 2026」
クロスキャット<2307>は中期経営計画「Growing Value 2026」において、創業50年以上の歴史で培ったナレッジを活用し、「労働集約型」から「知識集約型」企業への転換を目指す。基本方針は、「当社の提供価値である品質・効率性・専門性・ノウハウを組み合わせたサービスの質を高め、カスタマーサクセスへの貢献を目指す」と定めている。
外部環境としては、DX需要の高まりやAI・クラウド・IoTなどの普及、国内の情報サービス業界の持続的な成長を計画のベースとしている。同社は、ITの普及時と同様に、AIの発展をデータ活用社会実現の大きなチャンスと捉えており、AIエンジン本体ではなく、データ利活用・分析に強みを持つことで、企業のDX推進を支援する方針である。
(2) 中期経営計画の基本戦略
「知識集約型」企業への転換に向け、以下の5つの基本戦略を推進している。
a) 価値提供モデルへの転換
同社の価値提供モデルのコンセプトは、付加価値の向上と脱・人的リソース依存の2つの要素を柱としている。このコンセプトに基づき、主要事業であるSI分野とDX分野において、両利きの経営の観点から同時並行的にモデルの進化を目指している。具体的には、既存のSI分野で専門・上流分野での取り組みによる付加価値向上を図り、DX分野におけるリカーリングサービスの提供(DX推進サービスの継続的な提供)を通じて脱・人的リソース依存を推進している。
b) アセットベースビジネスの拡大
各プロジェクトで蓄積されるノウハウや技術をナレッジ化し、知的財産化を図ることで、開発効率の向上を目指す。これは「労働集約型」から「知識集約型」への転換を図るためのものであり、各プロジェクトで知的財産を利活用する。多様な顧客やプロジェクトの知見を活用することで、今後新たな付加価値の創出が期待される。
c) 顧客基盤の強化
エンドユーザー比率の拡大(2024年3月期43%から2027年3月期50%へ)を目指し、既存顧客への積極的な提案活動や、DX推進支援フレームワーク「CC-Dash」を活用したクロスセル・アップセルを強化する。これまでの取り組みとして、エンドユーザーコミュニティの拡大や積極的なアライアンスパートナーとの連携を進めてきた。これらの活動は、コアビジネスの拡大と新規ビジネス機会の創出に貢献している。
d) 人材・組織力強化
価値の源泉である社員に対して積極的に人的投資を行い、同社のIT人材の強化を図るとともに、自発的貢献意欲の醸成、組織風土や職場環境の改善などのエンゲージメント施策を推進する。業界全体でIT人材の獲得競争が激化しており、同社においても優秀な中途採用人材の確保が難しくなっている。同社では新卒採用と育成は順調に進んでいるものの、従業員の離職は売上を左右する最大のリスク要因と認識しており、リテンション施策(人材保持)が重要な課題である。
e) 各社の強みや特徴を生かしたグループ経営の展開
グループ各社の連携によるシナジーを追求し、グループ全体の収益性向上を目指す。取り組みとしては、営業連携による受注案件の拡大や知識各種システムの共通化、業務プロセスの標準化を目標に、サービス提供領域の拡大を進めている。
(3) 財務目標と進捗状況
中期経営計画及び中長期の目標は、次のとおりである。中期経営計画は、2026年度(2027年3月期)に売上高173億円、営業利益20億円、営業利益率11.6%、ROE20%以上、配当性向35%以上を目標としている。中長期目標は、2034年度(2035年3月期)に売上高300億円以上、営業利益30億円以上、時価総額450億円以上の達成を掲げている。
中期経営計画について、足元の進捗状況は非常に順調である。売上高・営業利益・営業利益率については、2026年3月期の計画で既に目標水準に近接している。また、ROEも2025年3月期に既に達成している。
順調に業績拡大が継続する同社であるが、中長期目標(2035年3月期)については、売上高30,000百万円以上と野心的な目標を掲げる。右肩上がりのDX・AI需要が当面は見込まれるものの、今後は計画的な人材採用や成長投資(含むM&Aなど)がトップラインの拡大には必要となる。
■株主還元策
2026年3月期は1.0円増の34.0円配を予定
2026年3月期は前期より1.0円増額の34.0円(配当性向35.5%)となる見込みである。同社は、安定的な配当の継続を基本方針とし、配当性向35%以上を目標としている。また、利益還元施策として、自己株式取得や消却を実施しており、2026年3月期も2025年5月に138百万円の自己株式取得を実施した(2025年3月期は223百万円、2024年3月期は907百万円)。
加えて、同社は保有株式数に応じて500円〜3,000円相当のクオカードを贈呈している(6,000株以上保有の株主にはオリジナルカレンダーも進呈)。同社による安定配当と還元施策による積極還元は企業価値向上に向けた高いコミットメントであり、株価のダウンサイドに対するサポート材料となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦健太郎)
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