サスメド Research Memo(8):開発パイプライン拡充やDTxプラットフォーム事業の契約拡大を推進
サスメドは、DTx(デジタル治療)プロダクトの開発パイプライン拡充とプラットフォーム事業の契約拡大を通じて長期的な収益最大化を目指しています。医療機関や学術機関、製薬企業との共同研究やアライアンスを推進し、海外展開も視野に入れて進出国を選定中です。具体的な共同研究例として、精神疾患やメンタルヘルスケアに関するプロジェクトが挙げられます。サステナビリティ経営では、ICTを活用して持続可能な医療サービスの提供を目指し、環境への貢献や医療課題の解決を基本方針としています。医療用アプリの開発は環境負荷を最小限に抑え、医療費抑制に寄与します。また、人材育成や内部ガバナンスを強化し、社員の年休取得率や定着率の向上を図っています。さらに、公的研究費を活用して医療の持続可能性を追求する研究開発も行っています。
1. 成長戦略
サスメド<4263>は研究開発段階にあるため数値的な目標となる経営指標は設定していないが、成長戦略として、DTxプロダクト事業では長期的視点での収益最大化に向けた開発パイプライン件数拡充や臨床試験進捗を、DTxプラットフォーム事業では収益の継続的かつ累積的な増加を実現するための契約件数拡大や新サービス拡充などを、重要な経営指標と位置付けている。これらの経営指標を高めるために、医療機関・学術研究機関・製薬企業などとの共同研究やアライアンスなども推進している。さらにDTxプロダクト事業の海外展開として、法令の有無、保険償還の仕組み、市場規模、競合の有無などの要素を複合的に判断し、進出国を選定中である。
共同研究の取り組み事例としては、2022年5月にNCNPと共同で、「多様なソースから収集するデータの蓄積と利活用のための個人情報の非特定化手法の開発とデータ加工技術の確立並びにデータの質担保に関する研究開発」を開始した。本研究はAMED令和4年度障害者対策総合研究開発事業「データ利活用を推進するための臨床データの加工手法と質の担保に関する研究開発」に採択されている。
同年9月には滋賀大学と、「信頼されるAIシステムを実現するための因果探索基盤技術の確立と応用」として、因果探索基盤技術に関する共同研究契約を締結した。本研究はJSTの2022年度戦略的創造研究推進事業(CREST)に採択されている。同年10月にはNCNPと、「全世代対応型遠隔メンタルヘルスケアシステム(KOKOROBO-J)によるメンタルヘルスプラットフォームの開発・社会実装」に関する取り組みを開始した。本取り組みはJSTの令和4年度「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に採択されている。2024年4月には名古屋大学と、「精神疾患リスクバリアントに基づくモデル系の活用と多モダリティ産学連携による創薬シーズ及び層別化バイオマーカー開発」に関する取り組みを開始した。本取り組みはAMEDの令和5年度「産学官共同mission-oriented(MO)型創薬技術研究プロジェクト(GAPFREE6)」として採択されている。
事業を通じて社会課題解決に貢献
2. サステナビリティ経営
同社はサステナビリティ経営について、ミッションに「ICTの活用によって持続可能な医療サービスを社会に提供し続けること」を掲げ、同社の事業活動を通じて社会の持続可能性の向上と同社の企業価値の向上の両立に努めることを基本方針としている。そしてサステナビリティに関する重要課題を選定するとともに、それぞれに対する戦略を策定してサステナビリティ活動に取り組んでいる。
マテリアリティとしては、環境への貢献、医療課題解決のための製品・サービスの提供、人材育成・社内環境整備、コーポレート・ガバナンスの強化を掲げている。環境への貢献では、治療用アプリはその特性上、一般的な医薬品・医療機器等の製造過程で発生する環境負荷(工場稼働における温室効果ガスの排出、水資源の利用・汚染、産業廃棄物の発生など)が発生しないため、社会全体の環境負荷の軽減に貢献する。医療課題解決のための製品・サービスの提供では、治療用アプリの開発は、一般的な医薬品・医療機器等に比べて開発期間短縮や開発コスト圧縮が可能となるだけでなく、ソフトウェア自体が製品となるため医療機器製造販売承認後も製造設備が不要であり、開発・製造の各プロセスにわたって発生しうる各種リスクを低減することで、医療費の適正化や抑制を図ることが可能になる。また臨床試験システムSUSMED SDSも、モニタリング業務の工数・費用を削減することで、開発コストの圧縮・医療費の抑制に寄与する。
人材育成・社内環境整備では、5つの行動指針として「常に社会的意義を考える」「本質的な成果にこだわる」「プロフェッショナルとして尊重する」「成長を楽しむ」「客観的に考え主体的に動く」を定め、採用基準の1つとするとともに、これらの価値観に基づく環境整備と制度構築に取り組んでいる。こうした取り組みによる成果の一例として、全社員の年休取得率は2023年6月期の67.3%から2024年6月期には81.8%へ向上した。また定着率(目標80%程度)は79.2%から83.3%へ向上した。コーポレート・ガバナンスの強化では、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス(企業倫理・腐敗防止)、リスクマネジメント(BCP管理・情報セキュリティ)、知的財産の活用及び創出環境の強化の4点を重点項目として、その状況を定量・定性両面の複数の指標で測定・評価している。
なお2024年2月には同社の臨床開発部が文部科学省より、科学研究費補助金取扱規程において規定されている研究機関としての指定を受けた。公的研究費を有効に活用することで、新たな治療法の提供、アンメットメディカルニーズの充足等による臨床現場の効率化、医療リソースの適正配置などを目的とした医療の持続可能性に資する研究開発活動を強化する。またコーポレート・ガバナンス強化に向けて、2023年7月に取締役の指名・報酬に関する事項の諮問機関としてガバナンス委員会を設置したほか、2024年9月には監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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