Iスペース Research Memo(7):時価総額がネットキャッシュを下回る状況が継続、見直し余地は大きい
インタースペース<2122>のほかアフィリエイト運営会社の大手は、ファンコミュニケーションズ、アドウェイズ、バリューコマース、リンクシェア・ジャパン(株)(楽天グループ<4755>の子会社)、レントラックスの5社が挙げられる。売上高の規模はその他の事業も展開しているため各社ばらつきがあるものの、同社も含めた6社合計のアフィリエイトサービスにおける業界シェアは約6割、うち同社は1割弱のシェアと見られる。直近の業績については各社それぞれ要因が異なるものの、5社のうちレントラックスを除く4社が営業利益で2ケタ減益となった。また、2025年度の会社計画は同社とファンコミュニケーションズ、レントラックスの3社が増益を見込み、アドウェイズとバリューコマースが減益計画となっている。
同業他社の特徴について見ると、ファンコミュニケーションズは2025年3月時点で「A8.net」のパートナーサイト数が約352万サイト、稼働広告主ID数が3,536件と、パートナーサイト数では業界最大規模となっている。中小企業向け広告ビジネスを長く提供しており、EC分野を中心に幅広い広告案件を揃えていることが特徴だ。業績はここ数年、スマートフォン向け広告サービス「nend」の縮小で減益トレンドが続いてきたが、「nend」については2024年3月で事業撤退した。売上高は2024年1~3月期を底にして回復トレンドに転じており、ここ最近は戦略事業としてインフルエンサーマーケティング支援やデジタルマーケティングプロセス最適化支援など周辺領域にも事業展開を進めている。
アドウェイズは、アドプラットフォーム事業(アドネットワーク広告配信サービス、アフィリエイト広告サービス)とエージェンシー事業(国内外における広告代理店)を展開している。モバイル向け比率が高く、ゲームや電子コミック系に強みを持つ。2024年12月期はエージェンシー事業におけるゲームアプリ向け広告の減少や海外事業の苦戦により減収減益となった。2025年12月期もゲームアプリやマンガアプリの広告減少、並びに海外事業の苦戦を想定し減収減益で計画している。アプリエイト広告については前期減少したクレジットカードが回復し、2025年1~3月期は増収に転じている。
バリューコマースは、マーケティングソリューションズ事業(アフィリエイトサービス)とECソリューションズ事業を主に展開している。マーケティングソリューションズ事業の業種別売上構成比は金融分野が約4割と高く、そのほかショッピングや家電、旅行など幅広い業種をバランスよく手掛けているのが特徴だ。2024年12月末時点の稼働広告主数は687件、パートナーサイト数は79.1万サイト。2024年12月期は増収となったものの、人件費増や戦略投資を実施したことで減益となった。2025年12月期もECソリューションズ事業のサービス契約終了が影響して減収減益を見込んでいる。2025年1~3月期のアフィリエイト広告は金融向けの回復で増収となったものの、粗利率の低下により減益となった。
レントラックスは、成果報酬型広告サービス事業と中古建設機械マーケットプレイス関連事業を主に展開している。成果報酬型広告サービス事業の業種別売上構成比(2025年3月期実績)は、金融が38%と最も高く、次いでエステクリニックが16%、不動産、自動車が各9%と続く。2025年3月末のパートナーサイト数は33.6万サイトと少ないが、集客力の高いサイトを厳選した「クローズ型」の体制をとっているためで、同業他社が「オープン型」となっているのに対して一線を画しており、サービスの差別化を図ることで広告主を獲得している。2025年3月期はすべてのジャンルで取扱高が伸び増収増益となった。2026年3月期も引き続き増収増益を見込んでいる。
株価指標について見ると、同社の株価(2025年6月17日終値)は2025年9月期の予想PERで14.5倍と他4社が8~639倍の水準で評価されているなかで、東証スタンダード市場のサービス業平均水準※となっている。ただ、EV/EBITDAは-0.04倍と大手5社のなかで唯一、マイナスとなっている。EV/EBITDAとは企業を買収する場合に、買収コスト(時価総額+有利子負債−現金及び預金)を期間収益(営業利益+償却費)の何年分で回収できるかを簡易的に指標化したものであり、倍率が低いほど買収コストを短期間で回収できることを意味している。これは、株式市場での成長期待が低いことの裏返しであるとも言える。同指標がマイナスになるということは、時価総額をネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)が上回っている状態にあるということで、今の株価水準で全株式を購入したとしても現金及び預金だけで投資資金を回収してお釣りがくることを意味する。同社の場合、総資産の約8割が現金及び預金、売掛金及び契約資産で占められており、減損リスクも限定的と見られる。現在推進している事業戦略により業績が成長軌道に移行する段階に入れば、株式市場での評価も変わるものと弊社では考えている。
※ 2024年3月期~2025年2月期の純資産実績を基にした単純平均PERで15.4倍。出所は日本取引所グループ公表の統計情報(株式関連)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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