『機動戦士ガンダム』シリーズは魅力的なバイプレイヤーの活躍も魅力のひとつ。とりわけ、宇宙艦船を指揮する“艦長”には名キャラクターが多い。今回は巧みな采配や名台詞で劇中を彩った名艦長キャラを紹介しよう。
■ブライト・ノア:幾多の主人公を支え、自身も成長を重ねてきた名艦長!
まずは、『機動戦士ガンダム』(1979年)ほか数作に出演した、シリーズ屈指の名艦長ブライト・ノアだ。若干19歳の士官候補生だったブライトは、初代艦長の負傷により急遽、地球連邦軍の強襲揚陸艦ホワイトベースの艦長に抜擢され、激戦続く一年戦争をなんとか生き抜いた。
その後、『機動戦士Zガンダム』(1985年)で描かれたグリプス戦役、『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)での第一次ネオ・ジオン抗争、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)での第二次ネオ・ジオン抗争、さらには『機動戦士ガンダムUC』(2010年)のラプラス戦争、そこから9年後のマフティー動乱を描いた『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(2020年)まで、約26年もの間軍人であり続けた。
思いのほか熱血漢であり、キャリア初期は苦悩することも多かったブライト。しかし幾多の戦いや幾人ものパイロットたちを支えてきた経験を経て、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』終盤では「すまんが、みんなの命をくれ」という、死地に向かう搭乗員たちの命を預かる艦長として名台詞を吐くまでに至ったのだ。
■オットー・ミタス:副長呼ばわりされていた頼りない男が激戦の果てに…
次は、『機動戦士ガンダムUC』(2010年)に登場する、ロンド・ベル隊に所属する戦艦ネェル・アーガマの艦長オットー・ミタスだ。
第二次ネオ・ジオン抗争以後の穏やかな世界で過ごしていた故に戦闘経験が浅く、副官のレイアム・ボーリンネアにお株を奪われがちで、度々「オットー副長」などとからかわれていたオットー。だが、歴史の運命を左右する秘密が収められた「ラプラスの箱」をめぐる陰謀・抗争に巻き込まれる形で、人間的にも軍人的にも成長を遂げていく。
物語終盤、共同戦線を張らざるを得なかったジオン残党「袖付き」の面々が、艦のクルーらを人質に取ったときに、「彼らに指一本触れてみろ! その首をねじ斬ってやるぞ若造!」と啖呵を切り決別。その後、来たる戦闘に際し“未来を決めるのは若者だ”と名演説を打ったのである。
■マリュー・ラミアス:優しい性格ながらも、激戦を生き抜いた美人名艦長
最後は、『機動戦士ガンダムSEED』(2002年)シリーズで、主人公らの乗る強襲機動特装艦アークエンジェルの艦長を務めた、セクシーな美人艦長マリュー・ラミアスを紹介しよう。
地球連合軍の大尉だったマリューは、ガンダム奪取をめぐるザフト軍襲撃騒動のなかで、技術畑出身にも関わらず、アークエンジェルの艦長の座に座ることになってしまう。指揮能力は高いものの、その優しすぎる性格ゆえに軍務に厳しい副長ナタル・バジルールとは対立が絶えなかった。
とはいえ、圧倒的強さを誇る主人公キラ・ヤマトや、重力下で戦艦ごとバレルロール回転する曲芸じみた操縦技術を持つ操舵士アーノルド・ノイマンなど、優秀な部下たちに慕われており、一人で引っ張るのではない、団結したチーム力を発揮させる名艦長として戦争を生き抜いたのだった。