酪農家と加工職人たちの間で古くから受け継がれてきた歴史と伝統。それが、ペコリーノ・ロマーノを、イタリア国内外の美食の世界において「卓越した存在」にしている源です。
どれほどすばらしいレシピを考えても、上質な原材料という土台がなければ、おいしい料理にはなりません。
ペコリーノ・ロマーノのおいしさの秘密は、高級羊、サルダ種から搾乳した羊乳にあります。自然の牧草を食べさせ、野生に近い状態で飼育されたサルダ種の羊から取れるミルクは質の高さで知られており、「味わい」「栄養」のどちらにも優れたチーズの原料となります。
さて、この度は、「味わい」「栄養」に優れたペコリーノ・ロマーノ を、普段の食生活へ上手に取り入れる方法を探るべく、栄養学の専門家であり、「ライ(Rai)」、「メディアセッテ(Mediaset)」、「スカイ(Sky)」 等イタリア大手メディアの他、イタリア各局の有名テレビ番組への出演でも知られるロレンツォ・トラヴェルセッティ先生に、ペコリーノ・ロマーノ の栄養特性について伺いました。


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~以下、ロレンツォ・トラヴェルセッティ先生へのインタビューより抜粋~
- トラヴェルセッティ先生、ペコリーノ・ロマーノ は主要原材料である、羊乳の濃厚で香り高い味わいが特徴的ですが、栄養的に牛乳とはどのように異なるのでしょうか?
生乳は単なる飲み物ではなく、たくさんの栄養素の混合物と言えるものです。そのため、同じ生乳といっても含まれている栄養素の種類は牛乳と羊乳とで異なります。牛乳は羊乳よりも生産量が多く、販売も消費も盛んなため、価格が安定しています。羊乳よりも安価で手頃ですね。
ただ、食品の分野において価格的な手頃さを優先してしまうと、栄養面が疎かになってしまうことがあります。それでは、牛乳と羊乳の栄養素の違いをご説明します。まず、羊乳の脂質は牛乳のおよそ2倍にも上ります。しかしこの脂質は、オメガ3や共役リノレン酸、オメガ6群といった多価不飽和脂肪でもあるのです。こうした脂質は、肝臓を刺激し、溜まった脂肪からエネルギーを生成する作用があり、免疫の安定や脂肪の分解に重要な役割を果たします。また、同時に空腹感を抑える作用もあり、食べすぎによる肥満の予防にもつながります。とは言え、脂質には注意も必要ですね。生乳の脂質の大部分を占めるのはコレステロールなのですが、実は羊乳は牛乳よりもコレステロールの含有量がずっと少ないという特徴があります。
牛乳と羊乳のもう一つ重要な違いとしては、タンパク質の含有量が挙げられます。羊乳はカゼインを豊富に含み、タンパク質含有量が80%にもなります。また、骨の健康に欠かせないカルシウムとリンはどちらにも豊富に含まれますが、羊乳における含有量の方が牛乳をはるかに上回ります(牛乳のおよそ1.5倍)。
さらに、羊乳の方が牛乳よりはるかに多くのタンパク質B群(B2、B5)を含んでいます。ビタミンCの含有量もとても多いですね(羊乳、ヤギ乳では牛乳のおよそ2倍)。また、羊乳の脂質にはビタミンAやEの吸収を助ける働きもあります。
- ペコリーノ・ロマーノ の栄養特性についてお話しいただけますか?
脂質を多く含むペコリーノ・ロマーノは高カロリーな食品です(100gあたりおよそ400kcal)。総カロリーの65-70%が脂質、残りのカロリーはタンパク質によるものですので、炭水化物はほぼ含まれない食品ということになります。また、100gあたりの塩分が最大3g(3%)と高めであることから、さまざまなお料理に活用することができます。ビタミンB2、B3、B5、B12といったビタミンB群に加え、ビタミン A、C、Eも豊富です。
ミネラルで多く含まれるのはカルシウムとリンですが、ペコリーノ・ロマーノ1人分で、1日に必要なマグネシウムの10%近くや鉄分、亜鉛、カリウムも摂取することができます。
- 今教えていただいた栄養特性を踏まえると、ペコリーノ・ロマーノを食べることが推奨されるのはどのような方ということになるでしょうか?
カルシウムとリンが豊富なペコリーノ・ロマーノは、骨がこれらの栄養を必要とする時期に大変有用です。
健康な骨格を作るためには、幼少期、成長期と、骨が急速に成長する年齢での適正なカルシウム摂取が欠かせません。カルシウム、リンに加え、中程度にビタミンDも含有するペコリーノ・ロマーノを摂取することで、骨へのカルシウムの固定(骨形成)が促されます。そしてもちろん骨からのカルシウムの損失が増加する高齢期においても同じことが言えます。SINU(イタリア人間栄養学会)が提唱する栄養摂取基準量で示された量を守ってペコリーノ・ロマーノを摂取することで、骨が弱くなることを防ぐことができる可能性があります。加えてペコリーノ・ロマーノはスポーツをするために必要な栄養である抗炎症効果のあるオメガ3、6、そしてタンパク質も豊富に含んでいますので、牛乳から作られるチーズに増して、スポーツをする方にも適した食品であると言えます。 そのため、パンと並んで、運動後に口にするのにぴったりの食品です。つまり、座りっぱなしではなく活動的に過ごしている方であれば、あらゆる年齢の方に適した食品と言うことができます。
- 次にペコリーノ・ロマーノを料理に使う場合についてお伺いしたいのですが、栄養学的にはどのような食材との組み合わせが最適でしょうか?
ペコリーノ・ロマーノはいろいろな食べ方のできる食材です。パスタの味付けに使ったり、サラダに加えて風味と栄養価をプラスしたり、朝食と昼食、あるいは昼食と夕食との間の間食としてつまんだりするのにも最適ですね。
ペコリーノ・ロマーノは豊富なタンパク質に加え、8つある必須アミノ酸(人間が身体の中で合成できず、食事によってのみ摂取することのできるアミノ酸)も全て含んでいます。
これらの必須アミノ酸は日頃から摂取する必要があります。ロイシン、バリン、イソロイシンは、トレーニング中のアスリートがよく摂取していますね。この3つの分枝鎖アミノ酸は、疲労を抑え、集中力とパフォーマンスを高め、運動中の筋肉の損失を抑える効果があるとされています。この3つを豊富に含むペコリーノ・ロマーノは、あらゆる意味で優れた栄養補給食品と言うことができるでしょう。特にトレーニング後においては、ジャム(単糖類は筋グリコーゲンの回復に役立ちます)やトーストしたパン(それ自体の消化が良く、タンパク質の消化と吸収を助ける働きもあります)と合わせて摂取すると、スポーツによる疲労回復に最適です。
オススメの食べ方としては、薄く削ってサラダに入れて全粒粉パンと一緒に食べることです。ペコリーノ・ロマーノにはタンパク質と、オメガ3、6を含む脂質が含まれていますので、サラダに加えれば、足りない栄養が補え、バランスのよい食事が取れますよ。
- 栄養士であるトラヴェルセッティ先生からご覧になって、ペコリーノ・ロマーノは、現代的なライフスタイルにおける健康的食習慣に適した食品と言えるでしょうか?
熟成チーズは食べ過ぎには注意が必要ですが、だからと言って食べない方が良いということではありません。
これまで挙げたように、ペコリーノ・ロマーノにはさまざまな栄養素が豊富に含まれていますので、ほんの一口でも、カロリーと栄養がしっかり摂取でき、朝、昼、夜、どの食事にも取り入れられます。朝食によくしょっぱいものを召し上がる方であれば朝食に召し上がっても良いでしょう。ただし摂取量には気を付けてくださいね。量に関しては、一食で50〜60g食べてしまうよりも、1週間で、20gずつ2〜3回(または10gずつ4〜6回)程度、別々の日に分けて食べるようにした方が良いですね。少量ずつにした方が他の食材と合わせて栄養バランスが取りやすくなります。一度にたくさん食べてしまうと、カロリー的にも栄養的にも、バランスが崩れてしまいますからね。


情報提供元:@Press
記事名:「ペコリーノ・ロマーノDOP:身体においしいエネルギー 現代的なライフスタイルにおける健康的食習慣