図表A
図表B
図表C
図表D
経済産業省が推進するDX認定制度において、2022年6月時点のDX認定事業者(法人)415社の状況をまとめたものです。日本の法人企業数が約500万社と言われる中で、DX認定は、日本企業全体の0.008%しか取得していない希少な認定制度であり、当該415社はDXに積極的に取り組む先進的な企業であるといえます。
DX認定事業者一覧を分析したところ、上場企業や売上高・資本金規模の大きい企業が名を連ねており、リスモンが提供するRM格付でも高格付(A~C格)企業が8割超と、信用力という基準においても、評価の高い企業がDX認定を取得していることがわかります。
また、DX認定制度開始から1年が経過した2022年4月から6月においては、DX認定を受けた事業者における非上場企業の割合が過半数となっており、デジタル技術と明確な事業戦略を保持する非上場企業にも認定取得の動きが広がっている様子が表れています。
現在DX認定を取得している事業者においては、DXに取り組むリーダーとして、DXを活用した事業展開を進め、日本経済全体を牽引する活躍を期待します。
▼本調査の結果は以下掲載サイトでもご覧いただけます。
https://www.riskmonster.co.jp/mailmagazine/post-12726/
[分析結果]
(1)DX認定事業者数の推移
2022年6月時点のDX認定事業者数(法人)は、415社となっています。DX認定は、「企業のDX戦略」のアピールに活用できるほか、経済産業省と東京証券取引所が連携して取り組んでいる「DX銘柄」及び「DXグランプリ」、「DX注目企業」の選定条件となっていることから、ディスクロージャーを重視する上場企業を中心に認定が進んでいます。リスモン(スタンダード市場上場)においても、AI技術を活用したサービス提供が評価され、2022年3月にDX認定を取得しています。
3か月毎のDX認定を受けた事業者数の推移としては、2021年及び2022年において「4月~6月」の認定が多くなっています。制度初年の「2021年4月~6月」は、「DX銘柄2021」のエントリーに合わせてDX認定を申請した上場企業が多く、プライム市場を中心とした上場企業がDX認定事業者の大多数を占めています。
一方で、直近の「2022年4月~6月」は、非上場企業の認定が過半数を占め、認定事業者数としても四半期別で過去最多の116社となりました。DX認定制度開始以降、国内最上位のプライム市場に上場する企業が続々とDX認定を取得する中で、「DX認定企業=上場企業/優良企業」というイメージが浸透した結果、企業のブランド価値や信用力の向上につなげるためにDX認定取得を試みる企業が増加していることが考えられます。
DX認定においては、申請から認定取得までに、経営者が自社の事業環境やビジネスモデルを見つめ直すプロセスが設けられています。DX認定制度開始から1年半が経過し、デジタル技術を活用した明確な事業戦略を保持している企業が、上場企業だけでなく非上場企業にまで広がっている様子が表れています。(図表A)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/318833/LL_img_318833_1.png
図表A
(2)DX認定事業者の業種構成
DX認定事業者の業種構成としては、「製造業」(95社)が最も多く、次いで「情報通信業」(85社)、「卸売業、小売業」(65社)となりました。2022年6月時点においては、デジタル技術と親和性の高い「情報通信業」よりも「製造業」の方が、DX認定事業者が多い結果となっています。
上場市場別の業種構成としては、プライム上場の「製造業」(78社)が最も多く、次点のプライム上場の「情報通信業」(35社)や「卸売業、小売業」(38社)の2倍超となっています。一方で、非上場企業においては、「情報通信業」(38社)が最も多く、「卸売業、小売業」(24社)、「金融業、保険業」(20社)の順となり、「製造業」(15社)は非上場の上位3業種に入りませんでした。
DX認定に関しては、「製造業」の上場企業が、特に強い関心を持っている様子が表れています。背景としては、製造業の慢性的課題である「人手不足」、「俗人的改善による部分最適」(『2021年版 ものづくり白書』経済産業省より)や世界情勢の変化を背景とした先行き不透明な事業環境に対する危機感があると思われ、「製造業」の中でも業界をリードする上場企業が先行してDXの取り組みを進め、競争力の強化を図ろうとしていることがうかがえます。(図表B)
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/318833/LL_img_318833_2.png
図表B
(3)DX認定事業者が多い上位業種の中分類内訳
DX認定事業者の上位業種である「製造業」、「情報通信業」、「卸売業、小売業」の中分類業種(日本標準産業分類)を調査したところ、「製造業」では「化学工業」(15社)、「情報通信業」では「情報サービス業」(66社)、「卸売業、小売業」では「機械器具卸売業」(18社)が最も多い結果となりました。「情報通信業」において「情報サービス業」への偏りが大きいことが特徴的です。
「情報サービス業」(66社)は、主に受託開発ソフトウェア業、情報処理サービス業、パッケージソフトウェア業等を担う業種であり、リスモンも「情報サービス業」に含まれます。「情報サービス業」は、各産業のデジタル化支援を担う中心的な業種であるといっても過言ではなく、今後のDX認定事業者数増加が期待される業種の一つであるといえます。
また、DX認定制度だけではなく、2021年9月に発足したデジタル庁の影響もあり、デジタル・ガバメント構築に向けた官民のITシステム投資の機運が高まっていることから、デジタル化推進の文脈において、「情報サービス業」の存在感は、より一層高まることが予想されます。(図表C)
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/318833/LL_img_318833_3.png
図表C
(4)DX認定事業者の業種と売上高規模比較
DX認定事業者の売上高規模としては、「100億円以上」(319社)が最も多く、次いで「10億円~50億円未満」(43社)、「50億円~100億円未満」(23社)となり、全体の76.9%が「100億円以上」の大企業です。(2)DX認定事業者の業種構成DX認定事業者より、上場企業が279社(構成比67.2%)であることを踏まえると、非上場企業においても、事業規模の大きい企業のDX認定が多いことがうかがえます。
業種別売上高規模別の状況としては、売上高「100億円以上」の「製造業」(84社)、「卸売業、小売業」(54社)、「金融業、保険業」(50社)の順にDX認定事業者数が多くなっています。「情報通信業」においては、売上高10億円以上の企業において各レンジ10社以上のDX認定実績がある一方で、「情報通信業」を除くほとんど全ての業種において、売上高「100億円以上」の企業に偏る結果となっています。非IT系の業種においては、業界をリードする事業規模の大きい企業がDX認定の取得に積極的である様子が表れています。
昨今のビジネス潮流において、事業運営へのデジタル技術の活用は、業種を問わず、全ての企業の必須条件となりつつあります。事業規模の大小に関係なくDXが浸透する業種こそ、成長が期待できる業種であるといえます。今後、売上高規模の小さい企業においても、DX認定の取得が進むことを期待します。(図表D)
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/318833/LL_img_318833_4.png
図表D
(5)DX認定事業者の資本金と業歴比較
DX認定事業者の業歴としては、「50年以上」(231社)が最も多く、次いで「20~30年未満」(45社)、「10~20年未満」(42社)の順となりました。業歴「50年以上」の大半は、資本金「100億円超」(165社)であることから、老舗大企業がDXへの取り組み意識が高いことがうかがえます。
法人税法上の中小企業にあたる資本金「1億円以下」(75社)の業歴に注目すると、「10年未満」(19社)が最も多く、次いで「50年以上」(18社)となっています。中小企業においては、業歴による偏りは少なく、若い企業から老舗企業までDXに取り組んでいるといえます。
日本のインターネットやデジタル技術が1990年代以降に普及したことを踏まえると、業歴「50年以上」の企業は、デジタルを前提としないビジネスで設立し、現在のDX認定取得にまで至った先であるといえます。業歴「50年以上」の231社については、時代の変化を上手く捉えて対応することのできる企業であり、特に業歴「50年以上」かつ資本金「100億円超」の企業は、潤沢な資本体力を武器として、時代の変化に対して柔軟に対応できる企業といえます。(図表E)
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/318833/LL_img_318833_5.png
図表E
[総評]
経済産業省が推進するDX認定制度において、2022年6月時点のDX認定事業者(法人)415社の状況をまとめたものです。日本の法人企業数が約500万社と言われる中で、DX認定は、日本企業全体の0.008%しか取得していない希少な認定制度であり、当該415社はDXに積極的に取り組む先進的な企業であるといえます。
DX認定事業者一覧を確認したところ、有名かつ優良な企業が多く名を連ねており、企業のセグメント別分析においても、上場企業や売上高・資本金規模の大きい企業が多いことがわかりました。また、リスモンが提供する信用格付けであるRM格付を確認したところ、高格付(A~C格)企業が全体の8割超を占めており、信用力という基準においても、評価の高い企業がDX認定を取得していることがわかります。(図表F)
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/318833/LL_img_318833_6.png
図表F
DXは、経済産業省がまとめたDXレポート(2018年)を発端に、現在に至るまでに日本のビジネスシーンの一大トレンドとなりました。同レポートの中で議論となった「2025年の崖」まで残り3年と迫る中、DXの取り組み可否に応じて、企業の淘汰が急速に進んでいくことも十分に考えられます。現時点で国内法人の0.008%のみに留まっているDX認定事業者が、どの程度増加していくかが、今後の日本経済の競争力を測る一つの指標となり得ます。
現在DX認定を取得している事業者においては、DXに取り組むリーダーとして、DXを活用した事業展開を進め、日本経済全体を牽引する活躍を期待します。
当社、リスモンにおいても、与信管理事業を中心にDXを活用したサービスを提供し、日本経済に貢献できるように努めて参ります。
※本編は以下掲載サイトでもご覧いただけます。
https://www.riskmonster.co.jp/mailmagazine/post-12726/
■DX認定制度の概要
DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づく認定制度。デジタル技術による社会変革を踏まえた対応指針が記された「デジタルガバナンス・コード」に沿って、経営ビジョンの策定やDX戦略・体制の整備を行い、DX推進の準備が整っている(DX-Readyの状態)事業者を国(経済産業省)が認定しているもの。
2022年6月末時点の認定事業者は420事業者(法人:415社 個人事業主:5事業者)となっている。
DX 認定制度事務局(独立行政法人情報処理推進機構)サイト: https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxcp.html
■リスモン調べとは
リスモンが独自に調査するレポートのことです。これまでリスモンでは企業活動関連の調査として他にも「100年後も生き残ると思う日本企業調査」「環境への配慮が感じられる企業調査」や「この企業に勤める人と結婚したいアンケート調査」などを発表しております。
今後も「企業活動」に関するさまざまな切り口の調査を実施することで、企業格付の更新に役立てていくとともに、情報発信を行うことで新しい調査ターゲットの創出、新サービスの開発などに取り組んでまいります。
掲載サイトはこちら http://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
■リスモンの概要(東京証券取引所スタンダード市場上場 証券コード:3768)
2000年9月設立。同年12月よりインターネットを活用した与信管理業務のアウトソーシングサービス、ASPクラウドサービス事業を開始しました。以来、法人会員向けビジネスを要として、教育関連事業(定額制の社員研修サービス「サイバックスUniv.」)やビジネスポータルサイト事業(グループウェアサービス等)、BPOサービス事業、海外事業(利墨(上海)商務信息咨詢有限公司)にサービス分野を拡大し、包括的な戦略で事業を展開しております。
リスモングループ法人会員数は、2022年3月末時点で14,103(内、与信管理サービス等7,199、ビジネスポータルサイト等3,154、教育事業その他3,750)となっております。
ホームページ : https://www.riskmonster.co.jp/
リスモンにおけるDXへの取組: https://www.riskmonster.co.jp/corporate/dx/