お金が貯まらない家計はNGと思いがちですが、専門家から見ると実はそんなことはありません。人生には転職や子どもの進学などで収入が減ったり支出が増えたりする時期があるものです。そんなときは貯まらなくてOK。その分「貯めどき」には貯めるというメリハリが必要です。ここでは、「貯めどき」の賢い貯め方をFPが解説します。
「貯めどき」とは?
独身時代、子どもが産まれるまでの時期、子どもが小学生の時期、子どもが独立した後、この4つがお金の貯めどきと言えます。支出が少ない、もしくは収入が多いときですね。
それ以外にも、ボーナスが増えたときや昇給した時、専業主婦だった人が働きだした時なども、収入が増えたからといって支出を増やさず家計を引き締めれば「貯めどき」になりますよ。
貯めどきにすべきことは?
これらの貯めどきに、しっかり貯める意識を持たないと、お金はあっという間に消えてしまいます。臨時収入があったり、収入が増えたりすると、どうしても気持ちが大きくなりがちで、車の買い換えや必要な生活用品を購入する際にも「いつもよりワンランクアップ」と高価な商品を選びがちです。これではせっかく手に入ったお金も貯まることはありません。
お金の余剰(収入-支出)が増えると、お金を使いたくなるのが人の心理です。気付けば生活レベルが上がっていて、逆にお金が貯まらなくなってしまうこともあります。
収入が増えたときは「いくら増えたか」を、ローンの支払いが終わったり教育費が減ったりして支出が減った時は「いくら減ったか」を、年間で計算してみましょう。それが、「今までよりも貯金できるお金」です。その金額をきちんと把握しておくことが大切です。
もちろん、レジャー費や今まで欲しかったものを購入するのもアリですが、「20万円貯蓄が増えるから、10万円は贅沢しよう」などと決め、使うお金は一部にとどめておきましょう。
「貯められないとき」はどうしたら良い?
「子ども小学生になるまでが貯めどき」とよく言われますが、共働きの場合は保育料の負担が多かったり、時短勤務などで収入が少なかったりするので、思うように貯まらないのが現状です。また、保育園に入れないなど仕事をしたくてもできない事情があり、収入を増やすことができないときもあります。
そんなときでも、年間を通して家計がマイナスになって貯蓄を食いつぶすことのないようにだけはしたいものです。
お金を貯める時のポイント
そもそもお金は「使うためのもの」です。使うタイミングを後ろ倒しし、「将来に必要な費用を使う時期まで保管しておく」のが貯蓄です。そのため、お金を貯める時は「使う用途」「金額」を明確にしておくことがポイントです。
いつ、いくら必要かを明確にするには「ライフプラン」を作っておくと良いですよ。「旅行がしたい」「家を買いたい」という夢のプランや、「車の買い換え費」「家の修繕費」など将来かかる必要経費が発生する時期も時系列に書き出してみましょう。
お子さんがいる場合は、進学の時期も入れておくと、制服代や入学費などの必要経費が分かりますし、お金の貯めどきも把握できます。
どうやって貯める?
銀行の「定額積み立て(毎月決まった金額を引き落とし用の口座から貯蓄用口座に貯める)」や、会社の「財形貯蓄」を利用して"強制的に"貯めることで、自然とお金が貯まるようになります。また、この2つの方法では月々決まった金額を貯めることができるので、年間での貯蓄計画が立てやすいというメリットもあります。
ライフプランで書き出した目標から逆算して、毎年の貯蓄額を設定しておくと良いですね。しかし、これらの方法では金利がほとんど付かないこと事が多いので、効率は悪くなります。
そこで考えたいのが、預金以外の金融商品です。例えば、お金を貯める目的が老後なら「iDeCo(イデコ)」という制度があります。年間の掛金が所得控除となるため所得税と住民税の節約になりますし、掛金の運用先を自分で選べるので、運用次第で資金を増やすこともできます。
それ以外にも、年金保険や外貨建て保険などといった貯蓄性のある保険商品や、投資信託などの商品もあります。ただし保険商品の場合は「一定年数続けないと、掛けたお金よりも解約金が少なくなる」という特徴があるものもあるため、「いつ使うか」「掛金を払い続けられるか」を明確にした上で契約する必要があります。また、投資信託の場合は元本保証がない分、保険商品よりも運用益が増えることが期待できますが、「○年後に△円になる」という保証がないので、余剰資金を預けるようにしましょう。
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「使って」「貯めて」「増やす」。貯めどきと上手に付き合って、豊かな生活を送るためのメリハリのある家計作りをしていきたいですね。