
俳優山田純大(52)が21日、都内で主演映画「TSUSHIMA」(9月5日公開)の完成披露上映会の舞台あいさつに出席した。
山田は新聞記者の田島圭介役。田島は1990年代に長崎県の離島・対馬に選挙活動を始めた若い女性・佐藤由里子(中西悠綺=28)の取材のために訪れるが、そこで「緑の物質」がもたらした恐ろしい光景を目にする。それからさかのぼる1960年代。なぜか1人で生きる由里子の姿があった。世間では若い女性の遺体が次々と発見されるが、全員が緑の物質を若返りの薬として服用していた。やがて田島は、人間社会にAIが忍び込み、人類をコントロールしようとしていることに気づく。
山田は「監督から淡々と冷静に新聞記者を演じてほしいと言われました。ゾンビに殴られて失神するシーンがあったんですが、その後にどうやって淡々と演じればいいか悩みました(笑い)。山根監督のビジョンが壮大で、監督自身がAIじゃないかと思った」と振り返った。
AIについては「あまり使ったことはないです。だけど、最近、体の検査をしたらAI内視鏡で、すごく安心感がありました。妊娠、ゾンビ、選挙とかいろいろな事が詰まっている映画ですが、こういうことが近未来に来るんじゃないかという、はざまの部分を楽しんでいただけたら」と話した。
ヒロイン由里子を演じた中西は「AIに心を乗っ取られると大切な人生を狂わしてしまうんだと思います。撮影の2年前よりもAIが普及して、この作品が描いていることが起きるかもと思うようになりました。AIはチャットGTPで調べものをしたりします。いつ結婚するか聞いたら、30歳くらいらしいです(笑い)。本当に怖いのは、AIにゆだねてねてしまうこと、をおかしいと思わないこと。AIが身近になっているからこそ、本質を問われている」。そして「私の祖母が、私の80代の役で女優デビューしているので、それも見てくださいね」と笑顔を見えた。
ヒロイン由里子の姉・佳織役の二宮芽生(33)は「ミステリアスな役どころで、ヒロインのそばにいて全部を見ている人です。最初に台本をいただいた時は理解するのが難しかったけど、2回、3回と見ていただければ分かるんじゃないかと思います。私はAIが大好きで、スケジュール管理に使っています」と話した。
テレビ朝日の報道記者だった経験を生かして脚本、編集も担当した山根監督は「監督までやる気はなかった。AIが正しいかどうか判断できない世の中が怖い」。歌手河合奈保子(62)が作詞・作曲も手がけた1993年(平5)のアルバム「engagement」の収録曲「Wings Of My Heart」をテーマソングに起用。山根監督は「ファンでもなかったんですが」と照れながら「人を愛する気持ちをストレートに伝えていて、すごく歌がうまい。それでいただきました」と話した。