ディーエムソリュ Research Memo(6):ダイレクトメール事業が全体業績をけん引
ディーエムソリューションズの最新の業績報告によれば、同社のダイレクトメール事業が全体の業績を大きく牽引しています。この事業では、強力な提案型営業や価格競争力を活かしたワンストップサービスを展開し、生産能力を大幅に拡大した結果、大型案件に対応可能な受注基盤を整備しました。 また、ECの拡大に伴い、フルフィルメントサービスの需要も増加しており、新たに運営を開始した国立フルフィルメントセンターの稼働によって能力を向上させています。この動きに伴い、新たな拠点の展開も検討中です。 一方、インターネット事業は、収益環境の変化に伴い売上と利益が減少しましたが、EC支援やSNS運用代行への新規参入を進めています。アパレル事業では、新商品企画や販売価格の見直しが行われた結果、売上が大幅に増加しました。
2. セグメント業績の状況
セグメント別の業績は、ダイレクトメール事業が売上高18,610百万円(前期比17.0%増)、調整前セグメント利益1,053百万円(同19.3%増)、インターネット事業が売上高1,174百万円(同10.8%減)、調整前セグメント利益226百万円(同15.6%減)、アパレル事業が売上高1,371百万円(同38.9%増)、調整前セグメント利益52百万円(同2.2%減)と、セグメントによって結果がまちまちではあったが、ダイレクトメール事業が全体業績をけん引した。
(1) ダイレクトメール事業
ダイレクトメール事業では、企画制作からデザイン、印刷、封入・封緘作業を一括して手がけるワンストップサービスの提供や、営業力、価格競争力など強みを生かした提案型営業を積極的に展開した。発送代行サービスでは、「セルマーケ」などのWEBサイト経由の受注を強化することで、販路の拡大、小ロット既存客のリピート、従業員の対面業務削減による業務の効率化と生産性の向上を図った。また、大型の機械を3台(定形外自動封入封緘機1台及びラッピングシステム2台で計4億円規模の設備投資)導入、これにより月間約200万通へと生産能力が増加したことで、従来、受注のキャパシティ面を課題としていた国や自治体、大手企業が依頼主となる大型案件に対する受注基盤を整備できた。これらDM作業の機械化・自動化によって作業原価の低減や収益性の改善も見込んでいる。
フルフィルメントサービスでは、EC市場の拡大に伴い需要が増加している宅配便などの小口貨物に関して、新たに国立フルフィルメントセンターを稼働させるなど、サービス提供体制を強化した。国立フルフィルメントセンターは2024年6月に稼働して以降、1年も経たずに8割程度の稼働率となるなど順調なスタートとなったが、なかには他社からシフトしてきた大口既存客もあったようだ。処理能力は宅配便系で280万個から400万個に拡大したが、このペースでいくと1〜2年で埋まることが見込まれるため、すでに新たな拠点展開の検討に入った模様である。また、需要増加や家賃負担を考慮すると、自社の大型センターを新たに建設して手狭となった各地のセンターを集約することも経営課題として認識しているようだ。一方、営業力に加えてインターネット事業のスキルを生かしたことで、EC事業者向け物流代行サービス「ウルロジ」の簡便で安価なサービスに対する認知度が上昇、顧客ニーズにフィットしたこともあって新規顧客の獲得や大口顧客の出荷関連業務が順調に増加した。
この結果、新規顧客の開拓と既存顧客からの受注が堅調に推移し、両サービスともに売上高を大きく伸ばした。利益面では、国立フルフィルメントセンターの開設コストをDM発送代行サービスでカバーした。なお、2024年1月末のクロネコDM便廃止に伴い、価格面で優位性のある同社の特約ゆうメールへの切り替え需要が発生し、業績拡大につながっている。ヤマト運輸(株)が日本郵便(株)へ「クロネコゆうパケット」配達委託中断を申し入れている件については、同社はヤマト運輸とも関係が深いので大きな問題にはならないようだ。また、2024年10月にはがきと定形郵便物の手紙のうち重さ25グラム以下の郵便料金が値上げとなり、レターパックや速達料金も値上げされる可能性が出てきた件に関しては、郵便の長期減少傾向が加速する一方で法人需要はあまり減らず、むしろダイレクトメール事業での実績と独自の強みを有する同社への切り替えが進んでいるようだ。
(2) インターネット事業
インターネット事業では、既存サービスに注力するとともに、EC支援サービスの拡大に向けた取り組み、ダイレクトメール事業との連携強化、SNS運用代行や縦長動画の制作といった新領域への進出などを進めた。デジタルマーケティングでは、コンサルティング型デジタルマーケティングサービスの提供を強化するとともに、インターネット広告自体がレッドオーシャン化していることから、SNS広告やEC支援サービスなど新領域に挑戦する基盤づくりを進めた。バーティカルメディアサービスでは、これまで培ったWebサイトのコンテンツ制作ノウハウを生かし、ライフスタイルジャンル全般を扱う商品・サービスの比較情報サイト「collect.」をはじめ、事業環境変化に柔軟に対応した収益性の高い自社メディア戦略を実行した。しかし、SEO施策や提携メディアの収益環境の変化や、EC関連サービスなどへのリソース配置もあって、インターネット事業の売上高、利益はともに減少した。
(3) アパレル事業
アパレル事業では、収益向上に向けて、ビアトランスポーツの販売体制や経営体制の整備・充実により営業の強化を進めた。また、ビアトランスポーツのサイトを通じた通常の販促を進める一方で、販売価格の見直しや日本向けにアレンジした別注商品の企画販売、卸業者に見やすいショールームへの刷新といった施策も実施した。価格見直しによって販売価格は上昇したが、アメカジ無地Tシャツで米国製にこだわる人が一定数いるため販売数は落ちておらず、一定程度の粗利額は確保できた模様である。この結果、大幅増収となったが、為替やインフレなどの影響は価格見直しを超え、利益面では横ばい圏にとどまった。なお、小売や卸など物売りによるEC販売のノウハウは着実に蓄積できた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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