File no. 116
《UNIVERSAL OVERALL/ユニバーサルオーバーオール》
現在の日本において、ファッションアイテムとして定着し、愛用されているワークウエアのデザインの起源は、主にアメリカの作業服メーカーが誕生させたものだ。
その多くがかつてのアメリカで生み出され、時を経て日本に伝わり、日本独自のファッションに合うようローカライズされ、カジュアルウエアの定番として浸透してきた。
アメリカ発のワークウエアはそういった意味でも、日本の日常的なファッションにとって切っても切れない存在となっている。
今回は、創業時から現在まで実に90年以上にもわたり、リアルなワークウエアを製造・提供し続けているアメリカの代表的なワークウエアブランドに注目。その歴史に触れてみたい。
《ユニバーサルオーバーオール》は、オーストリアからの移民であるマックスとジョー・エッカーリング兄弟によって、1924年のアメリカ・シカゴで創設された。
創業時にはシカゴのルーズベルト通りに面した建物の三階にロフトを借りて、ワークウエアの製造をスタート。
ジョーはワークウエアの裁断から縫製までを担当、マックスはオーダーを取っての販売やデリバリーを担当した。
この完全分業のワークスタイルが功を奏し、創業以降も着実に業績を伸ばしていった。
当時のプロダクトは、主にメンズのデニムウエアやダンガリーウエアを中心に展開。
このハードワークにも耐えられるタフなワークウエアが評判を呼び、多くの労働者に支持された。
やがてブランドの成長に伴い、胸当てのオーバーオールやショップコートエプロン、カバーオール、ショップコートなどのバリエーションが加わることとなり、より多くの労働者をサポートできる体制を確立。
創業から90年以上が経過した現在もワークウエアを提供するブランドとして在り続け、伝統を守りながらも進化を続けている。
こうした歴史を振り返ると他のワークウエアブランドと同じように感じてしまうかもしれないが、《ユニバーサルオーバーオール》の注目すべき点は今現在も労働者向けのリアルなワークウエアを製造し続けているということ。
現在進行形、正真正銘のアメリカンワークウエアブランドなのだ。
素材からデザイン、耐久性、実用性において、各時代の労働者を満足させてこなければ、合理主義のアメリカで90年以上の歴史を紡ぐことはできなかっただろう。
そんな真摯な物作りを続けてきた同ブランドを代表する定番アイテムこそ写真の「カバーオール」。
気になったらぜひ、一度袖を通してみてほしい。