フィギュアスケート男子の織田信成さん(35)が、モラルハラスメント(言葉や態度による嫌がらせ)で関西大アイススケート部監督を退任せざるを得なかったとして、同部のコーチだった浜田美栄さん(63)に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(松本明敏裁判長)は2日、請求を棄却した。
織田さんは2010年のバンクーバー・オリンピックに日本代表として出場。13年に引退したが、22年11月、9年ぶりに現役に復帰した。浜田さんはフィギュア女子の紀平梨花選手らを指導したことで知られる。
訴状などによると、織田さんは引退後の17年4月、母校の関大(大阪府吹田市)のアイススケート部監督に就任。間もなく練習時間や指導方法を巡って浜田さんと対立し、あいさつしても無視されたり、「監督になってから偉そうになった」と陰口をたたかれたりするようになったとしている。ストレスで入院したとも訴え、19年9月に監督を退任した。
浜田さんは裁判で、「無視や嫌がらせはしておらず、動機もありません」と反論。織田さんに提訴されたことで名誉を傷付けられたとして反訴している。
関大は19年12月、織田さんの要求に関する経緯や大学の対応を公表した。織田さんは練習時間の変更などを巡り、対応に不満があった浜田さんのコーチ解任を大学に要求した。浜田さんら関係者から事情を聴いた結果、「要求は妥当ではないと判断した」と説明。モラハラの有無には触れなかった。【安元久美子】