サークレイス Research Memo(4):高付加価値案件の増加や稼働率改善で営業利益率7.6%を予想
1. 2026年3月期の業績見通し
サークレイス<5029>の2026年3月期の業績見通しは、売上高4,600百万円(前期比20.9%増)、営業利益350百万円(同71.9%増)、経常利益350百万円(同71.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益230百万円(同25.0%増)を計画している。Salesforce及びServiceNow事業の拡大に加え、グループ内連携によるシナジー創出を通じて、「AI&DATA INNOVATION」領域を中心に売上成長を見込む。利益面では、中長期成長を見据えた人材投資を継続しつつ、高付加価値案件の増加や稼働率改善により営業利益率7.6%を予想している。当社ビジネスは下期偏重型であり、下期にかけて収益が拡大する季節性を前提に、通期計画の達成を目指す方針である。
2. 中期経営計画
同社は2023年5月に中期経営計画を発表し、2024年5月には連結決算の目標値を見直し、計画を改訂した。2025年5月には「企業理念」「パーパス」「ミッション」「ビジョン」も改訂。「企業理念」は「グローバルの最先端テクノロジーを通じて、お客様と共に経営改革を実現し、社会課題を解決します」を掲げ、「パーパス」は「人とテクノロジーの可能性を解き放ち、未来を共に創る」を掲げた。「ミッション」は「データとグローバルの最先端テクノロジーを活用し、人と組織の変革を支援する」を、「ビジョン」は「誰もがデータとテクノロジーを使いこなし、未来に挑戦できる社会を創る」を掲げた。「バリュー」は「国境も限界も超えて挑戦する」「変革・成長を前向きに楽しむ」「顧客・社会と未来を共創する」の3つを掲げた。
中期経営目標として、2030年までに東証プライム市場への上場を見据え、海外からの人材やAIなどの最新技術の活用、海外ビジネスの展開を通じて成長を加速させる方針である。具体的には、CAGR(年平均成長率)を売上高23%、営業利益62%を目指し2030年3月期の売上高100億円以上、営業利益20億円以上を目標とする。2027年3月期に営業利益率10%、2030年3月期に同20%の達成を掲げ、東証プライム市場の上場基準を十分に満たす利益水準の確保を目指す。社員数については年平均10%以上の増員を計画し、海外人材の増加、自社DX及びAIを活用した生産性向上などに取り組み、従業員1人当たりの売上を主要KPIと位置付け、2030年3月期に17百万円を超える生産性を目標とする。
3年間(2024年3月期〜2026年3月期)の投資額は約24億円を見込んでおり、その内訳は、人的資源に50%、海外事業に14%、社内DX推進に17%、AI等の最新テクノロジー活用に8%、SaaS販売拡大に11%としている。この投資により、1案件当たりの売上規模の拡大、収益率の改善などを目指す。
3. 成長戦略
同社の成長戦略は、事業サイクルを「次世代」「成長」「基盤」「再構築」の4段階に分類し、各領域の特性に応じて投資配分と運営方針を最適化する点にある。まず「次世代」段階では、AI&DATA(AIエージェントやData Lakehouseなど)といった新規事業への投資を通じて将来の成長を見据えた事業再構築を推進し、「成長」段階ではServiceNow領域(アオラナウ)を中心に収益拡大を加速する。「基盤」段階ではSalesforceやAnaplanコンサルティング、SaaS製品「AGAVE」、海外事業(ベトナムCirclace HT社)、さらにエデュケーション、カスタマーサクセスなど既存事業の収益基盤を維持・強化し、「再構築」段階では外部環境の変化を踏まえた提供領域・体制の見直しを進める。同社はこれらの戦略により、短期的な収益確保と中長期的な成長投資の両立を図っている。
(1) ロールモデル戦略
規範となる優秀な人材を採用し、基本サービス提供をチーム制にすることで、人材の質を底上げし、ロールモデルの活用を可能にする。人材の質を高め、収益を向上させ従業員への積極的な還元を行うことで、より優秀な人材の確保ができる好循環の実現を目指す。
(2) AI&データイノベーション戦略、マルチプラットフォームサービス対応
同社のAI&データイノベーション戦略は、AI活用を軸に、顧客企業のデータドリブン経営とDX推進を支援し、高付加価値案件の拡大につなげる取り組みである。同社グループ全体で、コンサルティングから実装・定着化に至るまで、ワンストップで高品質なサービスを提供し、複数プラットフォームを横断した提案力を強みとしている。さらに、グローバルITトレンドを踏まえた最先端テクノロジーを採用することで、業界・業種を問わず幅広い支援を可能としている。これにより、顧客の競争力強化と持続可能なビジネスモデル構築に貢献し、対応領域の拡大を進めている。同社の戦略は、DX時代における企業変革の基盤を支えるものであり、中長期的な収益拡大と市場競争力の向上に寄与する取り組みと言える。
同社の主な顧客は製造業であり、日本企業における製造業の多さがその背景にある。また、通信業界に対してもアドバンテージを持ち、それぞれの業界に特化した戦略が必要であると見ている。製造業においては、さらに各専門分野に個別のアプローチを検討し、それを将来的なグローバル化の基盤として活用する方針である。
また同社は、Salesforceが提供する最新の自律型AIエージェント「Agentforce」の導入支援サービスを開始している。このAIエージェントは大規模言語モデル(LLM)を活用し、業務の自動化や効率化を実現する技術であり、同社はこれを活用した企業のDX推進を支援する戦略を展開している。
同社は、マルチプラットフォームサービス対応拡大の一環として、これまでのSalesforce中心の事業に加え、生成AIと「Microsoft Power Platform」を活用した、より高度で広範囲な「企業システム全体の最適化」を実現するためのソリューションを提供する事業も開始している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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