ニボルマブは手術ができないメラノーマの治療薬として承認されたのは2014年7月。申請から7か月という異例のスピードでした。ニボルマブはこれまでの抗がん剤や分子標的薬とは違うアプローチでメラノーマを治療します。がん細胞に力を抑えられていた免疫力を再び活性化させるのです。
ニボルマブが治療するメカニズム
メラノーマの治療は、腫瘍を切り取る手術が一般的です。ただし、転移する確率が高いのがメラノーマの特徴。ほかの臓器に転移している場合、メラノーマの治療は抗がん剤が中心となります。
転移性メラノーマには、これまで同じ抗がん剤が使われてきました。しかし、その抗がん剤で効果が出るのは10人に1人。目立った延命効果は期待できないため、メラノーマ治療は非常に困難とされてきました。
そこで新たにメラノーマ治療薬として登場したのがニボルマブです。ニボルマブはどのようなメカニズムでメラノーマを治療するのでしょう? 通常はがんができると免疫の実動部隊であるT細胞が出動。表面にあるPD-1というツノで、がん細胞を攻撃して死滅させます。
ニボルマブには免疫過剰の副作用
ところが、がん細胞は攻撃から逃れるため、自身の細胞の表面にPD-L1と呼ばれるタンパク質を放出するのです。PD-L1はT細胞のPD-1と結びついて、T細胞のツノを無力化。そのまま増殖を続けられるようにするのです。
ここでニボルマブは、PD-1とPD-L1の結合に割って入り、無力化されたT細胞のツノを解放。T細胞によるがん細胞への攻撃を再開させてメラノーマを治療するのです。
ニボルマブの国内での臨床試験の35例では、がんが小さくなった割合は23%。一時的な縮小を含めると半数を超えています。ただし、ニボルマブには免疫が過剰になる副作用が存在。間質性肺炎や肝機能障害などが報告されています。
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