
藤井聡太王将(22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦し、藤井王将が3勝1敗と防衛に王手をかけて迎えるALSOK杯第74期王将戦七番勝負第5局(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催)が9日午前9時、埼玉県深谷市の旧渋沢栄一邸「中の家(なかんち)」で再開された。藤井王将の封じ手は検討陣の候補になかった6三金だった。
佐々木慎七段は封じ手候補として、戦場になりそうな6筋から玉が遠ざかる4二玉を本命に挙げていた。6三金は6~7筋の守りを固め、「7二に傷ができるので思い浮かびにくいが、バランス重視で読みの入った手」だという。
永瀬九段は6七銀~5七角と駒を前線から続々と引き揚げて守りを固め、藤井王将は3四銀~2一飛と2~3筋からの攻撃態勢を整えた。
永瀬九段の5八金上(63手目)が佐々木七段の感心した一手。右辺の守りに応援を送った手で、「封じ手局面では永瀬九段の飛車角が攻められそうで藤井王将持ちだったが、永瀬九段が態勢を立て直して駒の自由度が増した今は五分五分になった」という。藤井王将の攻勢が続きそうな展開から一転、長期戦の様相を呈している。
永瀬九段が65手目を考慮中に午後0時半となり、昼食休憩に入った。持ち時間各8時間のうち残り時間は永瀬九段2時間31分、藤井王将2時間30分。
【丸山進】