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カンロ Research Memo(7):目指すはキャンディメーカーNo.1


■中期経営計画

1. 経営理念と中期経営計画の考え方
カンロ<2216>の使命は消費者に「美味しさ・楽しさ・健康」を提供することであり、そのためには永続的に一定水準以上の利益を出し続けなければならない。でなければ、「美味しさ・楽しさ・健康」を消費者に提供することができなくなるからである。

同社は2014年に中期経営計画を策定し、2019年に売上高250億円、経常利益15億円の達成を目指して、5項目の「カンロ構造改革」と利益の早期回復を掲げた。しかし、2014年12月期にカルピス問題により利益が赤字転落したため、第4項目の拡大戦略を選択と集中へと変更し、短期的な処置を施すこととなった。その後収益回復の傾向が見えてきたことから、2016年に改めて中期経営計画「NewKANRO 2021」を策定し、2021年12月期に売上高260億円、経常利益26億円を目指すことになった。改めて目指すのはキャンディNo.1企業である。

同社は、回復したとはいえピーク利益に程遠い現状の利益水準を十分とは考えていない。そのため、「NewKANRO 2021」における基本戦略は成長戦略となっている。利益が損失から回復するなかで、不十分とする部分と、同社は同意しないかもしれないが、弱みが明確になった部分があると考えている。不十分とする部分は、安心安全のために最優先される品質、認知度が高く愛されるブランド力、シェアでも利益水準でもトップの売上と利益のことである。そして弱みは、先述したノウハウの蓄積やロングセラーの活躍など長所になっていた「老舗」が裏目に出て、変化への対応が鈍くなっているかもしれないことである。逆に言えば、不十分を充足して弱みを克服すれば、おのずと2021年12月期の経常利益26億円が近づく。そのための戦略が「売上高拡大戦略」と「経営基盤の強化」の両輪という理解である。

「売上高拡大戦略」では、近年市場が拡大しているグミの大幅な売上高増加を狙う。食感、美味しさ、パッケージ形態など様々な角度で開発を進め、新奇性の高いグミ製品の開発を目指す。また、生産量を増加させるための設備投資も実施する計画である。一方、飴に関しては既存の主力品のブラッシュアップに加え、付加価値の高い機能性製品や新しく美味しい製品を開発する。リテールサポートによる既存取引先の深耕、新販路の開拓も売上増加に寄与するだろう。

「経営基盤の強化」では、経営企画本部の新設、原価低減担当役員の設置、経営判断の迅速化など経営体制を見直した。今後は無駄の排除と原価低減を徹底的に進めることで収益力を一段と高めるとともに、品質保証体制の充実、人材育成を強化する人事制度への移行、情報システム環境の整備、CSR活動の推進などにより、経営基盤を一層強化していく方針である。

目指す利益水準も、それを達成するための売上高拡大戦略も経営基盤の強化も、非常に志が高い。高いという以上に、実際に中期経営計画を推進する従業員の見たことのないはるか彼方かもしれず、目線を引き上げること自体が一苦労だろう。達成は困難極まるものに思われる。しかし、「老舗」である限り、一定程度の利益を獲得するのは難しくないが、一定以上の利益を目指すには大きな変革が必要となる。したがって、これくらいの高い目標と強いマネジメントは必然と言っていいだろう。
とはいえ、2017年12月期上期から経営体制の見直しやリテールサポートの導入などが機能し、大幅増益という良好なスタートを切ることができた。このため社内のモチベーションも上がっている様子である。「老舗」として守るべきは守り、進歩すべきは進歩する、困難至極と思われるような高い頂も、モチベーションが高ければ意外と早く手が届くかもしれない。2018年2月には慣れ親しんだ中野から新宿へと本社を移転し、いよいよ中期経営計画にロックオンする。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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