
米露首脳は18日、ウクライナでの戦争を巡ってエネルギー関連施設を30日間、攻撃しないことで一致した。ただ広範な停戦合意までには至らず、和平への道のりは不透明だ。
ロシアは以前から、一時的な停戦についてはウクライナ軍に立て直しの時間を与えるとして反対してきた。今回もそのスタンスを一切まげず、30日間の即時停戦案を改めて拒否した。プーチン氏が交渉で主導権を握る構図が鮮明になりつつある。
戦況は引き続きロシア軍に優位であり、ロシアに停戦を急ぐメリットはあまりない。エネルギー関連施設への攻撃停止も戦況に大きな影響を与えるものではなく、ロシアとしては許容範囲だ。限定的な合意により、今後の停戦のカギを握るトランプ氏の顔を立てる配慮だったとも言える。
停戦に向けたロシア側の条件は、これまで終始一貫して変わっておらず、高いハードルを掲げ続けている。電話協議でも「危機の根本原因排除の必要性」を改めて強調した。
一時停戦した際の前線の管理などに疑問を呈し、紛争解決の条件は、ウクライナに対する外国からの軍事援助と機密情報の提供を完全に停止することだと主張している。
また全面停戦が実現しなかったことは、前線で優勢な露軍に追い風となる。ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州では、露国防省が13日、要衝スジャの奪還を発表するなど、露軍が反撃の攻勢を強めている。クルスク州の完全奪還や東部での占領地域の拡大に向け、ロシア側は今回、攻撃を継続する時間を得た形だ。【モスクワ山衛守剛】