昭和産業 Research Memo(7):マーケットインで顧客ニーズをつかみ、提案型営業を深耕
1. 2026年3月期の業績予想
2026年3月期は、売上高340,000百万円(前期比1.7%増)、営業利益11,000百万円(同1.1%減)、経常利益13,000百万円(同4.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益9,500百万円(同18.1%減)を計画している。2025年3月期に引き続きインバウンド需要の回復等が期待される一方で、不安定な国内経済や緊迫した世界情勢など、先行き不透明な状況にある。原料穀物相場や為替動向から引き続き目が離せない状況なうえ、インフレや人口縮小に伴う物流や人件費、資材等のコストの上昇が予想される。昭和産業<2004>は、継続して製造コスト等に見合った適正価格での製品販売に注力するとともに、事業環境に左右されにくい収益構造の確立に向け、「中期経営計画23-25」で掲げた5つの基本戦略に基づく施策を推進する考えである。セグメント別に見ると、売上高、営業利益ともに各事業で2025年3月期並みを見込んでいる。
2. セグメント別重点施策
2026年3月期は、マーケットイン、提案型営業をさらに深化させ、売上増加につなげる。また、グループ全体での生産拠点最適化による生産性向上・原価低減の継続と検証を進めていく。ほかにも、高付加価値製品の開発と拡販を推進し、製造コスト等に見合った適正価格での販売を徹底して利益を確保する方針である。
(1) 食品事業
売上高は2,764億円(前期比29億円増)、営業利益は107億円(同2億円減)を見込む。
a) 製粉カテゴリ
小麦粉については、年に2度改定される輸入小麦の政府売渡価格に運賃や人件費等コストを反映して適正価格の維持に注力する。政府売渡価格引き下げに伴い、2025年7月には汎用品となる業務用小麦粉を、8月には家庭用小麦粉を値下げすることで販売数量を確保する。一方家庭用パスタについては市場需要とサプライチェーンコストを加味して値上げに踏み切っており、売上高と利益への貢献に期待する。伸び悩むプレミックスについては、「食品ヒット大賞」を受賞し売上が伸びている「もう揚げない」シリーズのプロモーションにより、新たな販路を拡大する。また、同様の付加価値商品等の商品開発を進めラインナップを拡充し収益の回復を目指す。CVS向け焼成パンについては、連結子会社の4ベーカリーが製造・販売しており、定番商品のブラッシュアップを継続することで、トレンドを踏まえた新商品を定期的に投入する。品質維持や在庫管理に最新の注意を払い、食品ロスを削減することでコスト管理を徹底し、収益性を向上させる。
b) 製油カテゴリ
油脂原料のボラティリティを吸収するため、半流動性油脂、こめ油、コーン油の領域で付加価値商品の開発に注力する。(一社)日本カレーパン協会に認定された半流動性油脂「Sベーカリーオイル」は、特にテイクアウト時の食感や品質維持に効果を発揮する顧客課題解決型商品である。引き続き他の領域でも、顧客ニーズを捉えてアイディアを相乗した新たな商品開発を目指す。こめ油については、ビタミンEが豊富な栄養機能食品の「健康こめ油」を展開している。今後も子会社のボーソー油脂(株)を起点に米の特性を活かした技術開発でこめ油の機能や付加価値を追求し、プレミアムオイルの開発を進める。コーン油については、2023年5月に実施した業界リーディングカンパニー辻製油(株)との資本業務提携により参入した新領域で、機能性を追求した新商品開発のほか、構築したコーンサプライチェーンにより原料調達の連携や生産設備物流ネットワークの共同活用で市場競争力を高めるほか、収益性の向上が期待できる。なお、「中期経営計画23-25」では、最終年度のこめ油やコーン油を含む機能性油脂の比率を2020年3月期の25%から35%に引き上げる計画である。
c) 糖質カテゴリ
子会社のサンエイ糖化、敷島スターチと協業し、差別化カテゴリの販売強化、独自性のある機能性商品の販売拡大に注力する。特に、サンエイ糖化が取り扱う国内有数の規模である乳酸菌培養事業や、前述したオリゴ糖としては初の「骨密度維持」機能を謳った機能性表示製品である「マルトビオン酸」など、少子高齢化、健康志向のニーズに応えた新事業、新製品開発を更に推し進め、当社グループの強みである多様な販売チャネルを活かし、事業拡大を図っていく。また、高操業、安定操業による工場稼働率向上によりコスト削減にも取り組む。加えて、サンエイ糖化の実績に裏付けられた研究開発力を活かし、市場需要を精査して医薬品原料や食品素材等の新たな領域へ進出する計画である。
(2) 飼料事業
売上高は586億円(前期比24億円増)、営業利益は7億円(同3億円増)を見込む。レイヤー事業では規模拡大を進める。付加価値や機能強化で差別化した商品開発に加え、東京家政大学との産学連携「たまごのある暮らしレシピ開発教育プログラム」で考案したレシピをパッケージに定期的に掲載する等、プロモーションも推進する。このほかにも、これまで有償廃棄していた同社の利用不可能な廃棄物を、独自技術で農業資材へアップサイクルすることに成功した。廃棄コストの減少により業績を押し上げ、廃棄物の圧縮でSDGsに寄与する。安定収益の目途が立てば、同社が目指すCSV(経済的価値と社会的価値の両立)への大きな一歩となり、さらなる技術革新と販路拡大で社会的プレゼンスの高い経営が目指せる。なお、同社技術のみならず、オープンイノベーションを積極的に展開する計画である。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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