中西製作所 Research Memo(6):2028年3月期に売上高420億円、経常利益28億円を目指す
3. 中期経営計画
同社は長期ビジョンの実現に向け、人と組織の力を高め、新たな挑戦を通じてさらなる飛躍に向けた基盤づくりを進め、学校・病院などのトップシェア領域及び中食・食品加工分野や海外といったチャレンジ領域を伸ばす中期ビションを設定した。これに合わせて中期経営計画(2025~2027年度)を策定し、2028年3月期に売上高420億円、経常利益28億円を目指すことになった。なお、経常利益率が2025年3月期の7.0%に対して6.7%と低下する設定であるが、これは2025年3月期が好業績であった反動と、目標設定を保守的に行ったためと考えられる。
同社は、長期ビジョンの戦略的方向性をベースに中期経営計画の基本方針を定めた。トップシェアを維持する学校給食市場に加え、病院市場でも長期的なトップシェア獲得を目指し、両領域でのリーダーポジション確立を図るというものである。一方、中食・食品加工分野では国内を攻略すると同時に、海外市場での本格展開や周辺領域・新領域の模索・進出のための準備を行う。M&Aやアライアンスも検討しつつ、次期中期経営計画での新たな収益柱の確立に向けて積極的にチャレンジする。また、給食分野と中食・食品加工分野の成長基盤として、人材確保や育成を中核に据えた組織力の向上を図る。こうした基本方針の実現へ向け、重点戦略として、1) 営業体制強化とスキル向上による主要分野(学校、病院、中食・食品加工、外食)でのシェア拡大、2) 次期中計以降も見据えた製品競争力の強化、3) メンテナンス事業の拡充・売上拡大、4) 生産能力及び生産性の向上、5) 周辺分野の探索・進出準備、6) 長期ビジョン実現に向けた人材への積極投資、7) 海外市場への本格展開準備、8) 売上500億を見据えた広報・マーケティング施策の拡充、を展開する考えである。
分野別シナリオでは、2028年3月期の分野別売上高を、給食分野で2025年3月期比8.8%増の271億円、外食分野で同5.0%減の114億円、中食・食品加工分野で同19.0%増の25億円と見込んでいる。海外分野は同50.0%増の3億円を目指すものの、事業規模はまだ小さい。
給食では、主力の学校や病院のほか、キッチンレス社食のノンピへの出資のようにM&Aやアライアンスなどによって外部との連携を強化するなど、積極的なチャレンジを実行する考えである。外食では、大手チェーン店への安定的な納入が見込まれるものの、景気変動の影響を受けやすい。人員体制を強化し、給食や中食分野での収益をカバーする方針である。人手不足や他店との差別化に悩む外食業界向けのソリューションとして、出資したシコメルフードテックが提供する仕込み作業やレシピ開発のアウトソーシングを活用できれば、これまで同社がアプローチできなかった顧客層の開拓につながると予想される。中食・食品加工では、スーパーやコンビニエンスストアに加え、食品工場やコンビニエンスストアのベンダーへの営業を強化する。M&Aやアライアンスも視野に入れ、製品ラインナップの拡充を図る。6次産業やそれより小さい食品工場に対しても過熱水蒸気調理器などを提案するが、不足があれば仕入れやアライアンスで効果的にカバーする方針である。海外は、現地代理店・販売店の獲得に加え、現地での大型機械のメンテナンス体制の構築が課題となる。このため、現地法人の設立など地域に密着した展開を検討することになると思われ、長期的な視点で拡大する方針である。
こうしたなか中期目標の達成に向けて、同社はKPIを設定した。営業面では、営業体制をさらに強化し、店所による売上高で300億円を目指す。また、顧客が重要視するメンテナンスの品質をさらに向上することでメンテナンス売上高47億円を目指す。生産面では、労働生産性の10%改善、製品納期遵守率100%を掲げる。開発面では、製品開発着手数8件、企業・大学・研究機関との提携数15件を目標とする。管理面では、採用計画人数の9割を確保し、エンゲージメントスコア55.0以上を目指す。新卒については例年の15〜20人から2028年3月期には40人へと採用を拡大する考えである。中途採用も引き続き継続する。
設備投資を強化。IT化やDX推進、M&Aやアライアンスも随時実行
4. 投資計画
中期経営計画の達成と長期ビジョンの実現に向けて、前中期経営計画で10億円だった設備投資を強化していく。現中期経営計画で50億円、次期中期経営計画で50億円を予定している。現中期経営計画では、群馬工場の増築(総投資額35~36億円、来冬竣工予定)と同工場内の東日本物流倉庫新設である。生産管理システムの全面更改(5年に1回数億円をかけて生産と販売で交互に実施)、大阪本社倉庫の移転、海外向けデモルームの開設なども計画している。次期中期経営計画では、奈良工場の移転と三重物流センターの統合(物流の全国2拠点体制化)、テストキッチンを備えた研究開発棟の新設、海外拠点の拡充、基幹システム再構築などを予定している。
デジタル戦略は、項目としての落とし込みはないが、これは中期経営計画では手段として位置付けているためで、重点戦略は基本的にIT化やDX推進を前提に構築されている。同様に、M&Aやアライアンスも中期経営計画の項目としては示されていない。これは、これらが事業推進の手段として随時実施されるためと見られる。同社は、介護施設や病院での配膳、食品工場での点検などを担うロボットの開発で連携するため、ロボットスタートアップのugoにマイノリティ出資を行った。また、清掃など消費者向け日用品メーカーのレックとも資本業務提携を行った。業務用の同社と家庭用のレックは商品の方向性が補完関係にあり、互いの領域に合った製品を開発できればそれぞれの領域で戦略ツールとすることができ、顧客の利便性も高まる。さらに、同社は家庭用、レックは業務用への足がかりにもなる。
なお、投資の結果として収益が拡大すれば、社会への還元を厚くする方針である。株主だけでなく、全ステークホルダーを対象とする。前中期経営計画では、企業版ふるさと納税の積極活用や従業員の処遇を平均10%アップという形で還元した。現中期経営計画では、資本業務提携の見直しや政策保有株式の有効活用も行い、顧客満足度や従業員エンゲージメントの向上、中小企業との共存共栄のためのパートナーシップ推進に活用する方針である。次期中期経営計画では、地域コミュニティへの還元やDXによる業務効率の改善など、CSR(企業の社会的責任)を実現しつつ、時代にあわせた各種還元策を実施する考えである。こうした事業活動や社会還元を通じてサステナビリティ経営にも取り組み、企業価値の向上につなげていくとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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