島根県・松江市に佇む美保神社は、商売繁盛の七福神で有名な「えびす様」の総本宮であり、出雲大社と一緒に“両参り”すると縁結びのご利益が増すともいわれるパワースポット。アクセス良好とは言い難いですが、仕事も恋も頑張る女性の強い味方になってくれる神社です!
神話の舞台となる岬に位置
三方が海の岬・美保関に位置
美保神社は、美保関という岬に位置します。美保関は、島根半島の東端に位置し、北には日本海、南には美保湾と中海があり、三方が海に囲まれる岬です。
国譲り神話の舞台となる場所
『古事記』や『日本書記』には、出雲の国譲り神話があります。美保関は、その舞台となる場所。
登場する主な神様は、大国主命(おおくにぬしのみこと)と、その息子の事代主神(ことしろぬしのかみ)=えびす様です。大国主命は出雲の国を繁栄させた神様ですが、神々が住まう高天原(たかまがはら)の神様たちから、譲るように迫られました。その返答を託された事代主神は、争わないで譲ること決めます。
その際、事代主神は海の中に青柴垣(あおふしがき)といって神の宿を造り、天逆手(あめのむかえで)を打って (手締めの起原)、その中に身を隠したといわれています。
松江駅からバスで約1時間半!
美保神社は、交通機関で行くには時間がかなりかかります。私はこのとき車を運転できる友人達と行ったのでレンタカーを借りました。もし電車とバスで一人旅される方は、時刻表をあらかじめ調べて行かれたほうがよいと思います。
松江駅もしくは境港駅からバスが出ていますが、だいたい1時間に多くて2本、通常は1本です。
【所在地】
- 〒690-1501 島根県松江市美保関町美保関608
https://www.mihonoseki-kankou.jp/mihonoseki/
商売繁盛と縁結びのご利益をもたらす神様
出雲大社・主祭神の最後の妻
主なご祭神は、三穂津姫命(みほつひめのみこと)と事代主神(ことしろぬしのかみ) です。
三穂津姫命は、 出雲大社の主祭神である大国主命の最後の妻 であり、高皇産霊命(たかみむすびのみこと)の娘です。高皇産霊命は、神話でいう天地が開かれたとき高天原に誕生した万物を創る神です。
縁結びはもちろん、五穀豊穣や安産に子孫繁栄、さらには歌舞音曲(音楽)のご利益をもたらしてくれます。夫が鎮座する出雲大社と“両参り”をすると、縁結びのご利益も高まるとか! 両方を1日で行くのは時間的に難しそうなので、2日分けて行くのがおすすめです。私は2日に分けて行きました。
https://www.mihonoseki-kankou.jp/ryoumairi/
出雲大社・主祭神の第一息子
事代主神は、大国主命の第一の息子にあたり、 七福神のえびす様として有名な神様 。 主なご利益は、何といっても商売繁昌! 海上安全もあるので、海を渡るときにお参りするのもよいですね。その他、歌舞音曲(音楽)や学業の守護神としても信仰されています。
商売繁盛のご利益で有名なえびす様の総本宮
美保神社は 全国で3,000社以上あるえびす様の総本宮 です。
えびす様といえば、右手に釣り竿を持ち、左脇に鯛を抱える姿が有名です。文献では、美保の地で、最初に魚釣りをされたといわれているとか。
海にまつわる仕事に関わる方や、商売繁盛を祈願されたい方は、ぜひとも!
境内に入ると神聖な山々に囲まれる
潮風を感じながら鳥居をくぐる
鳥居は、限りなく海に近いです。そして潮の香りがします。海に来たー!という感じです。私が着いたときは、若干曇り空でしたが、快晴のときに来たら気持ちいいんだろうなと思います。
神聖な山々を背景に佇む本殿
境内に一歩入ると、これまで海を感じていたのが一転して山に囲まれています。別世界に入り込んだかのようです。
さて本殿。 向かって右側(左殿と呼ばれる)に三穂津姫命、向かって左側(右殿と呼ばれる)に事代主神が祀られています。
男神か女神かを見分けるには、屋根の上、ツノみたいなものが交差している部分、千木(ちぎ)を見ると一目瞭然です。男神は外削ぎ(地面に対して垂直に削っている)、女神は内削ぎ(地面に対して水平に削っている)です。
もう一つの見方としては、鰹木(かつおぎ)が偶数か奇数かという見方もありますが、個人的には千木のほうが遠くからでも見やすいと思っています。
造りは、二殿の間を装束の間でつなぐ特殊な形式。こちらは「美保造」または「比翼大社造」と呼ばれ、木材には美保関辺りに自生の松を使用しているそう。屋根の素材は、檜皮(ひわだ)です。
現在の本殿は、1813年(文化10年)に再建された、国指定の重要文化財です。
壁のない開放的な拝殿
1928年(昭和3年)、 建築学者・伊東忠太の設計監督によって造られました。彼は橿原神宮、平安神宮、明治神宮や築地本願寺など名だたる神社やお寺を設計しています。
檜造りで、屋根が、杉板を敷きつめた柿葺き(こけらぶき)。梁がむき出しで、天井がなく、船倉を真似た壁のない独特な造りです。この構造と、山に囲まれていることから、 優れた音響効果をもたらしているそう。 年間を通して、音楽の奉納も多く行われているので、どんな音色が響き渡るのか、聴いてみたいですね。
海沿いの景色を楽しみながら、お参りを!
美保神社に向かう途中、右側に見える海に注連縄がかかった「男女岩」が見えるので写真の準備を!
感想としては、とにかく道中はずっと海です。ついでに行くにはわざわざ感がありますが、普段から海を見ない生活をしている私には感動的な旅でした。それだけでも行く価値がある場所だと思います。
縁結びで有名な出雲大社の主祭神の妻と息子にあたる神様たちが、仕事と恋の両方を頑張る女性の味方に、きっとなってくれるでしょう!気になった方は、ぜひ訪れてみてくださいね。
mami
余暇プランナー
旅ライター。普段は、東京と関西各地を行ったり来たり。最近は、日本神話の世界と重ねて神社巡りをすることが趣味です。空いた時間ができると、何か読むか、美術館に行くか、坐禅をしています。これまで、美術館を求めてヨーロッパ各地を旅したこともあり、死ぬまでにしたいことは世界中の気になる美術館を全て巡ることです。体験型の旅行が好きで、旅先ならではの出逢いを大事にしています。思わず行ってみたくなるような、そんな記事をお届けしていきたいと思います。