いい人間関係を構築し、いい仕事をしていくには職場でのコミュニケーションが重要だとされてきました。ところが最近では、上司のとの雑談を疎ましく感じ、必要ないと考える若手社員も増えているのだそうです。
先輩・上司世代の私たちは、めげずに話しかけて心を開かせるようにしたほうがよいのでしょうか。それとも話しかけるのは少なめにしてそっとしておくのがよいのでしょうか。いまどきの上司と部下の雑談のあり方について考えてみました。
■雑談が弾まない原因は話の内容にあった
さて、最近みなさんは部下とどんな雑談をしたでしょうか。今日食べたもの、趣味の話などを一方的にしたというあなたは、悟り世代の若手社員に疎まれているかもしれません。
職場のコミュニケーションは重要です。コミュニケーションの回数は助け合いと相関関係があるというデータもあります。若手社員といい関係を作るために、積極的に話しかけることを日課にしている人もいることでしょう。しかし人間関係の促進をねらった雑談では、意図を見透かされ、逆に表面的な会話になってしまうこともあります。
自分の話をする自己開示は人間関係を促進してくれます。しかしそれは「君には言えるんだけど」といった特別感がある場合や、お返しに相手も自己開示をするといったことで期待できる効果。話がおもしろいのならともかく、仕事に関係のない話に傾聴のリアクションを求められるのは、若手にとって苦痛なのです。
特に、仕事での指示が大雑把な丸投げ上司、もしくは「そのくらい自分で考えろ」と指導を放棄しているような上司の場合、注意が必要です。「雑談なんかより他に話すことがあるだろう」という部下の気持ちは、仕事に関係のない雑談の疎ましさを何倍にも増大させるのです。
■飲み会に「参加は強制ですか?」と聞く世代との雑談! 最適解は…
飲み会は仕事ではない。ゆえに自分の時間を使う必要はない。そう考える世代の人たちが、仕事と関係のない話に付き合わされることを、時間と労力の無駄だと考えても不思議ではありません。
こういった世代には“仕事に関係する話”を通して信頼関係を築くことをお勧めします。仕事に対する貪欲さはないものの、指示されたことはきちんとこなしたい悟り世代には、的確な指示やフォローが重要です。仕事に関する雑談であればありがたく聞くはずですし、関係構築の一助にもなることでしょう。
■とはいえ雑談スキルは必要でしょ…というおじさんたちへ
仕事で得意先とのやりとりが発生するのなら嫌でもコミュニケーションスキルは求められます。そこで雑談のひとつくらいできないとダメだろう、と思う方もいるはずです。交渉の前に雑談をはさんだ場合、そうでないときに比べよい結果につながりやすいといった研究もあります。ビジネスシーンで雑談が効果的に作用することは間違いないでしょう。
でも大丈夫。悟り世代は“無駄な雑談”が嫌なだけで、必要性があるシーンではいかんなく要領の良さを発揮してくれると思います。悟り世代は雑談が嫌いなのではなく「仕事のフォローが十分でない上司と、仕事と関係ない話に時間を使うのが嫌」なのです。
どうも雑談にのってこないという部下がいるのなら、まずは仕事関連の話で信頼感を築くところからはじめてみませんか? きっと表面的な雑談を重ねたときより、いい関係が構築できるはずです。