システムサポート Research Memo(8):中期業績目標を上方修正、営業利益は年率17.0%成長目指す
2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
システムサポートホールディングス<4396>は2026年6月期からスタートする3ヶ年の中期経営計画・ローリングプランを策定した(2025年8月発表)。「成長と更なるイノベーションの創出」をテーマに、「顧客・社会のDX推進の基盤となるサービスの拡充」「多様な人材の成長と活躍」「サステナビリティ経営の強化」に取り組みながら年率2ケタ台の増収増益を目指す。1年前に策定した中期業績目標に対して、2025年6月期実績や直近の市場環境、M&Aの影響などを考慮し、新たに見直した業績目標として、2028年6月期に売上高40,153百万円、営業利益3,552百万円を掲げた。年平均成長率は売上高で14.2%、営業利益で17.0%となる。また、2026年6月期及び2027年6月期の業績目標は、1年前に策定した目標値に対していずれも上方修正している。
外部環境認識として、国内のクラウド基盤サービス市場は、ITシステムのオンプレミスからの移行に加え、移行後の活用やマルチクラウド対応が増加傾向にあることから、今後も高成長が続くと見ており、同時に人材採用についても厳しい競争環境が継続する見通しだ。こうしたなか、積極的に人材採用・育成に取り組むことで旺盛な需要を取り込み、クラウドインテグレーション事業を成長ドライバーとして年率2ケタ成長を進めていく。
(2) 人材戦略と成長投資の計画
人材を事業成長の源泉と位置付け、「多様な人材の積極的な採用及び登用」「人材の育成」「働きやすい職場環境」に注力することで、新たな企業価値の創出を目指す。主な施策については従来と変わらない。採用活動については各拠点に採用担当を配置し機動的な採用を行うとともに、応募者とのミスマッチを防止する。また、クラウドインテグレーション事業における競争力の維持向上を図るため、ベンダー資格取得に係る投資を実施する。さらには給与水準の向上、健康経営やダイバーシティ・インクルーション&エクイティ推進を図るとともに、女性従業員比率や有給休暇取得率、育児休業取得率に目標を設定し達成を目指す。これらの取り組みにより、連結従業員数は年率10%程度の増員を計画しており、2028年6月期には2,418名を目指す。
一方、成長投資(採用関連費用、研修費、研究開発費、M&A関連費用)については、直近3期間(2023年6月期~2025年6月期)で15.8億円を投下したが、2026年6月期以降の3年間では22~26億円を投下する計画だ。研究開発についてはAIやクラウド関連を中心としたサービス開発・強化を進める。M&Aについては成長分野でのサービスラインナップ及びリソースの拡充を目的に、今後も前向きに検討していく。
(3) 事業セグメント別成長戦略
a) クラウドインテグレーション事業
クラウドインテグレーション事業については、「対応領域の拡大」と「既存事業の伸張」に注力することで高成長を目指すとともに、リセールによるストック型収益を積み上げることで安定収益基盤を確保する戦略だ。なお、「対応領域の拡大」とは、AI関連や海外で有望なサービスをいち早く日本市場で展開させるための投資を行い、新たな市場を開拓していくことを指し、「既存事業の伸張」については、技術者の採用・育成だけでなく、顧客の利便性を高めるための独自サービスを開発していくことも競合するクラウドインテグレータとの差別化を図る重要なポイントとなる。3年間の年平均成長率は20%前後を見込んでいるようだ。
なお、重点領域としてServiceNowとSnowflakeの2つのクラウドサービスを挙げている。ServiceNowではAIエージェント機能について積極的な研究開発を実施し、早期に顧客提案可能な体制の構築を目指す。一方、ここ数年国内でも急成長しているSnowflakeについては、(株)NTTデータや伊藤忠テクノソリューションズ(株)など大手SIerと競合するものの、技術者の育成を進めSAP連携やOracleデータベースからの移行など同社グループが持つ強みと組み合わせたソリューションの提案により売上拡大を図る。AI/ビッグデータ分析などの業務効率向上を支援するデータプラットフォームとして成長ポテンシャルが大きいだけに、今後の動向が注目される。
b) システムインテグレーション事業
システムインテグレーション事業では、主力のERP関連やデータベース関連、RPA関連などを中心に、着実に技術者の採用・育成を進めながら受注を確保していく。また、クラウドインテグレーション事業をはじめとした他事業の顧客に対してもアプリケーション開発等の多様なサービスを提案し、受注獲得につなげることで、年率10%前後の売上成長を目指すようだ。利益面では、品質・期間・コスト・リスクコントロールの観点でプロジェクトマネジメントを継続し、不採算案件の発生を抑制するとともにサービス品質の向上を図りながら、収益性の維持向上に取り組む。
c) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業では、データセンターサービスにおいて大手クラウドベンダーとは異なる顧客層をターゲットとし、基幹システム向けプライベートクラウドなど独自サービスを強みに顧客数及び顧客当たり利用料の積み上げを図り、年率10%弱の売上成長を目指すようだ。またERP関連のニアショアサービスについても、SAPのERP製品保守の需要が2027年に向けて高まる見込みであり、石川県金沢地区での保守要員の育成と体制強化によって売上拡大を目指す。なお、データセンターの設備収容能力についてはまだ余裕があるが、稼働状況に応じて段階的に設備増強を実施し品質向上と収益性の確保を両立していく。
d) プロダクト事業
プロダクト事業では、安定した高利益率の維持・向上、顧客の拡大、機能強化の3点を重点施策として取り組むことで、年率20%前後の売上成長を目指すようだ。ストック売上比率については2025年6月期の55%から2028年6月期は60%弱の水準と緩やかな上昇を見込んでいる。
安定した高利益率の維持・向上を図るために、ノンカスタマイズでの拡販によって月額利用料等のストック売上高の積み上げを図る。顧客の拡大施策としては、引き続き販売代理店等の販路拡大や展示会への出展など広告宣伝を強化する。また、既存顧客内の利用部門拡大等によるユーザー数(ID数)の増加も図る。機能強化については、導入までのリードタイム圧縮や競合品に対する競争力向上につながるような機能の拡充を継続する。
e) 海外事業
海外事業では、米国子会社において北米に進出する日系企業に対してITインフラや人材採用、マーケティングの支援サービスを提供するほか、カナダの子会社では日本との時差を利用した日本企業へのリモート監視サービスや、在米日系企業への会計業務のアウトソーシングサービスを強化し、海外事業単独で収益を得られる体制を構築する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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