筋肉には、強い負荷がかかったときなどの損傷を防ぐため、極度な伸張や収縮にブレーキをかけるメカニズムがあります。この安全メカニズムを担うのが、筋紡錘と腱紡錘です。筋紡錘は伸びすぎを、腱紡錘は縮みすぎをコントロールします。筋紡錘のメカニズムを詳しく見ていきましょう。
筋紡錘の役割がかっけの検査でわかる
筋紡錘は筋肉を作っている筋線維の中にあるセンサー。筋肉が引き伸ばされると、その長さを感知。脊髄に情報を送ります。そして、筋肉が伸びすぎて断裂しないように、縮むように指令を出すのです。これは伸張反射と呼ばれます。
筋紡錘の役割がよくわかるのが、かっけの検査になります。足が地面に着かない状態で椅子に座って、ひざ下を叩いて瞬間的に足が上がるかを調べる検査。これは膝外腱反射と呼ばれるものです。
膝外腱を叩くと、大腿四頭筋が瞬間的に引き伸ばされます。これを筋紡錘が感知して脊髄に伝えることで、大腿四頭筋に縮むように指令が出るというわけ。こうして、ひざ下部分が跳ね上がるわけです。
筋紡錘や腱紡錘が無意識に働いている
ちなみに、伸張反射は脊髄のレベルごとに分担が決まっています。大腿四頭筋はおもに脊髄の中でも腰椎に伝達。そのなかの第4腰神経が担当しています。
同じように、腱にも腱紡錘という権の伸展を感知するセンサーがあります。腱紡錘は、これ以上、縮みすぎて負荷がかかると筋肉や腱が断裂するという危険を回避。筋肉を弛緩させる指令を出すのです。これは自己抑制と呼ばれます。
私たちの体は、無意識のうちに筋紡錘や腱紡錘が働いてバランスをとっているというわけ。筋紡錘と腱紡錘の感度は脊髄が調節しています。件紡錘のほうがセンサーの感度が高いため、日常的には筋紡錘と腱防止が同時に働くことはありません。