宮崎県で8日午後に最大震度6弱を観測した地震は、日向灘を震源とし、震源の深さは30キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・1(速報値)だった。
香川大の金田義行・特任教授(地震学)によると、日向灘のプレート境界は40キロより深い場所とされ、今回の震源は境界より浅いとみられる。
金田氏は、今回の地震が南海トラフ巨大地震を直接的に誘発する可能性は低いとしながらも「関係なく起こっているわけでなく、切迫度が高まっている一つの証拠。南海トラフ巨大地震が本丸だとすると、徐々に外堀が埋まりつつある状況だと思う」と話した。
気象庁は今回初めて南海トラフ地震臨時情報を出した。金田氏は「市民だけでなく、行政や企業もどのような体制を整えたらよいのか、対応の仕方を今一度検証するきっかけにしてほしい」と話した。
一方、静岡大の石川有三・客員教授(地震学)は「震源の場所や深さから見てプレート境界で起きた海溝型地震と考えられる。日向灘では1968年にもM7・5の地震があり、今回の規模の地震はまれなものではない」と分析した。
南海トラフ巨大地震との関連については「個人的には日向灘で起きる地震と南海トラフの地震は別の現象と考えているが、想定震源域に近いため影響がないわけではない。ただ、日向灘の地震から南海トラフに地震が連動した過去の事例はない」とした。
石川氏は「南海トラフ地震臨時情報が初めて発表され、驚いた住民も多いだろうが、何度かこれを経験することで周知が進む。国の発表に注意し、今後数カ月程度は余震に警戒してほしい」と話した。
名古屋大の田所敬一・地震火山研究センター准教授(地震学)も「日向灘でM7~7・5程度の地震が過去100年間で5回ほど起きている。今回のような規模の地震が発生するのは不思議ではない」と指摘。南海トラフとの関連はまだ分からないとした上で「日向灘は南海トラフの最大クラスの想定震源域の端に位置している。2000年ごろから、日向灘のような震源域の端でM6以上の地震が増えている。南海トラフの発生に向けてプレートが押し、力がかかっているためだ。今後このような地震は増えるだろう。家族や地域で対策をその都度見直してほしい」と警戒を呼びかけた。【大野友嘉子、山口智、鳥井真平】