
歌手石川さゆり(67)が9日放送のカンテレ「おかべろ」(土曜午後2時28分=関西地区)に出演。マリナーズなどで活躍したイチロー氏(51)が、自身の登場曲としていた「天城越え」にまつわる秘話について明かした。
イチロー氏は、2008年から打席に入る際の登場曲として、石川の代表曲の1つである「天城越え」を使用していた。
石川によると、きっかけとなったのは、イチロー氏が大みそかの「NHK紅白歌合戦」を視聴した際に、石川の「津軽海峡・冬景色」の歌唱を聞いたことだった。同曲を登場曲にしたいと思ったイチロー氏は、翌年1月に神戸で行われた石川のコンサートに来場。そこで「天城越え」を聞き、「これから自分が記録を更新していくのにいい」と考えて、「『天城越え』をお貸しいただけませんか?」と要望を伝えた。
石川も「ああ、うれしいなと思って。『もちろん使ってください』って」と快諾。「どうせ使っていただくんだったら、プレゼントさせていただきたいなと思って。『天城越え』のアレンジを入れて、作ってお送りしたんです」と、新たに録音してプレゼントした。
ところが「(イチロー氏から)お返事がきまして。普通は『ありがとう』ですよね? そしたら、そうじゃなくて『いや、僕はあの音ではちょっと記録を出していけません』って。『ええ~っ』と思って」とまさかの“ダメ出し”があったという。
「『どういうのがいいですか?』ってイチローさんに聞いた時に、『地鳴りがするような、そういう音で僕は出ていきたい』って」とリクエストもされたと明かした。
そこで、石川は親交のある元「メガデス」のギタリスト、マーティ・フリードマンらに声をかけ、「お友達に集まってもらって、もう1回作り直しして…」とアレンジをやり直し。
今度こそ「地鳴りがするような」曲に仕上げると、「それでもう1度送らせていただいたら、(イチロー氏が)『これで僕、記録を伸ばしていけます』っておっしゃったので…。すごいですよね」と笑顔で振り返った。
これに、NON STYLE石田明(45)は「正直、1回目のダメ出しが入った時は『おっ?』ってなりませんでした?」と問うと、石川は「なりましたよね。だって一生懸命、私もみんなミュージシャンを集めて作って…」と苦笑。
「でも変な妥協でバッターボックスに登場していただくよりも、『これじゃないんです』って言ってくださるイチローさんがすてきだなって。そのこだわりと、結果として記録を伸ばしてくださったことがうれしいって思って」と話していた。