昭和産業 Research Memo(1):2025年3月期は販売価格適正化に苦戦し減収減益
昭和産業<2004>は、1960年に世界で初めて家庭用天ぷら粉を発売した食品中核企業である。「人々の健康で豊かな食生活に貢献する」をグループ経営理念とし、小麦・大豆・菜種・トウモロコシの4つを国内食品メーカーのなかで唯一取り扱う。ブランドメッセージとして「穀物ソリューション・カンパニー」を掲げている。
1. 2025年3月期の業績
2025年3月期の連結業績は、売上高334,425百万円(前期比3.4%減)、営業利益11,126百万円(同15.4%減)、経常利益13,591百万円(同17.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益11,599百万円(同6.1%減)と減収減益となった。業績予想に対する達成率は、売上高96.7%、営業利益92.7%、経常利益104.5%、親会社株主に帰属する当期純利益105.4%と、固定資産売却により最終利益を確保した。経営環境として、エネルギーや為替の変動は激しく、原料穀物相場も気候変動の影響もあり落ち着かない状況にある。2025年3月期は油脂原料のボラティリティから適正価格の維持に難航し、収益に影響した。一方製粉カテゴリと糖質カテゴリは、原価に対し適正価格で対応し収益を支えた。製油カテゴリでは機能的に価値のある商品の提案等に取り組み、業務用油脂と家庭用こめ油等の販売が前期を上回った。糖質カテゴリでは、独自性の高いぶどう糖やビール用途のコーンスターチが増加し、前期を上回った。販売数量は好調に推移したが、販売価格低下の影響を受け売上高は前期比減少し、計画値に対してもネガティブな状況となった。飼料事業では顧客サポートに注力したことで配合飼料や鶏卵販売数量は前期を上回ったが、鶏卵相場が軟調に推移したことから売上高は前期を下回った。利益面については、グループ一体での原価低減策が奏功し、売上総利益額は同0.4%増と同水準を維持したものの、コスト増を抑えきれず営業利益以下は前期比減少となった。
2. 2026年3月期の業績予想
2026年3月期は、売上高340,000百万円(前期比1.7%増)、営業利益11,000百万円(同1.1%減)、経常利益13,000百万円(同4.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益9,500百万円(同18.1%減)を計画している。引き続き製造コスト等に見合った適正価格での販売に注力するとともに、事業環境に左右されにくい収益構造の確立に向け、「中期経営計画23-25」で掲げた5つの基本戦略に基づく施策を推進する。セグメント別に見ると、売上高、営業利益ともに各事業で2025年3月期並みを見込んでいる。食品事業の製粉カテゴリではパスタ需要からの値上げを反映した収益拡大のほかプレミックスのプロモーション効果に期待がかかる。製油カテゴリは半流動性油脂の拡販とコーン油及びこめ油の機能拡大による新商品開発に注視したい。糖質カテゴリでは独自性のある機能性商品の販売拡大に注力する。飼料事業のレイヤー事業(採卵鶏)では産学連携でのプロモーションにより付加価値を訴求する等で収益規模の拡大を進める。
3. 「中期経営計画23-25」の進捗状況
長期ビジョン「SHOWA Next Stage for 2025」(2018年3月期〜2026年3月期の9年間)の3rd Stage「中期経営計画23-25」最終年度の2026年3月期に、経常利益130億円、ROE(自己資本当期純利益率)7.0%以上、NET D/Eレシオ0.6倍以下、ROIC※1 4.0%以上、CCC※2 75日を達成する計画である。掲げる5つの基本戦略について、2025年3月期は2023年3月期比で「基盤事業の強化」「事業環境の回復・環境変化への対応」で付加価値商品の拡販や販売数量の回復により目標値を上回ったものの、適正な価格改定を実現できず前期比で大幅に縮小し、課題が残る。「事業領域の拡大」では海外事業の好調が後押したものの、冷凍食品事業が低迷し、2023年3月期比の目標値を下回っており次期中期経営計画での議論が必要だ。グループ連携、ユーザーイン営業、顧客接点の確保、パートナー連携、適性価格への対応等、2025年3月期の結果を踏まえ現時点で見える課題に随時取り組み、目標達成を目指す。
※1 ROIC=税引後営業利益(法人税等を営業利益の30%として計算)÷投下資本(有利子負債(NET)+自己資本)
※2 CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル):運転資金の回転期間=売上債権回転日数+棚卸資産回転日数−仕入債務回転日数
■Key Points
・2025年3月期は価格改定に苦戦し減収減益
・2026年3月期は付加価値商品の拡大に注力し、売上高、営業利益ともに前期並みまで回復を見込む
・ベトナム工場稼働でアセアン市場に進出
・オープンイノベーションからファインケミカルとオレオケミカルへ事業領域を拡大
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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