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NYの視点:中国製造業の鈍化目立つ、関税の影響で


米国、カナダ、メキシコは新たな貿易協定、USMCAで合意した。カナダとの交渉がはかどらず期限切れで、米国のライトハイザーUSTR代表は先週末、メキシコと2国間合意で進める方針を示していた。また、トランプ大統領もカナダの交渉方針に不満を表明し、トルドー首相の会談の申し出を断っていただけに、合意はポジティブサプライズとなった。

今後は日米、欧米の貿易交渉に注目が集まる。最大の難関は米中貿易問題となる。トランプ大統領は、中国は米国と非常に合意を望んでいるだろうが「時期尚早」とし、日本や欧州連合(EU)との交渉を優先する可能性がある。

中国経済で関税の影響が具体化し始め、成長鈍化の兆しが見えた。国家統計局が発表した9月の製造業購買担当指数(PMI)は50.8と、8月の51.3から低下し2月来で最低となった。特に輸出向け新規受注は48と、4カ月連続で、拡大と縮小の境目となる50を割り込み、2016年以降2年ぶり低水準に落ち込んだ。また、財新伝媒が発表した9月製造業PMIも50と、前月の50.6から低下。2017年5月以降ほぼ1年半ぶり低水準となった。結果を受け、エコノミストは「製造業の伸びは9月に大幅に鈍化し、中国経済に著しい下方圧力になる」と警告。

外国からの需要が鈍化、内需も滞り、製造生産が減少した。エコノミストや中国政府のアドバイザーは、政府が成長を押し上げるための刺激策に踏み切る可能性が強いと見ている。中国人民銀行は今年、市中銀行の預金金利を3度にわたり引き下げてきたが、4回目の引き下げも予想されている。

米国はすでに2500億ドル規模の中国輸入品に関税を課している。あと2670億ドル規模の中国製品に関税を発動し、全中国輸入品に対して関税を発動することも辞さない構え。これに対し、中国は1100億ドルの米国製品に報復関税を発動しているが、2017年度の米国からの輸入総額は1300億ドルであることから、ほぼ全米国輸入品に関税を課した形。報復手段が底をつきつつある。さらなる中国の経済鈍化を回避すべく、米国との貿易交渉に応じるとの期待も強まりつつある。

トランプ大統領の戦略は今のところ機能しているようだ。24年ぶりのNAFTA再交渉や今後期待される他国との貿易交渉が成功した場合、すでに強い米国経済の成長が一段と強まる可能性がある。



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