
2025年大阪・関西万博が13日、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)で開幕する。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、165の国・地域・国際機関が参加する。12日には、会場内の「EXPOホール シャインハット」で開会式が開かれた。万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)によると、建設の遅れが懸念された海外パビリオンは、5カ国が未完成で開幕に間に合わなかった。
国内での大規模万博は、1970年大阪万博、2005年愛知万博(愛・地球博)に続き3回目。大阪では55年ぶりの開催となる。
開会式には天皇、皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻を招き、石破茂首相、参加国の代表ら約1300人が出席した。天皇陛下は「今回の博覧会を通じて、子どもたちが世界の国や地域、人々への理解を深め、次世代の技術や、SDGsの達成に向けて世界の取り組みなどにも触れることにより、未来の社会について考えることを願っています」とおことばを述べられた。
会場には世界最大の木造建築物に認定された大屋根「リング」(1周約2キロ)が「多様でありながら、ひとつ」という万博の理念を象徴。内側には海外パビリオンが並び、最新技術や各国の文化を披露する。外側には「火星の石」を展示する日本館をはじめ、国内企業などが出展。万博協会によると、開幕日の13日は約14万人の来場を予定し、半年間の会期中、約2820万人の来場を見込む。
一方、多数の課題を抱えたままの船出となる。
海外パビリオンは人件費や資材の高騰を背景に準備の遅れが指摘された。「万博の華」とも呼ばれる参加国が自前で建設するタイプは当初約60カ国が希望したが、最終的に2割減の47カ国(42棟)となった。万博協会は12日、ネパール、インドなど5カ国が未完成で、開幕に間に合わないと明らかにした。
会場建設費は、新型コロナウイルス禍やウクライナ危機などの影響で、2度の増額を経て当初の1・9倍の最大2350億円に膨らんだ。運営費も1・4倍の1160億円に増額、大半を入場券収入でまかなう。赤字になるかどうかの損益分岐点は1800万枚といい、1400万枚が目標だった前売り券の売り上げは11日時点で約934万枚にとどまる見通しだ。
夢洲での開催は、四方を海に囲まれた初の「海上万博」となる。限られたアクセスへの懸念や地中の廃棄物から出る可燃性メタンガスの影響も指摘される。【鈴木拓也】