新緑の季節は、木々が芽吹きだし花が彩り出して、なんだか新鮮な気分になります。
この時期におすすめしたいのが、美しい水の景色です。その中でも青い水の景色は新緑とマッチして私たちの心を癒してくれます。
今回は、静岡県にある寸又峡の「夢の吊り橋」をご紹介していきます。
寸又峡「夢の吊り橋」とは
寸又峡は静岡県榛原郡川根本町にあり、大井川の支流寸又川沿いの渓谷になります。
この寸又川を堰き止めてできた大間ダムがあり、その ダム上に架かる高さ8メートル、長さ90メートルの吊り橋を「夢の吊り橋」 と言います。
なぜここが人気スポットになったかというと、 吊り橋が架かるダムの湖面が、光の波長によってターコイズブルーに輝くとても美しい光景 だからです。
ダム周辺は南アルプスの豊かな自然に囲まれていて、 春から夏にかけては新緑に、秋は紅葉と、青い湖面が見事なコントラストを演出 しています。
南アルプスの秘境中の秘境ともいえる場所にあるのですが、近年はトリップアドバイザーが選ぶ「死ぬまでに渡りたい!?世界の徒歩吊り橋」に選ばれたり、青い湖面がSNS映えすることから人気スポットとして若者から外国人観光客まで多くの人々が訪れたりするようになっています。
なぜターコイズブルーに輝くのか
寸又峡「夢の吊り橋」が架かる湖面はなぜこのような美しいターコイズブルーに輝くのでしょうか?
湖面の色はとても自然にできた色とは思えないのですが、正真正銘自然の物理的な作用によって美しい青色になっています。
この色は発見者の名前にちなんで「 チンダル現象 」と呼ばれています。
「チンダル現象」とは 非常にきれいな水の中に含まれているわずかな微粒子が、波長の短い青い光だけ反射して、波長の長い赤い光が吸収されてしまう という現象です。
寸又川の水は、微粒子やプランクトンが少なく、水の底まで大変きれいな水質であるから、このような「チンダル現象」が発生して、美しい湖面になるのです。
またこのターコイズブルーの湖面は、ダムが完成して出来上がった湖面だからこそ見ることができます。
大自然の作り出したものだけでなく、人間が作った人工物が、美しい現象を生み出すのに一役買っている所も、興味深いところですね。
おすすめの季節は春
寸又峡は雪解けの春から紅葉の秋ごろまでシーズン通して美しい青い湖面を見せてくれます。
また青色も時期や時間によってターコイズブルー、エメラルドグリーン、コバルトブルーなどに変化していきます。
どの色も魅力的で大変美しいのですが、私が おすすめしたい季節は新緑の季節 です。
この時期は雪解けのきれいな水がダムに注ぎ込むため、大変美しいターコイズブルーの湖面を見ることができます。新緑の緑と青い湖面のコントラストは大変美しいのでおすすめです。
秋の紅葉の季節も美しいのですが、個人的には 新緑の季節の方が、青い湖面をより一層引き立たせてくれている 気がします。
また寸又峡の地域は比較的 雨の多い地域 です。雨が降ると濁った水などがダムへ流れ込むため、きれいな湖面にならなくなります。
そのため梅雨の時期や、夕立の多い夏の時期はあまりおすすめできません。
新緑の春の季節や紅葉の秋の季節は比較的晴天率も高い ので、散策にはおすすめになります。
「夢の吊り橋」は恋愛成就のパワースポット
湖面の美しい寸又峡ですが、ここに架かる「夢の吊り橋」は 恋愛成就のパワースポット としても人気があります。
夢の吊り橋の真ん中で恋の願い事をすると、その恋がかなえられるというロマンチックな伝説 があるのです。
これは地元の人には元々有名だったのですが、最近はSNSなどを通じて話が広まっており、多くの女性が訪れるパワースポットにもなっています。
そもそも吊り橋には「 吊り橋効果 」というものがあり、緊張体験を共有した異性に対して恋愛感情を抱きやすくなる効果があります。
そんな吊り橋効果やターコイズブルーのロマンチックな景色が、「夢の吊り橋」は恋愛のパワースポットと呼ばれる所以になったのかもしれませんね。
寸又峡までのアクセス
夢の吊り橋はまずは 寸又峡温泉街に到着してから、徒歩で山道を歩いていく ことになります。
車で行く場合
新東名高速道路島田金谷IC下車後、国道473号線、国道362号線を経由してその後県道77号線を通って寸又峡温泉に到着します。島田金谷ICから寸又峡温泉までは約120分です。
気を付けていただきたいのは、 途中の道幅が狭くなること です。 すれ違いが困難な場所もあります 。
特に県道77号線は道幅が狭く、大型車が通行不可な道路です。運転に自信のない方はあまりおすすめしません。
千頭から路線バスも出ているので、そちらに乗り換える方法もあります。
駐車場は寸又峡温泉街に無料駐車場と有料駐車場があります。 無料駐車場も約800台駐車が可能 なので、よほどの混雑がなければ駐車できないということはまずないです。
電車で行く場合
まずはJR東海道本線金谷駅から大井川鉄道新金谷駅まで移動します。そこからは SL列車で有名な大井川鉄道に乗っていきます 。SL列車に乗るのも良いですし、普通列車でも行くことができます。
大井川鉄道千頭駅で下車をした後は寸又峡温泉まで路線バスに乗っていくことになります。
新金谷駅から千頭駅までの列車が約70分、路線バスは40分ほどの乗車時間になります。
https://yumenotsuribashi-sumatakyo.com/access/
寸又峡温泉~夢の吊り橋までのアクセス
寸又峡「夢の吊り橋」に行くには、寸又峡温泉街から徒歩で移動することになります。
寸又峡温泉街の駐車場またはバス停にて下車した後、「 寸又峡プロムナードコース 」を歩いていきます。
このコースは舗装された道路ですが、一般車は通行することはできません。
寸又峡温泉を出発し、一般車通行止めのゲートを通過した後、しばらく舗装道路を歩いていきます。
途中天子トンネルをくぐると、夢の吊り橋へ向かう下り階段に到着します。そして階段を下った先に夢の吊り橋に到着します。
寸又峡温泉街から夢の吊り橋までの 所要時間は約30分から40分 ほどになります。
吊り橋を渡った後はそのまま引き返すのではなく、急な登り階段を登ります。上り切ったら、再び舗装道路に出ます。そのまま舗装道路を歩き、飛龍橋を渡った後は夢の吊り橋へ向かう下り階段の入り口に再び戻ります。
その後は行きと同じルートを通り、寸又峡温泉街に戻ることができます。
寸又峡プロムナードコースを周回するには所要時間としておよそ90分 見ておいた方が良いでしょう。
このように夢の吊り橋までは、ちょっとしたトレッキングのコースになります。
良いものを見たいのであれば、多少の苦労は必要だということですね。
https://yumenotsuribashi-sumatakyo.com/know/guide/
寸又峡「夢の吊り橋」へ行く際の注意事項
前述したように、「夢の吊り橋」は徒歩で向かうトレッキングコースになります。
近年はSNS映えスポットということで、観光気分でおしゃれな服装で来る方も多いようですが、山奥の秘境であることを忘れないでください。
まずは、 歩きやすい服装であることをおすすめ します。靴はヒールやサンダルなどでは大変苦労します。
靴はトレッキングシューズ、またはスニーカーで行くことをおすすめします。
次に 夢の吊り橋の手前は急な階段を下り、渡り切ったら急な階段を登る ことになります。
体力に自信のない方は渡るのを控えて、夢の吊り橋の上流側に飛龍橋があるのですが、そこから夢の吊り橋を眺めることができます。
最後に、 吊り橋は混雑する時期は一歩通行 になります。また 吊り橋は最大定員10名 までとなっています。
一方通行の時は逆から渡ろうとしない、定員を無視しないなど、最低限のマナーをマナー守るようにしましょう。
https://yumenotsuribashi-sumatakyo.com/
合わせて行きたい周辺観光スポット
寸又峡温泉
寸又峡温泉は、夢の吊り橋へ向かう玄関口であり、 寸又峡観光の拠点 となる温泉です。
温泉はアルカリ性単純硫黄泉で、源泉温度は43度、湧出量は毎分540リットルあります。
かすかな硫黄臭があり、温泉の中には湯の花が舞っています。湯上り後の肌触りはすべすべになり「 美女づくりの湯 」としても有名です。
数件の温泉宿と1件の日帰り温泉がありますので、寸又峡散策の後は温泉で散策の疲れを癒すのもおすすめです。
https://yumenotsuribashi-sumatakyo.com/about_spa/map/
大井川鉄道SL列車
寸又峡へ電車で訪れる際は、是非この大井川鉄道の名物SL列車に乗って訪れてみてください。
大井川鉄道は JR東海道線金谷駅から寸又峡の玄関口である千頭駅間39.5kmを普通列車とSL列車、千頭駅から井川駅までは全国でも珍しいアプト式列車が運行 しています。
大井川沿いの茶畑や里山の中をレトロなSL列車に乗っていけば、どこか懐かしさを感じさせるノスタルジックな気分に浸ること間違いなしです。
SL列車以外にも以前、街中を走っていた懐かしい車両や人気キャラクターきかんしゃトーマス号にも乗ることができます。
https://daitetsu.jp/
奥大井湖上駅
奥大井湖上駅は、千頭駅から井川駅を走っているアプト式列車の途中にある駅です。
この駅は、 山々に囲まれたダム湖の真ん中にぽつんと佇む駅 で、その姿がとても 写真映え するということで、近年注目を浴びているスポットになります。
周辺には民家もなく、なんでこんなところに駅が…といった雰囲気が秘境感満載です。
アプト列車に乗って行くことができますが、駅の近くに駐車場もあるので、車で行くこともできます。
https://daitetsu.jp/okuohi2017
新緑と青の絶景に癒されよう
寸又峡「夢の吊り橋」は、訪れるまでには大変なまさに秘境中の秘境ともいえる場所にあります。
しかし苦労した分、夢の吊り橋に到着したときは、そのターコイズブルーの美しい景色に感動すること間違いないでしょう。
これから新緑の季節にちょっとした秘境散策やトレッキングを楽しみたい方にはピッタリの観光スポットです。
新緑の緑と美しいターコイズブルーの青の絶景で感動するためにも、今年の春は寸又峡を訪れてみてください。
nonta
余暇プランナー
元旅行会社勤務で今は山の中の観光施設で働きながら旅ライターを行っています。元々旅行好きで大学も地理学専攻と根っからの地理マニアです。大自然の絶景と寺社仏閣などの歴史建築が大好きで、連休などあればすぐに車中泊で出かけてしまいます。その他登山やランニングなどとにかく家に引きこもっていることが苦手で、常に自然の中で過ごしていることが私の癒しになっています。