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【ネタバレ】全員が主人公!?の衝撃作<タイムリープ×青春ミステリ>映画『リライト』“唯と室井”の裏設定軸にも注目!松居大悟監督インタビュー


“SF史上最悪のパラドックス”として評判を呼んだこの衝撃作を松居大悟氏と上田 誠氏が初タッグで映像化した<タイムリープ×青春ミステリ>映画『リライト』が絶賛上映中。

史上最悪のパラドックス――
たった20日間だけの私の恋人。これは“私だけの物語”のはずだった。

本作は法条 遥による原作小説を実写映画化。高校3年生の主人公・美雪(池田エライザ)は、300年後からタイムリープしてきた未来人・保彦(阿達 慶)と出会い恋に落ちる。
7月21日、美雪は保彦からもらった薬を使ってタイムリープし、10年後の自分に2人を繋ぐ小説のことを伝えるのだった。そして未来へ戻る保彦と「この夏に起こった2人の物語を書き、必ず時間のループを完成させる」という約束を交わすが、10年後のタイムリープ当日、10年前の美雪は現れなかった。
誰かが過去を書き直したのか? 謎を探る中で驚愕の真実を知る、青春ミステリーです。

1冊の小説をめぐる<タイムリープ×青春ミステリ>映画『リライト』の監督は、『ちょっと思い出しただけ』(2022)や『くれなずめ』(2021)、『私たちのハァハァ』(2015)など、数々の青春映画で若い世代から圧倒的な支持を集める松居大悟氏。

脚本を手掛けたのは、松居監督の創作活動のきっかけとなった戯曲『サマータイムマシン・ブルース』他、“時間もの”で高い評価を獲得しているヨーロッパ企画の上田 誠氏。

上田脚本史上“最高に緻密な時間のパズル”として再構築し、松居監督が青春のもがき、輝き、そして感傷と希望で色鮮やかに綴り、史上最悪のパラドックス映画が誕生!

何度観ても新たな視点で楽しめる本作の見どころを松居大悟監督に伺いました!

※ネタバレとなっているため、気になる方はご注意ください。

実は亜由美が追っている室井軸「そのゴシップを保彦に言ったりしているんです(笑)」

――本作、とても面白く楽しませていただきました! 原作があるお話ですが、原作小説を読んだ感想や、上田 誠さんから映画化したいとお話を持ちかけられた時のお気持ちなどお聞かせください。

松居監督:元々僕は上田さんと長い付き合いで、ヨーロッパ企画のお芝居を観てこの世界に入ったので、いつか上田さんと作品を一緒にやるのが夢だということはお伝えしていて。
ある時に上田さんから原作の「リライト」を松居くんと映画にしてみたいとおっしゃっていただいたのが嬉しく、すぐに読みました。

ミステリーというのもそうだし、章によってどんどん主観が変わっていくし、それこそリライトしたら世界線が変わっていくので、どういう状況だ?と結構ページを戻ったりしながら読み進めて。読み物として面白いけど、これを映画でどう表現したらいいんだろう?と、最初は喜びと戸惑いの気持ちはありました。

――映画を観ていると、最初から結構サクサクとストーリーが展開するので、こんなに進んでいいのかな?と思ってしまって(笑)。

松居監督:20分で1本の映画分くらいのスピード感がある進み具合ですもんね(笑)。

――そうです、最初でもう青春をやりきるじゃないですか(笑)。

松居監督:そうそう、まずタイトルが出るまで1本の恋愛映画をやる。

――そこから驚きの展開が続き、やはりタイムリープが何周もあるので、映像化が大変だろうなと思ったのですが、どのように作られていったのですか?

松居監督:脚本に描かれているところ以外の部分で、クラスメイトそれぞれが何周目で、どういうところで出会って、きっとどういう日々を過ごしているっていうのは、こっちで設定は作りつつ、それぞれに過ごした時間を埋めてもらったりしたんですけど。

保彦がクラスメイトに出会う場所も、理科室や図書室、美術室みたいなところがあって、そこから茂的にはぶつからないように出会わなきゃいけないからここにしようって、学校の中で何か所も設定しなきゃいけない。
みんなそれぞれ自分が主人公だと思って演じてほしかったから、その裏設定を作ったのは途方もない作業でした。

――あれって本当に実際に全部33通り作っているんですか?

松居監督:そうですね。一瞬しか映らないんですけど、茂が夜中に書いている紙で「こいつは猫の餌をあげるところで出会う」みたいな時間軸と裏設定を全員分作りました。

――可能なんですね!

松居監督:いや、だからちょっとギリギリです(笑)。友恵の場所と鈴子の場所は近すぎるだろうみたいなのでちょっとニアミスしちゃう、というのはあったり。夏祭りに比べたらマシですけど、相当厳しかったです。

――映像では詳しくは出てこないですが、そういう設定もきちんと考えて、役者の方たちも頭には入れている部分があるのかな、と。それが大変そうだなと思いながら観ていました。

松居監督:大変でしたけど、でも無駄じゃないというか、その分で皆生きてくれたから、やっぱりそういうのって伝わるから、良かったなと思います。

――キャスティングについては、主演の池田エライザさんや阿達 慶さんなど、どうやって決めていったのでしょうか?

松居監督:基本的に保彦は高校生の年齢に近い役者さんがいいよね、と話していて。高校生と見せかけてメインはその10年後の話なので、クラスメイトの役者さんは10年後合わせでキャスティングしたかった。

だから、美雪含め20代後半の役者さんたちでどういう人がいいかな?というところで、エライザさんの名前が挙がりました。パッと見はクラスの中心にいそうだけど、でも、エライザさん自身がそんなに慣れ合ったりしないタイプの雰囲気を持っている。人は好きだけど自分の時間が流れていて、本を読んでいて……、みたいな設定がとてもしっくりきたので、エライザさんにお願いしようとなりました。

そこからオーディションをして、保彦役で阿達くんに出会って。他のキャストは20代で、自分が主人公の気持ちでお芝居をしてほしかったので、自分や上田さんの作品で主人公をやっている人がいいなぁ、とお声がけしました。

――茂役の倉 悠貴さんも重要なポジションですが、どう決まったのでしょう?

松居監督:倉くんもみんなで話している中で、茂役は結構重要だよねってなって。とてもいい役者さんというのは知っていたし、ちょっとてんてこ舞いになる倉くんの表情が絶対面白いだろうと思ったので。プラスちょっと責任感を感じて一生懸命やっていそうなイメージと、保彦と並びの雰囲気も含めて割とすぐにオファーした気がします。

――メインキャストの皆さんは、10年後と全く同じ役者さんが学生時代を演じていますが、それが本当に違和感がなくて驚きました。

松居監督:そう感じていただけたのなら良かったです。やっぱり全員の年齢を揃えると違和感がないんですよね。あれが実際の高校生と20代が混ざっていたらちょっと違和感が出てくるんですけど、20代中盤の人たちで固めたので、多分違和感がそこまでない。逆に保彦だけ浮いちゃうけど、でもそれはいいことだなと思って。

――みんなが主人公というテーマの中で、何かディレクションしたことはありますか?

松居監督:「君は何周目でどこで出会っていて、大人になったらこういう職業についている」みたいなことはお伝えして。でもそれ以外のこと、例えば保彦とどういうひと夏を過ごしたかは、それぞれに埋めてもらったりしました。

でも茂が全員に伝える時のみんなの絶望したり、腰抜かしたり、泣いたり怒ったりみたいなリアクションは、もっと出してくれと言いました。保彦と過ごした夏とその後の時間が伝わらないから、今の10倍やってください、と言ったと思います。

――また、阿達さん演じる保彦は、初めてのようなリアクションをとらなければならない、けれど実は何周もしている、という難しい役どころだったと思いますが……。

松居監督:今回は何周目だからどんな感じなのか、みたいなことは逐一話していましたね。前半周だったらいけると思いながらやっていて、中盤後半はだんだんちょっとだれてきて。でも最後の最後はもう様々な感情が混ざっていって。何周目でどういう感じでいくかは阿達くんと逐一相談しながら作っていたと思います。

――上田さんならでは脚本のポイントや、上田さんっぽさを感じた部分はありましたか?

松居監督:ずっとそうですけど、タイムリープをしていたり、パラドックスが起きたりしている時に、“パラドックスが起きていること”を真ん中に置くんですよね。
会話の中の「お前、2人いんじゃん」「2人どころじゃない」とか。ああいう台本の運びはとっても上田さんっぽいなと思いました。

そういうところを多分ヨーロッパ企画だったら笑いにしてムードの中心に据える。けれど、多分そこに依り過ぎると、時間の牢獄に立ち向かう話になってしまうけど、『リライト』はその後ろにあるそれぞれの想いや業、描かれない時間とかも含まれていたから、僕は上田さんっぽい素敵なセリフだなと思いつつ、台詞の背景が立ち上がるように心がけていた感じはあります。

――確かにコメディに振りすぎていないというか。会話の1つだけ切り取ってみたら、コメディとして成り立って笑いが起きてもおかしくないところが多いと思うのですが、全編通して、意外とコメディ過ぎる空気感はないですよね。

松居監督:コメディはめちゃくちゃ好きなんですけど、僕は映画においては同じところで笑う人もいれば泣く人もいて、安心する人もいていいと思っていて、見る方に感情の補助線を引かなくていい気がしているので。笑わせないようにはしてないけど、笑ってもいいし、どうなってもいいよみたいな。

――この物語は結構シリアスというか、後半にかけてミステリー感が強まるじゃないですか。なので、コメディしすぎると観ているほうも感情がブレちゃうのかなと思って。クライマックスのシーンも少しゾクッとしたので、コメディに振りすぎないバランスを意識されていたのかな、と。

松居監督:そこは塩梅として確かに難しかったかもしれません。

――本作は観終わってまた最初から見返すと、また違った視点で楽しめると思います。2回目、3回目と何度も観る人に見てほしいポイントや、何回も見ないと気づかないポイントを教えてください。

松居監督:いっぱいあるんですけど、唯と室井軸というのが多分15回目ぐらいじゃないと気づかないと思います(笑)。
森田 想さんが演じる桜井 唯と前田旺志郎さんが演じる室井大介の軸があるんですけど、室井がこっそり唯のことが好きなのかどうなのか、みたいなことが裏設定としてあって。それは本編の裏でずっと走っているんですけど、もう全然フィーチャーもしていないので(笑)。もしそれ目線で見ると、最後のアーケードのシーンがめっちゃ切ないです。

――へえ!それは学生時代も画面の端などで色々起こっているんですか?

松居監督:そう、ちょこちょこやっているし、大関れいかさんが演じる亜由美は、室井の気持ちを知っていて、ずっとそのゴシップをちょくちょく保彦に言ったりしているんです(笑)。そういうところに注目して観てもらえるとまた面白いかもしれませんね。

――では、今回の作品も経て、今後どんな作品を作りたいですか?

松居監督:自分の描く作品って、割と自分と同時に成長してきた感があって。だから、初期の頃は学園モノをやって、だんだんと恋愛とか、ちょっとだけ30歳前後の人たちをやって、今回は17歳と27歳っていうのをやって。そうですね、実年齢に近い作品をやりたいですかね。

――では、40歳前後のお話ですか?

松居監督:とは言いつつ違うものをやっている気もしますが。でも、宇宙モノとかやりたいです。届きそうで届かない未来のものを、自分たちの半径5メートルぐらいの世界で考えたり触れたりとか。自分の脚本デビュー作が、女子高生が宇宙飛行士を目指す『ふたつのスピカ』というドラマで、ああいった雰囲気の映画はいいなぁと思います。あと、ヒーローものとか。

――いいですね、宇宙モノ、ヒーローもの、宇宙ヒーローものも楽しみにしています!

松居監督:頑張ります(笑)。


・映画『リライト』本予告 | 2025年6月13日(金)公開
https://www.youtube.com/watch?v=VPtlFVQBDS8

作品情報

映画『リライト』
全国公開中
出演:池田エライザ、阿達 慶、久保田紗友、倉 悠貴、山谷花純、大関れいか、森田 想、福永朱梨、若林元太、池田永吉、晃平、八条院蔵人
篠原 篤、前田旺志郎、長田庄平(チョコレートプラネット)、マキタスポーツ、町田マリー、津田寛治、尾美としのり、石田ひかり、橋本 愛

監督:松居大悟 脚本:上田 誠 原作:法条 遥 『リライト』 (ハヤカワ文庫)
主題歌:Rin 音 「scenario」(ROOFTOP / ユニバーサル ミュージック) 音楽:森 優太
製作:河野 聡 菊池貞和 後藤利一 垰 義孝 村松秀信 牧田英之 早川 浩
エグゼクティブ・プロデューサー:佐々木 新 清水一幸 鈴木孝明 川上修弘 増田佳子 早川 淳
撮影:塩谷大樹 照明:藤井 勇 録音:竹内久史 美術:相馬直樹 装飾:中村三五 衣裳:神田百実 ヘアメイク:風間啓子
編集:瀧田隆一 音響効果:松浦大樹 キャスティング:川村 恵 助監督:相良健一 製作担当:斉藤大和
プロデューサー:岡田直樹 ライン・プロデューサー:石井智久 音楽プロデューサー:松田隼典 コ・プロデューサー:加倉井誠人
製作・配給:バンダイナムコフィルムワークス
(C)2025『リライト』製作委員会

■公式サイト:https://rewrite-movie.jp/
■公式 X:@Rewrite_movie / 公式 Instagram:@rewrite_movie
※推奨ハッシュタグ:映画リライト

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