ロココ<5868>は、2023年12月に東証スタンダード市場に上場したIT企業で、大企業のITシステムの運用・保守を行うITサービスマネジメント事業やServiceNow※事業のほか、アプリケーションの受託開発や自社開発製品である顔認証システムやチケッティングシステム等の事業を展開している。オフショア開発拠点として中国とフィリピンに子会社を持つ。
※ 米国ServiceNow
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比8.7%増の7,803百万円、経常利益で同1.9%減の441百万円と増収減益決算となった。売上高はServiceNow事業が同2割増と好調を持続したほか、ITサービスマネジメント事業も堅調に推移したこと等により過去最高を更新した。一方、利益面では体制強化に伴う人件費の増加や受託開発案件の着手時期が予定よりも遅れたことに伴うエンジニアの一時的な稼働率低下に加え、上場関連費用や顧客との関係強化に伴う一過性の費用を計上したことが減益要因となった。
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比10.4%増の8,610百万円、経常利益で同11.5%増の492百万円と2ケタ増収増益となる見通し。企業の活発なDX投資を追い風としたServiceNow事業の成長が業績のけん引役となる。また、その他の事業も既存顧客へのアップセルやクロスセルを推進することで増収を見込んでいる。人件費が引き続き増加するものの、増収効果や前期に計上した一過性費用がなくなることで増益となる。期初の業績予想が未達に終わっただけに、今回の利益計画については保守的に策定しているものと見られる。
3. 成長戦略と株主還元方針
成長戦略としては、エンジニアの人材投資を継続しながら、ServiceNow事業の拡大、顔認証システムの収益力向上に取り組むほか、コンサルティングビジネスも新たに展開し、老朽化したITシステムの更新需要を取り込むことでさらなる収益成長を目指す。M&Aについても引き続き検討していく。配当方針は業績、財務状態及び将来の事業展開に必要となる資金需要等を総合的に勘案し決定することを基本方針としている。2024年12月期は創立30周年記念配(10.0円)を含めて1株当たり配当金30.0円を実施し、2025年12月期は普通配当で前期比5.0円増配の25.0円(配当性向29.0%)を予定している。
■Key Points
・ITサービスマネジメント事業を祖業にM&Aで事業領域を拡大しながら成長
・2024年12月期は一過性費用の計上等により減益となるも売上高は過去最高を更新
・2025年12月期はServiceNow事業がけん引し2ケタ増収増益へ
・人材投資の継続とServiceNow事業、顔認証システムの成長により収益拡大を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>