2025年大阪・関西万博(4月13日~10月13日)の象徴となる大屋根「リング」が完成し、28日、施工業者から万博を運営する日本国際博覧会協会に引き渡された。協会の石毛博行事務総長は記者会見で「万博の目玉となる施設であり、画期的な出来事だ」と語った。
1周約2キロ、高さ最大約20メートルの世界最大級の木造建築物で、「多様でありながら、ひとつ」という万博の理念を表す。建築家の藤本壮介氏がデザインし、日本の神社仏閣で使われる伝統的な建築技法と現代の工法を融合させた。建設費は約350億円。23年6月末に着工し、24年8月に円環が一つにつながった。その後、エレベーターの整備や屋上の植栽を進めていた。
リングは当初、閉幕後に取り壊す予定だったが、「もったいない」との声が上がり、協会が活用策を公募。具体的な提案が寄せられたものの、対象は全体の4分の1程度にとどまり、再利用には追加の解体費用も発生する見通し。大阪府・市は一部を現地に保存して活用する案を検討しており、協会と協議を進める。【長沼辰哉】