船場 Research Memo(5):2026年12月期は売上高で2ケタ成長予想
船場<6540>の2026年12月期の連結業績は、売上高が前期比12.7%増の37,000百万円、営業利益が同1.9%増の2,350百万円、経常利益が同0.0%増の2,350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.6%増の1,600百万円と、売上高及び各利益の堅実な成長を予想する。
同社を取り巻く事業環境は、引き続き商業領域だけでなくオフィスや余暇施設などの幅広い空間における投資の堅調推移が見込まれる。特に、人手不足に伴う積極採用や優秀な従業員のリテンションを目的に、企業がブランディングの強化を図る動きが活発化しており、オフィスの移転や職場環境改善への積極的な投資が期待される。
売上高は堅調な需要を背景に前期比12.7%増を見込む。進行期も2年目を迎えた中期経営計画に沿って、重点施策に取り組む。顧客やパートナーとの関係強化により受注拡大を目指す「“Good Ethical Company”のファンベース構築」、これまでうまく価値化できていなかった業務を明確にサービス化して付加価値提供を行う「サービス領域の拡大と提供価値の向上」、成長性の高いアジア市場における「グローバル市場の深耕」などが増収のポイントとなるだろう。分野別では、好調に推移する「オフィス・余暇施設等分野」の業績貢献が期待できる。2025年12月期末の全社受注残高は前期末比29.0%増の8,429百万円であり、例年では通期売上計画に対して20%前後となっているが、今期はそれを3ポイント上回る。特に「オフィス・余暇施設等分野」での受注残高が5,500百万円と多いことが進行期の特徴である。
営業利益は前期比1.9%増、経常利益は同0.0%増と増益率は鈍化する予想だが、中期的な成長に向けて積極的な先行投資や体制強化を織り込んだ計画と見ている。弊社では、ディスプレイ業界が活況であること、過去の実績などによりリピート顧客(ファン)が増えていること、過去3年は期初予想から上振れて着地しており、やや保守的な業績計画であることなどから、予想を超えることが期待できると考えている。
■成長戦略・トピック
「中期経営計画2027」の重点施策と、その先の中期的な成長に向けた先行投資が進行中
同社では、2025年12月期を初年度、2027年12月期を最終年度とする「中期経営計画2027」を推進中である。スローガンは、“Create More Fun and More Fans!”であり、顧客志向をさらに深め、より高付加価値の提供を宣言している。重点施策には、(1) 未来を創る人材の育成と獲得、(2) “Good Ethical Company”のファンベース構築、(3) サービス領域の拡大と提供価値の向上、(4) 持続的成長を支えるサプライチェーン、(5) グローバル市場の深耕、を掲げた。数値計画では、最終年度となる2027年12月期に、売上高で400億円、営業利益で25億円、親会社株主に帰属する当期純利益で17億円を目指す。事業領域では、短期的には「オフィス・余暇施設等分野」が中期的には海外市場が成長ドライバーとなろう。進捗は順調であり、中期経営計画最終年度のさらにその先を見据えた先行投資が進行している。
(1) 未来を創る人材の育成と獲得
ディスプレイ業界においても人材採用の難易度が上がっている昨今ではあるが、同社では2025年12月期に約80名の採用を行っており、将来の成長に向けた体制強化は着々と進んでいる。採用活動における同社の工夫としては、役員面接を早期に行うスタイル(外資系企業などで行われている方法)を採用し、優秀な人材の囲い込みや意思決定のスピードアップにつながっているという。また、報酬に関しても新たな人事制度を導入した。新人事制度では、迅速な事業運営を実施すべく、業績連動や可視化を強化した。
(2) “Good Ethical Company”のファンベース構築
Ethicalな価値を好む顧客が増加するなか、同社はアジアNo.1のEthical空間創造企業となるべく、「Ethical Innovation Hub」の開設など、同社が強みとするエシカルな企画能力・業務プロセス・素材活用・実装手法などを追求している。2025年10月には、空間づくりを起点に多様な業界の企業とともにエシカルな取り組みを発信するイベント「ETHICAL DESIGN WEEK TOKYO 2025」を他社と共催した。「ETHICAL DESIGN WEEK」は同社が2021年から毎年開催しているイベントで、2025年の参画企業は79社、ビジネス来場者は1,200名であった。
(3) サービス領域の拡大と提供価値の向上
最近のチャレンジングな案件としては、福岡空港の案件がある。同社は、空港の大規模エリア(アクセスホール、免税店エリア、フードホール、北側コンコース、有料ラウンジ、航空会社ラウンジ)の内装デザインから設計、制作・施工を担当し、「中洲の街並み・屋台・祭りの山車」という福岡を象徴する要素をデザインに取り入れることで、文化の存続と発展に貢献することに挑戦した。また、世界最大級の組織・人事コンサルティングファームであるマーサージャパンとの連携(2025年5月)や、BIM分野グローバルリーダーであるAutodeskとCDEの構築と業務プロセス改革を目的とした戦略的提携(同年8月)なども、中長期的なサービス領域の拡大と提供価値の向上に資する取り組みと言えるだろう。
(4) 持続的成長を支えるサプライチェーン
同社では「サプライチェーン戦略室」を設置し、グループ会社(株)装備との一体戦略による納品力の拡充を図っている。強みのある関西・九州でのネットワークに加え、関東での強化も進めている。
(5) グローバル市場の深耕
同社は現在アジア5拠点に進出しているが、海外各社における中期経営計画を策定し、事業体制の再構築を図っている。海外担当人材を2名任命し、人材の強化も行った。当面はシェアの高い台湾が柱となるが、案件単価の高いシンガポールなども潜在力がある。また、将来的には、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリなどの大都市への事業展開も検討する。2025年7月、同社とコクヨは、国内並びにグローバル成長戦略の空間創造事業パートナーとして業務提携を締結しており、高度化・多様化するオフィス空間のニーズに迅速かつ柔軟に対応するための連携が期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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