図表A_勤続意欲
図表B_勤続意欲×年収
図表C_勤続意欲×世代×年収
図表D_勤め続けたい理由
[調査結果]
(1)依然として3人に1人は退職希望
調査対象者600名に聞いた「仕事・会社に対する勤続意欲」は、「今後も勤め続けたい(以下、勤続希望)」(回答率63.7%)が「勤め続けたくない(以下、退職希望)」(同36.3%)を大きく上回る結果となりました。前回調査と比較すると「退職希望」は1.5ポイント増加し、依然として3人に1人は退職を意識している結果となりました。
「勤続希望」と回答した内訳をみると、男女別では女性(同62.3%)よりも男性(同65.0%)の方が勤続意欲は高い結果となりました。
年代別では20代(同60.5%)よりも30代(同63.5%)、40代(同67.0%)と年齢が上がるほど、勤続意欲が高まる傾向が表れています。
未既婚別では未婚(同58.3%)に比べ既婚(同69.0%)の方が10.7ポイント上回っており、既婚者は未婚者に比べて生活の安定を望む姿勢がうかがえる結果となりました。(図表A)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/213514/LL_img_213514_1.png
図表A_勤続意欲
また、年収別にみたところ「300万円未満」(同55.8%)、「300~500万円」(同62.8%)、「500~800万円」(同74.8%)、「800万円以上」(同81.4%)と年収が上がるほど勤続意欲が高まる傾向が表れており年収の高さが勤続意欲に強く影響する結果となりました。(図表B)
さらに勤続意欲を世代別、年収別に集計したところ「20代・300万円未満」以外の全ての層で「勤続希望」が過半数となりました。昨今の不安定な経済動向を反映してか現在の生活を維持するために全体的に勤続意欲は高い傾向が見受けられます。また30代、40代において年収と勤続意欲の相関性が高い点については、結婚や養育などに伴い生活費用が増えることが要因の一つと考えられます。(図表C)
▼図表A_勤続意欲
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▼図表B_勤続意欲×年収
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▼図表C_勤続意欲×世代×年収
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(2)「人間関係」「職場環境」理由も就業意欲に大いに影響
「勤続希望」と選択した理由を尋ねたところ、1位「やりがいのある仕事だから」(回答率31.2%)、2位「安定した会社だから」(同30.4%)、3位「職場の立地や設備がいいから」(同22.3%)という結果となりました。男女別では、男性においては「安定した会社だから」(同34.4%)、「給料が高いから」(同19.0%)、女性においては「女性が働きやすいから」(同26.7%)や「残業が少ないから」(同23.0%)という回答がそれぞれ異性に比べて高い結果となりました。(図表D)
一方「退職希望」と選択した理由を尋ねたところ、1位「給料が低いから」(同40.8%)、2位「仕事にやりがいがないから」(同33.9%)、3位「人間関係がうまくいっていないから」(同21.1%)となりました。世代別では上位の結果に世代差はないものの、40代の4人に1人が「風通しが悪い職場だから」(同25.8%)と回答しており、20代(同10.1%)に比べ15ポイント以上高いなど「退職希望」理由に世代差もうかがえる結果となりました。(図表E)
▼図表D_勤め続けたい理由
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▼図表E_勤め続けたくない理由
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(3)「働き方改革」進めてほしい!
勤務先における「働き方改革」の実施内容ついて調査したところ、「働き方改革」の実施企業と未実施企業は均等であることがわかりました。「働き方改革」の実施に対する評価としては、約6割が「働き方改革」を進めてほしい」(合計回答率59.4%)と回答しています。2020年2月実施の第7回「離婚したくなる亭主の仕事調査」(以下、2020年2月調査)における夫の会社に対する妻の評価と比較すると、会社に対する働き方改革の促進要望は妻(同63.8%)の方が労働者本人よりも強いことがわかります。(図表F)
「働き方改革」の実施内容をみると、1位「有給休暇取得の促進」(回答率57.3%)、2位「残業の制限」(同50.0%)、3位「育児休暇の導入」(同35.7%)でした。「フレックスタイム制の導入」や「短時間勤務の導入」、「介護休暇の導入」、「テレワーク(在宅勤務)の導入」の回答は2020年2月調査において実施した同様の調査の結果と比較すると、10ポイント以上高い結果となっています。これは2月から3月にかけて新型コロナウイルスの感染が拡大し、柔軟な働き方を取り入れている企業が増えたことが要因と推測されます。(図表G)
「今後進めてほしい働き方改革」の内容をみると、1位「有給休暇取得の促進」(同38.5%)、2位「人員増加による業務負担の軽減」(同28.7%)、3位「残業の制限」(同26.7%)でした。上位3項目の「進めてほしい働き方改革」は2020年2月調査において実施した同様の調査の結果と一致しています。
一方で「フレックスタイム制の導入」や「短時間勤務の導入」、「テレワーク(在宅勤務)の導入」と回答する割合は2020年2月調査時よりもそれぞれ10~15ポイント高く、昨今の情勢を鑑み労働者側は新型コロナウイルスの感染リスクを低減する働き方の促進を求めている様子もうかがえます。(図表H)
さらに「働き方改革」の実施状況と勤続意欲を調査したところ、「働き方改革」実施企業に勤務する労働者の4人に3人以上が「勤続希望」(同76.3%)と回答する中、「働き方改革」未実施企業に勤務する労働者は、およそ2人に1人が「退職希望」(同49.0%)と回答しています。「働き方改革」実施企業に勤める従業員の勤続意欲は高いことから、「働き方改革」への取り組みは従業員の勤労意欲に影響を及ぼしているといえるでしょう。(図表I)
▼図表F_「働き方改革」に対する評価×満足度 第7回離婚したくなる亭主の仕事との比較
https://www.atpress.ne.jp/releases/213514/img_213514_6.png
▼図表G_「働き方改革」実施内容
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▼図表H_今後進めてほしい「働き方改革」
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▼図表I_「働き方改革」実施状況×勤続意欲
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[総評]
新年度がスタートし就職、異動などによる環境の変化や大型連休明けの五月病など、仕事に対するモチベーションが変化しやすい時期にある中、現代のビジネスパーソンが自身の仕事や会社に対してどれほどの愛着をもち、勤労を継続するモチベーションに繋げているのかを調査したものが「仕事・会社に対する満足度」調査です。
本調査によれば3人に1人が現在の勤務先から「退職希望」と回答しており、前回調査から勤続意欲は低下傾向となりました。その最大の理由として挙げられているのが「給料の低さ」であり、高収入であるほど勤続意欲は高い傾向が強く表れています。
給料のほか「やりがい」や「出世願望の高さ」、「仕事に対する評価の適正性」も勤続意欲につながる要因として結果に表れています。仕事にやりがいを感じ高い出世意欲を持って精力的に働くだけでなく、その仕事ぶりを適正に評価されることが勤続意欲の下支えとなっており、報酬への反映を含めた評価の適正性が働く上で大きなモチベーションになるといえるでしょう。
さらに「働き方改革」の実施状況調査においては半数の勤務先が「働き方改革」を実施しており、有給休暇取得の促進や残業の制限、育児休暇の導入を中心として取り組んでいることがわかりました。昨今の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、フレックスタイム制・短時間勤務・テレワークの導入が進んでいる様子もうかがえます。一方で「働き方改革」が未実施の企業に対して、労働者側は柔軟かつ感染リスクを低減する安全な働き方の導入を要望している様子もみられました。
「働き方改革」実施企業に勤務する労働者の勤続意欲は高い傾向にあることから、会社側の働き方改善意識が、従業員の勤続意欲に影響しているといえるでしょう。
本調査の結果から、やりがいを感じながら出世意欲を持ち、仕事の結果に対して適正な評価を受けることが高い勤続意欲に繋がることがうかがえます。また、給料や「働き方改革」の促進による安全な働き方の整備も勤続意欲に影響しています。会社側は従業員の自主的なモチベーションに頼るだけでなく、昨今の不安定な経済下においても従業員の生活を保障し得る報酬を支払い、安心して働ける制度を実現していくことが求められているでしょう。
※本編はダイジェスト版です。詳細な内容は、以下掲載サイトよりご覧いただけます。
https://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
[実施概要]
・調査名称 :第7回「仕事・会社に対する満足度」調査
・調査方法 :インターネット調査
・調査エリア:全国
・期間 :2020年3月20日(金)~3月23日(月)
・調査対象者:20~49歳の男女個人 600人
・有効回収数:600サンプル
■リスモン調べとは
リスモンが独自に調査するレポートのことです。これまでリスモンでは企業活動関連の調査として他にも「100年後も生き残ると思う日本企業調査」「環境への配慮が感じられる企業調査」や「この企業に勤める人と結婚したいアンケート調査」などを発表しており、今後も「企業活動」に関するさまざまな切り口の調査を実施することで、企業格付の更新に役立てていくとともに、情報発信を行うことで新しい調査ターゲットの創出、新サービスの開発などに取り組んでいます。
掲載サイトはこちら https://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
■リスモンの概要(東京証券取引所第二部上場 証券コード:3768)
2000年9月設立。同年12月よりインターネットを活用した与信管理業務のアウトソーシングサービス、ASPサービス事業を開始しました。以来、法人会員向けビジネスを要にサービス分野を拡大し、各事業部門・子会社(与信管理サービス、ビジネスポータルサイト(グループウェアサービス等)およびBPOサービス)ごとに取り扱うサービスについて包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
リスモングループ法人会員数は、2020年3月末時点で13,002(内、与信管理サービス等6,527、ビジネスポータルサイト等3,228、その他3,247)となっております。
ホームページ: https://www.riskmonster.co.jp/