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【F】FLORIS


File no. 109

FLORIS/フローリス

ファッションは目に見える個性であり、自分自身を表現するための大切な手段

だから、ついつい服や靴、服飾小物を選ぶことなど、コーディネートばかりに集中しがち…。

そこで今回は、目には見えない個性が主張できる大切なファッションアイテム、香水に着目。

フレグランス業界きっての名門《フローリス》の歴史を辿る。

 

地中海のメノルカ島で生まれ育ったジュアン・フローリスは当時、香水のメッカとして有名だったフランス・モンペリエを目指し、航海に出た。

無事にモンペリエに辿り着いたジュアンは、香水に関する多くの知識を学んだ後、イギリスのロンドンへと渡る。

そこで富と名声を得るために何が必要かを模索し、ロンドンのジャーミンストリート89番地に土地を購入。

1730年には、英国紳士のための"理髪店及び櫛作り"のショップを開店した。このお店が《フローリス》の原点。

ちなみに同店舗は、開店から290年以上が経過した今現在も同じ場所で『ジャーミンストリート本店』として営業を続けている。

 

1730年、ついにショップを開店させたジュアンだが、故郷である地中海の島に漂う柑橘の木々やフローラルの美しい香りが忘れられず、ショップの地下に籠って自らの記憶をもとに香水の調合を始めた。

そして彼の"理髪店及び櫛作り"のお店は、エレガントな"香水とアクセサリー"のお店へと変貌を遂げる。

故郷のメノルカ島から輸入したハンドメイドの美しい櫛をはじめ、ショップ手作りのシェービングブラシや歯ブラシ、石鹸、カミソリなども販売。

伝統的な製法と上質な香料を使った香水や石鹸は瞬く間に大評判となり、フレグランスブランドとしての地位を確立することとなる。1820年にはその実績がジョージ四世によって評価され、

"英国王室御用達の理髪師及び香水商"の名誉ある称号を授与された。

 

また、フローレンス・ナイチンゲールに捧げた香水に対する直筆のお礼状なども残されており、ジャーミンストリート本店の建物や店内のディスプレイ什器などは、英国の歴史的重要文化財に指定されている。

《フローリス》の気品ある香りは歴代の国王や女王から愛用され続け、今日ではエリザベス二世女王陛下およびチャールズ皇太子殿下から2つの"王室御用達許可書"が与えられており、写真の香水「ライム」のボトルにもしっかりと2つのロイヤルワラントの記載がある。

せっかくならば、290年以上の歴史を誇る、英国を代表する名門フレグランスブランドの香水を手にしたい。

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