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「今、気になっている人は?」という質問に対する理想の回答とは




飲みの席や合コンなどで、あと、私のようにメディア関係で働く者の場合はたまにミーティング中でも、相手が初対面、もしくはそれに近い“まだおたがいの素性を探り合っている関係”のとき、



 



「今、気になっている(著名な)人は誰ですか?」



 



「好きな(異性の)芸能人(著名人)は誰ですか?」



 



……みたいな話題になることが、よくある。ありますよね? そして、この手の質問をされたら、私はとても緊張して、まるで難題を前に必死で頓知を捻り出そうとする一休さんのごとく「う〜ん、う〜ん…」と、脳がフル回転してしまう。まさに私のくりえいたーとしての、ひいては人間としての全センスを問われている瞬間であるからだ。



 



大谷翔平・錦織圭・ホリエモンや、石原さとみ・石田ゆり子……あたりじゃあありきたりすぎる、かといって植田海(阪神タイガース内野手)・いっこく堂(腹話術師)・鴨居玲(画家)や、森星(もり ひかり。資生堂の日焼け止め『アネッサ』で青いビキニを着ているモデルさん)・ミスチルのツアーサポートをしている女性キーボーディスト……あたりじゃあマイナーすぎて会話が続かない。旬すぎず(※ただし、旬すぎる人物でも、その目をつけている視点が斬新ならば可)、マニアックすぎず……そんな絶妙なラインに位置する人物を、たった数人とは言え、公へと向けてプレゼンするのに要する知力は、並大抵のものではない。



 



先日、『マツコと一緒に! ミッツ&佳菜子も…東京下町珍道中SP』(テレビ朝日系)という番組をなんとなく観ていると、ミッツ・マングローブとマツコ・デラックスが、やはり共演者から「今、気になっている人は誰ですか?」との質問を受けていた。



 



ミッツは「吉川晃司」



マツコは「竹内まりや」



 



……と答えていた。「さすがだな」と、あらためてこの二人の女装タレントの才覚に頭(こうべ)を垂れた。完璧な回答である。その「気になっている理由」を、私はちょうど手巻き寿司をくるくるして食べている最中だったので、うっかり聞き逃してしまったのだが、そこらへんはどうだっていい。吉川晃司と竹内まりやの名前を出した時点で、もう勝ちも同然なのだから。



 



「旬すぎず、マニアックすぎず」のギリギリをいく高次元なバランス感覚──「え! なんで!?」とはなるチョッピリのサプライズこそ含まれているけど、「誰それ?」とはならない、一般的な知名度の面はちゃんとクリアしている。バラエティの頂点に長く君臨し続ける者ならではの卓越したバランサーぶりではないか。



 



私ならば、ここ数ヶ月だと「野茂英雄」「ダチョウ倶楽部」「郷ひろみ」……の名を挙げる。



 



野茂英雄=イチローや大谷がメジャーで活躍できる地ならしをはたした。しかも、数ヶ月前に私は空港でジャージとウインドブレイカーを着た野茂を偶然見かけた



 



ダチョウ倶楽部=旬の出川に食われ気味だが、芸は手堅いリアクション芸人のフロンティア的存在



 



郷ひろみ=只今、全国ツアー中



 



……といった根拠によるものだ。好きな女性芸能人だと「木村多江」「辺見えみり」「インリン(・オブ・ジョイトイ)」……で推しとおす。



 



あと、「テッパン・マニアック」ときてから最後を「超ベタ」で落とす……というハイブローなワザもある。たとえば、「今、興味あることは?」との質問だったら、



 



「料理」「パデル(※スペインやポルトガルなどで大流行のテニスに似たスポーツ)」「アベンジャーズ」……ってな具合だ。こうやって、私はいつも周囲をケムに巻き、「謎めいた男」を演出しているのだ。



 



ただ、あくまで本当に興味がある、好きな人(モノ)をチョイスするのが大前提──奇をてらうだけでは“説得力”を得ることはできない。


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