持続可能な海を目指した啓発活動を行う一般社団法人Chefs for the Blueは、日本の水産資源と食文化を未来につなぐ“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環として、未来を担う次世代の学生たちが東京・京都のトップシェフ4名とともに海の未来を考え行動する『THE BLUE CAMP(ザ ブルー キャンプ)』をこの夏始動する。「水産現場やトップレストランでの学び」をベースに、「海の未来をつくるレストラン」を企画・運営するプログラムとなっている。尚、学生募集を2023年5月8日(月)より開始する。
日本は海に囲まれた島国という立地から、古くより魚介を使った料理が豊富で、世界でも有数の魚介の消費量が多い国だ。ただ、水産資源には限りがあり、2019年の漁業・養殖業生産量は416万トン(※1)と、ピークとなった1984年の1,282万トン(※2)と比べ、この35年で1/3以下となってしまった。令和元年版「水産白書」によると、日本周辺水域の資源評価対象魚、50種84系群のうち、49%が資源水準「低位」となり、SDGsの17のゴールの中でも、最新の”Sustainable Development Report 2021”(※3)で指摘された日本の深刻な課題のひとつが、14番「海の豊かさを守ろう」である。海の現状を見つめなおし、環境の再生と資源の適切な管理をすすめ、今後海を社会全体で支えていくためには、水産サプライチェーンのさまざまなポイントで知識と経験を得た人材が育まれ、コレクティブインパクトのもとクリエイティブに課題を解決していく必要があると考える。
『THE BLUE CAMP』では、水産サプライチェーンの多くのステークホルダーとつながれる“レストラン”という特別な場を利用し、未来を担う次世代の若者に、海や漁業の現状、持続可能性について学びや行動の機会を提供し、将来、海や水産物に関わる様々な分野で活躍できる人材の種を育てそのコミュニティを作る事業として行われる。今回は東京と京都の2つの場所を中心に、高校生・大学生・専門学校生を募集し(東京・京都で計約16名)、約3カ月のプログラムを実施する。
『THE BLUE CAMP』詳細
『THE BLUE CAMP』は、東京・京都で各7~8名の学生チームで組成され、オンライン講座、産地フィールドワーク、レストラン研修を経たのちに、それぞれ学生自身で考えた「海の未来をつくるレストラン」を6日間運営するという約3ヶ月間の集中プログラムとなる。講座では水産業や流通、レストラン経営の概観を学び、フィールドワークでは漁やセリ、魚の処理なども見学し、海の現状、自然と向き合う生産のありようと流通システムを理解する。続いてミシュラン星つきレストランで調理・サービス・マネジメントの実地研修を行い、学びの集大成として、8月にポップアップレストランを企画運営する。事業期間はトップシェフと探究型学習の専門家チームが終始伴走し、学生の学びを丁寧にサポートする。
【スケジュール/実施場所】
プログラム実施期間:2023年5月28日(日)~8月19日(土)
0.ラウドファンディング:5月1日(月)~
5月1日(月):プログラムの応援者を募るクラウドファンディングをスタート。プログラムの集大成となるポップアップレストランのシートの一部を先行で販売する。
クラウドファンディングサイト:https://camp-fire.jp/projects/672385/
1.キックオフ交流会:5月28日(日)
参加者及びシェフ、プログラム全体をサポートするコーディネーターなどが東京、京都各エリアで一同に集まり、シェフが(シェフと一緒に)つくる料理を囲んでプログラムの決起を行う。
2.オンライン講座:5月29日(月)~7月6日(木)
海と漁業、水産資源の持続可能性、食文化、レストラン経営などをオンラインで学ぶ全7回の講座 (各2時間、東京・京都同時開催)
第1回:5/29(月) 日本の海と漁業の現状
第2回:6/1(木) レストランとは何か
第3回:6/8(木) 水産改革と持続可能な漁業
第4回:6/15(木) 飲食店経営とキッチン・サービスオペレーション
第5回:6/19(月) 海の今と向き合う漁業者の声
第6回:6/22(木) 食材調達の在り方と社会におけるレストランの役割
第7回:7/6(木) 水産流通と課題
※オンライン講座の内容は変更の可能性あり
3.産地フィールドワーク
水産物の生産現場を訪ね、漁やセリを体験し、関係者との対話を通じて学ぶ濃厚な2日間。
東京:6月10日(土)、11日(日) 富戸港(静岡県伊東市)、長井港(神奈川県横須賀市)
京都:7月7日(金)、8日(土) 明石浦港(兵庫県明石市)
4.レストラン研修
東京、京都それぞれのトップシェフのもと、レストランのキッチンやダイニングルーム等での実技研修。作り手と食べ手が集うレストランという場所で本格的な体験を実施。
東京:7月2日(日)、8日(土)、9日(日)、8月2日(水)、3日(木)、5日(土)
場所:【sincere】シンシア(北参道)
京都:6月11日(日)、7月23日(日)、8月7日(月)、8日(火)
場所:【cenci】チェンチ(神宮丸太町)
5.ポップアップレストラン
本プログラムの集大成。シェフやコーディネーターとともに、海の未来に繋がるレストランを企画・運営する。
東京:8月11日(金)~16日(水)ランチタイム、20~30席使用
場所:東京大学駒場第二キャンパス【食堂コマニ】
京都:8月14日(月)~19日(土)ランチタイム、20~30席使用
場所:京都京都信用金庫QUESTION【DAIDOKORO】
京都:8月14日(月)~19日(土)ランチタイム、20~30席使用
場所:京都京都信用金庫QUESTION【DAIDOKORO】
【プログラム全体の伴走シェフ】 ※五十音順
・東京都渋谷区【シンシア】石井 真介氏(ミシュラン1つ星)
・京都府京都市【モトイ】前田 元氏(ミシュラン1つ星)
・京都府京都市【チェンチ】坂本 健氏(ミシュラン1つ星/”Asia’s 50 Best Restaurants 2023″32位)
・東京都港区【ノーコード】米澤 文雄氏(ミシュラン1つ星(前店)/RED-U35 ゴールドエッグ)
【講師陣】 ※五十音順
・株式会社CITABRIA代表取締役 石田聡氏
・千葉県船橋市漁協所属【大傳丸】 大野和彦氏
・一般社団法人 Chefs for the Blue 佐々木ひろこ氏
・水産庁資源管理部 管理調整課 資源管理推進室 課長補佐 松島博英氏
・京都府宮津漁協所属 【第六恵比寿丸】村上純矢氏
・【No Code】 オーナーシェフ 米澤文雄氏
他、流通事業者など数名予定
※プログラムの様子はInstagramでも随時発信【アカウント:the_bluecamp】
【応募者要件】
①高校生、大学生、専門学校生以下(該当すれば年齢不問)。学んでいる領域(大学生なら学部、専門学校生なら専門分野、高校生なら普通科や水産科など)は問わない。
②海と食の問題を考え、行動することで日本を変えることに興味があること
③プログラムの全回に出席が可能であること
※オンライン講義の部分のみ、記録映像の視聴可能性も検討中。対話型のクラスであるため全回参加を強く推奨されるが、学校行事等含め応相談。
④様々な領域を学ぶ仲間とチームを組み、互いに意見を交わしリスペクトしあいながら3 ヶ月間走り抜く意思があること
⑤食いしん坊であること(グルメである必要はない)
【募集人数】
東京・京都で計約16 名
【受講費】
無料
本プログラムは、日本財団「海と日本プロジェクト」による助成金とクラウドファンディングにより成り立っている。
【選考スケジュール】
5月8日(月)~17日(水) エントリー受付
5月10日(水)・13日(土):募集説明会(zoom使用。10日は20時~21時、13日は10時~11 時)
5月13日(土)~18日(木) 書類選考
5月14日(日)~25日(木) オンライン面談
5月26日(金) 合格通知
【応募フォーム】
エントリーHP:https://thebluecamp.jp
※募集開始は5月8日(月)午前10時~(予定)
海について学び、トップシェフのサポートによるポップアップレストラン運営という貴重な体験ができる『THE BLUE CAMP』。将来、食の世界で活躍したいと思っている人や、海に関わる仕事をしたいという人はぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。
一般社団法人 Chefs for the Blue
公式 HP:https://chefsfortheblue.jp/
日本財団「海と日本プロジェクト」
公式HP:https://uminohi.jp/
※1令和元年度版『水産白書』
※2農林水産省統計部「漁業・養殖業生産統計」
※3“Sustainable Development Report 2021”より。SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)と独ベルテルスマン財団が毎年6月に発表している報告書で、国ごとに SDGsの達成度を点数化する。2021年度版で指摘された日本の最も深刻な課題は、5ジェンダー平等、13気候変動、14海の豊かさを守ろう、15陸の豊かさも守ろう、17パートナーシップの5項目。