あなたは将来を考えるときポジティブに考えますか?それともネガティブに考えますか?
よく自己啓発でポジティブ思考をしましょうとか、思考が現実化するなどといいますが、それらはすでに40年前の理論、未来を描くときには当てはまらないことがわかってきています。
ポジティブ・シンキングの効果について20年にわたって研究してきた第一人者、ガブリエル・エッティンゲン博士の著書『ポジティブシンキングを考えなおす』によると、ポジティブシンキングは必ずしも良いとは限らないそうです。
本書は、その内容のほとんどを、エッティンゲンさんが自ら関わった大量の実験をベースに書かれており、まさに集大成といえる本。今後、ポジティブシンキングを語る上では欠かせない一冊になりそうです。今回はエッティンゲン博士が実証した「ポジティブシンキングが効かない4つのケース」をご紹介します。
■ポジティブシンキングはダイエットに効かない!
1991年に行われた研究(1)で、ダイエットとポジティブシンキングの関係が立証されました。
肥満ぎみの女性たちがダイエットに挑戦。全体の半数の女性には「完全にダイエットに成功した状態」をイメージしてもらい、残り半数には「つい食べ過ぎてしまう自分」を思い描いてもらいました。
そして、1年後に再調査したところ、よりポジティブに自分をイメージした女性ほどダイエットに失敗する確率が高かったのです。
■ポジティブシンキングではモテない!
2002年の研究(2)では恋愛とポジティブシンキングの関係性を研究しています。こちらは学生を対象にした実験で、一方には好きな人を思い浮かべつつ「あの人とデートをして映画を見て…」といったように、自分にとって都合がいいイメージをしてもらいました。そして残る一方にはその逆「告白してもフラれる」などのネガティブなイメージをしてもらいました。
5カ月後の再調査ではどうなったでしょうか?
「告白してもフラれそう…」のようにネガティブな想像をした学生の方が、実際は恋愛が成立している確率が高かったのです。
■ポジティブシンキングは成績アップに効かない!
3つめは2012年の研究(3)。83人の学生たちを対象にした実験で、彼らに卒業後のキャリアをポジティブにイメージしてもらいました。
2年後に再び調査をしたところ、ポジティブなイメージをした学生ほど出席率が低く、成績も悪く、企業からの求人が少なく、給料も低いという結果に。
■ポジティブシンキングはリハビリに効かない!
ダメ押しでもう一つ、2014年の研究(4)では、関節炎の手術をした老人を対象にした調査で、実験の手法もいままでと同じ。手術直後に「どれぐらいの早さで回復するか?」を予想してもらったのですが、やはりポジティブなイメージを持った被験者ほど筋肉の発達が遅く、歩けるようになるまで時間がかかりました。
■まとめ
以上が「ポジティブシンキングが効かない4つのケース」でした。エッティンゲン博士いわく、
どんな角度から調べても、昔ながらの心理学や自己啓発本の考え方は間違いだとわかった。
ポジティブシンキングは、常に役に立つわけではない。もちろん役に立つ場面もあるが、多くの人が実践しているように、たんに物事をポジティブに考えるだけではダメなのだ。
いかがだったでしょうか?未来を描く時には、ポジティブなイメージよりもネガティブなイメージを持った方がうまくいく場合もあるということです。必ずしもポジティブ=善、ネガティブ=悪、ではありません。その使い分けが重要になります。もし、ポジティブに考えていてもうまくいかないと感じていたら、シビアにネガティブモードで物事を考えてみることもやってみてください。
なお、ポジティブシンキングで未来を描くときにはポイントがありますが、これはまた別記事でご紹介します。
pic from Joel Funk
Licensed material used with permission by PaleolithicMan
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