「恋愛に本気で悩む女性を本気で応援するサイト」であるそうな『愛カツ』が、『血液型別・この子を離したくない!と思っている時のサイン』なるタイトルのコラムを配信していた。少々わかりづらいタイトルではあるのだがw、男子が特定の女子に執着する際に見せる言動の兆候を血液型別に提示する内容である。
A型男子は……自己否定や自虐的な話ばかりする
B型男子は……冷たくするとしつこく追いすがる
O型男子は……自分を愛しているかどうか確認する
AB型男子は……今、何をしているのか細かく聞く
……のだそう。う〜ん、当たってるような当たっていないような……B型の私も、意中の女子に気のないそぶりをされたら、案外ねちっこく迫る一面もあるような……だけど、“気のないそぶり期間”が、ある程度継続すると「次行こ次!」の精神で、あっさり撤退してしまう“見切りの早さ”もあったりして……。
で、これらの「サイン」の医学的根拠は?──そんなもんはおそらくないだろう。私個人としては、いまだテッパンネタとして重宝されている、この手の「血液型による性格診断」的な分類は正直あまり信用しておらず、(大雑把にカテゴライズすれば)たった4種類しかない血液型へと強引に“人間の性格傾向”をはめ込むマンウォッチング術は、科学的なものより、むしろ「長年かけて培われてきた統計」によるもののほうが大きいのではないか、と思っている。あと、2月8日に発売される拙書『「モテ」と「非モテ」の脳科学〜おじさんの恋はなぜ報われないのか〜』(ワニブックスPLUS新書)で、共同執筆者の脳神経外科医・菅原道仁先生がおっしゃっているところの「バーナム効果」(※誰にでも該当するような曖昧で最大公約数的な性格をあらわす記述を、自分だけに該当する性格だと捉えてしまう心理学現象)の影響も少なからずの影響を及ぼしているのかもしれない。B型の貴男は女子から冷たくされるとしつこく追いすがってしまいませんか? 言われてみれば、そーいうところもあるようなないような……。
ただ、「長年かけて培われてきた血液型別の統計的な性格傾向」を背景とする、血液型によって生じる“物事へのリアクションの違い”ってヤツは、たしかにある。たとえば、「自分の血液型をカミングアウトするとき」だ。
「血液型はなに?」と質問したら、A型の人はけっこうな割合で「何型に見えます?」と返してくる。「アタシ(オレ)、一見エキセントリック風だけど、じつは日本で一番多いA型なんですよ」といったプレゼンテーション心理が働くのだろう。「日本人の約4割を占める凡庸な血液型」へのちょっとした“コンプレックス”を“サプライズ”へと変換する発想である。
いっぽう、B型の人は血液型の話題になると、総じて心もちテンションが上がる。「B型=変わり者→オモロイ人」といった杓子定規的な一般論によって、そこそこの突出性と選民感が安直なかたちで証明され、それがB型人間のプライドを心地良くくすぐるのだろう。そのまま空気が読めずにはしゃぎすぎてしまう(=B型はお調子者?)きらいもなくはないのだが……(笑)。
対して、O型とAB型の人は、いかにも興味なさそうな様子を見せる。が、同じ「興味なさそうな様子」でも、世界では一番多いとされているO型の人は「心底興味なさそうに(ある意味、鷹揚に)」、日本でも世界でも一番少ないとされているAB型の人は、B型の人みたく「そこそこの変わり者」ではない「根っからの変わり者」と決めつけられるのが嫌なのか、この話題いつまで続くのかしら……と「苦虫を噛みつぶしたかのように」、会話の中心となるのを避けるため淡々とカミングアウトする。
さて。どうでしょう? 言われてみれば、そーいうフシもあるようなないような……って気分になってきません? これもまた「バーナム効果」を巧みに応用した情報操作の一テクニック。こうやって私は日々インチキな原稿を、性懲りもなくしこしこと書き上げているのだ?
【関連書籍】 『「モテ」と「非モテ」の脳科学?おじさんの恋心はなぜ報われないのか?』(ワニブックスPLUS新書)