
日本生まれで中国、米国にもルーツをもつノゾミ・リン(24)が22日に、今年デビュー60周年を迎えたシンガー・ソングライター加藤登紀子(81)プロデュース曲「渡り鳥の子守歌」で配信リリースデビューすることが8日、分かった。同曲は業界初となる日本語、中国語、英語の3カ国語同時リリース。CDは9月17日発売だ。
加藤は23日、出生地の中国・ハルビンで60周年記念コンサートを行う。その実現に尽力したのが、リンの母だった。加藤には「そこでは若いアーティストを紹介するような機会にしたいというのがあった」。
音楽活動をしているリンに同曲のデモテープを送ると、感動的な歌声が戻ってきた。「すごく良くて、テイチクのスタッフに聞かせたら『リリースしましょう』となった」という。「だから、会う前から耳友達なんです」と笑った。
ボーカルとギターだけのデモテープを聴いたリンは「もう涙が…」と振り返った。「自分の人生に、すごく合っている曲だなと思った」と続け、「自分の心の思いと同じストーリーで、本当にびっくりしました」と明かした。
「明日の見える地図はどこにもない」。詩の冒頭がテーマだ。だが、「旅をすると、なぜか決まっていたような不思議な感じがする」。加藤はそんな感覚を楽曲に込め、リンはそれを自分の人生と共鳴させた。
リリース翌日、リンもハルビンのステージに立つ。「本当に光栄で夢を見ているようです」。その上で「登紀子さんは英語で言うとmenter(指導者)」とした。「いろんなことを教えてくれる先生みたいな感じですが、先生とも少し違う。人生とか、道とか、そういったものを教えてくれる」とし、「登紀子さんのパフォーマンスを見るのもすごく楽しみで、そこでいっぱい学びたい」と意気込んだ。
Z世代のリンが“渡り鳥”のように国境を越えて羽ばたく。
◆ノゾミ・リン 2000年(平12)11月6日、東京生まれ。幼少期を日本と中国、高校はカナダ・バンクーバー、大学・大学院は米・ニューヨークで過ごし、現在はロサンゼルス在住。11歳で作曲を始め、18年に4曲入りアルバム「WEST COAST」をインディーズで配信リリース。