キッチンの排水口から感じる、嫌な臭い。どうすれば防げるのかと悩んだことはありませんか?実は、排水口の臭いにはいくつかの原因があり、それぞれに沿った対処方法が必要です。毎日の暮らしで心がけられる臭いの予防・消臭方法や、おすすめの市販品を紹介します。
キッチンの排水口から嫌な臭いが。何が原因?
日々使うキッチンから嫌な臭いがしてくると、料理する気持ちも半減です。実はひとくちに「排水口の悪臭」といっても、さまざまな原因が。嫌な臭いがしたときの原因と対処方法をまとめて紹介します。
【豆知識】そもそも「排水口」or「排水溝」どっちが正しい?
お話をする前に、臭いが気になってネット検索をするとき、「排水口?排水溝?」と、どちらの漢字が正しいか悩んだことはないですか?実はそれぞれ意味が違います。これを機に覚えておきましょう。
左:「排水溝」は家の外にある排水が流れる溝部分のこと
右:「排水口」家の中にある水を流す場所の口部分のこと
今回はキッチンの“排水口”について解説していきます。
排水口の臭いの原因と対処方法
原因①:ゴミ受けの汚れ
食べカスや油などの汚れが排水口のゴミ受けに付着し、それがヌメリとなり悪臭の原因となることがあります。また臭いが出るまで汚れているヌメリには雑菌もかなり多く繁殖しています。
そうなる前に、日々の掃除を心がけることが大切。最低でも週に1回、できれば週に2〜3回はお掃除をしておきましょう。
台所洗剤での洗い方
毎日のこそうじレベルであれば、台所用洗剤を使って洗うのがおすすめ。排水口のゴミ受けと蓋の掃除方法は以下のとおりです。
①ゴミを捨てて、パーツを分解する
②台所洗剤を掃除用のスポンジにつけて洗う
③取れなかった汚れは、古い歯ブラシなどでこする
④洗い流して、しっかりパーツを取り付ける
重曹とクエン酸でもお掃除OK
台所洗剤ではなく、重曹とクエン酸でもお掃除ができます。重曹+クエン酸の作用でヌメリを落とし、消臭抗菌の効果が期待できますよ。臭いやヌメリがやや強めの場合はこの方法がおすすめです。
①ゴミ受けの中のゴミを取ったのち、重曹をしっかり振りかける
②その上から重曹の半分ほどのクエン酸と少量のお湯(40〜60℃)をかける
③泡がシュワシュワしはじたら、5〜30分くらい(※)放置する
④お湯で洗い流す
※日々のお掃除(あまり汚れが目立たないとき)は5分くらいの放置時間で十分ですが、少し汚れが強いときなどは、放置する時間を長くとってください。
汚れが強い時は、塩素系漂白剤を使おう
しっかりお掃除したいときは、塩素系漂白剤が役立ちます。塩素系漂白剤は、除菌、漂白、消臭にとても優れているので、ヌメリ汚れをこすることなく簡単に取り除く力があります。強力なので使用する際はゴム手袋や目の保護のための眼鏡などを着用し、取り扱いに注意してくださいね。
塩素系漂白剤を使う際は、以下の手順で洗います。
①ゴミを捨てて、パーツを分解する
②パーツそれぞれに塩素系漂白剤を吹き付ける
(ゴム手袋着用。10cm四方あたりに5回スプレー目安。この時、目に飛沫が入らないよう注意)
③5〜10分放置。※必ず換気をすること
④とれなかった汚れは歯ブラシなどでかき出し、洗い流す
なお、粉タイプや液状タイプの塩素系漂白剤を使用する場合は、ポリ袋などにパーツを入れて50℃くらいのお湯と洗剤を入れ、15分くらい放置しましょう。使用する洗剤の量は500mlに対して大さじ2〜3が目安です。汚れ具合で調整してください。
原因②:ワン(椀)トラップの取り付けがあまい
上の写真に写っている、凸凹のお椀のようなパーツの部分を、「ワントラップ」といいます。このワントラップの取り付けがあまいと、排水口が臭う原因となるのでご注意ください。
排水口の内部の構造は「排水トラップ」といって、排水管路(排水が流れていく道)の途中に水を貯めておく仕組みになっています。
この水を封水といい、下水道から臭いや害虫などが侵入するのを防止する役割を果たします。排水トラップの装置の中でも主流なのが図のワントラップで、椀に水が溜まることによって臭いや害虫の侵入を遮断しているのです。
そのため、このワントラップがしっかり取り付けられていないと、下水の臭いが上がってくることがあります。パーツを外して掃除したあとは、必ずワントラップがしっかり取り付けられているか確認しましょう。
なお排水トラップの装置には、他にもS字トラップやP字トラップと呼ばれるものなどがあります。
古い集合住宅の排水口の中には排水トラップがないことも。その場合、下水から排水口までの障害が減るため、臭いや虫が上がってきやすくなります。
逆に新しい集合住宅では、部屋の気密性が高いために、換気扇を使うときに封水が上がってしまうことがあります。解消方法として換気扇を使うときには、窓を少し開けて空気を取り込みましょう。
原因③封水がなくなっている
ワントラップをしっかり取りつけても臭いが出る場合は、封水がなくなっている可能性もあります。例えば長期留守をしたときに封水が蒸発してしまうなどが想定されるケースです。定期的に水を流せばこの心配はないので、長期間家をあけたときやキッチンを使っていないときは、キッチンに水を流すようにしましょう。
原因④排水管にゴミが蓄積している
また油汚れやゴミが蓄積すると、排水管の中の水がうまく通らなくなり、これも悪臭の原因となることもあります。
手の届かない排水トラップ内の掃除は、パイプ詰まり専用の洗剤を使って定期的にお掃除をしましょう。
原因⑤:排水ホースと塩ビ管に隙間ができている
シンクの下では、床下に埋め込まれた塩ビ管(パイプ)と排水ホースが繋がっています。いろいろな原因を確認しても該当しない場合、もしかしたら、この塩ビ管と排水ホースの間に隙間ができてしまって、そこから下水のニオイが漏れている可能性があります。
この場合は塩ビ管の口径にあった防臭ゴムを購入し取り付けるか、配水管用のパテを購入して隙間を埋めることで解決できます。
排水口の嫌な臭いを予防するために、普段から注意したいこと
嫌な臭いが出る前に、普段から注意点を意識し、習慣になるよう心がけておきたいですね。おすすめの習慣をいくつか紹介します。
油をそのまま流さない
油は排水パーツに付着しやすく、腐敗して臭いが発生するので、フライパンなどの油はできるだけ拭き取って排水口に流さないようにしましょう。
50℃〜60℃のお湯をかける
臭いの元となる雑菌は熱に弱いので、50℃以上で菌が繁殖しにくくなります。ただし、60℃以上の熱湯をかけると排水管が溶けてしまう恐れもあるので60℃までのお湯にしましょう。
アルコール除菌スプレーをかける
アルコールは菌の発生を抑えます。またクエン酸スプレーも抗菌作用がありますよ。毎日食器洗いが終わったら排水口に吹きかけておくのがおすすめです。
クエン酸スプレーの作り方
スプレーボトルに水200mlと小さじ1杯のクエン酸を入れ、よく混ぜて出来上がり
ゴミ受けにアルミホイルを入れておく
アルミホイルは水に触れると反応してアルミニウムイオンを発生し、それが抗菌作用を発揮して細菌などの発生や繁殖を防いでくれる効果があります。
アルミホイルを2cmくらいに丸め、ゴミ受けに入れておくことで臭いの予防になりますよ。
排水口の嫌な臭いに効果的!市販のおすすめ品
重曹
重曹は、油汚れに効果的なクリーナーです。洗浄や消臭の役目もできるので、排水口の油腐敗などのお掃除に適しています。クエン酸と一緒に使うと更に効果アップします。
ハッカ油
ハッカ油には、ゴキブリなどの害虫の虫除け効果があるといわれています。お掃除の際はアルコール除菌スプレーなどにハッカ油を数滴混ぜ、使用してみましょう。蒸し暑くなる時期には、爽やかな香りもするのでなお良し。スーッとした香りで気持ちの良い空間を作りましょう。
花王「キッチン泡ハイター」
花王から販売されている「キッチンハイター」は、臭いの原因となるヌメリを取り除き、除菌や漂白、消臭にも効果があります。
強力なクリーナーなので、使用上の注意をしっかりと読み、換気をし、ゴム手袋、目の保護としてのメガネなどを装着して使いましょう。
また酸性タイプの洗剤と混ぜて使うと有害なガスが出て大変危険なので、絶対に混ぜて使わないようにしてください。
商品名:キッチン泡ハイター
販売元:花王株式会社
価格:259円(税抜)
花王「キッチンハイター 除菌ヌメリとり」
臭いやヌメリの予防には「キッチンハイター 除菌ヌメリとり」がおすすめ。プラスチックタイプとゴムタイプがあります。
排水口に置くだけで水を流すたびに洗浄成分が排水口全体に行き渡り、臭い、ヌメリを約2カ月予防してくれますよ。
ただし、ゴミ受けにずっと生ゴミを溜めたままにしておくと効果が減少します。1日1回はゴミを取り除きましょう。
商品名:キッチンハイター 除菌ヌメリとり
販売元:花王株式会社
価格:552円〜(税抜)
ジョンソン「パイプフニッシュ プロ」
排水管のお掃除にはこちらがおすすめ。
排水口に注いだ後15〜30放置して流すだけで、届かない排水パイプの奥のヘドロなどを分解してくれます。
なお注いだまま長時間放置すると、分解された汚れで逆に詰まる可能性があるので放置したままにしないようご注意ください。またキッチンハイター同様、酸性タイプの洗剤と混ぜて使うと有害ガスが出る恐れがあるので注意しましょう。
商品名:パイプユニッシュ プロ
販売元:株式会社ジョンソン
価格:288円(税抜)
それでも難しい場合は、専門業者へ!
いろいろやってみても臭いがとれない時は、管理会社や高圧洗浄などができる業者に相談をしてみましょう。
キッチンは毎日使う場所なので、知らず知らずのうちに排水口の中は汚れていきます。臭いの原因は雑菌であることが多いので、毎日の少しの対策で快適に保つことができるんです。
食事を作る場所は、いつも清潔にしたいもの。日々の心がけで、気持ちのよいキッチンで過ごしましょう。
制作協力:株式会社CaSy