吉沢亮(31)が23日、都内で行われた主演映画「国宝」(李相日監督、6月6日公開)完成報告会に出席した。
吉沢は、24年12月30日に自宅マンションの隣室に無断で侵入した疑いで、警視庁から任意で事情を聴かれる騒動を起こし、示談も成立し2月3日付で不起訴となっていた。15日には京都の東寺で行われたフランスのブランド「ディオール」の2025年フォールコレクションのファッションショーに、ビューティアンバサダーとして登場したが、一連の騒動後、会見や報告会に出るのは初めて。
吉沢は登壇時にメディアに向かって、一礼すると、左右を見渡した。緊張の面持ちで、口元はややこわばっていたが、横浜と会話を交わした後「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。本日は、最後までよろしくお願いします」とあいさつした。
「国宝」は、作家・吉田修一氏の同名小説の映画化作品。同氏が自ら、本作の歌舞伎指導も務めた中村鴈治郎の元で3年間、歌舞伎の黒衣をまとい、楽屋に入った経験を血肉にし、書き上げた作品の映画化。吉沢は、任〓(人ベンに峡の旧字体のツクリ)(にんきょう)の一門に生まれながらも、抗争で親が殺され、歌舞伎役者の家に引き取られて芸の道に人生をささげた主人公・喜久雄の50年を演じた。
吉沢は「この作品は、撮影期間を含めると1年半…歌舞伎の稽古を重ねて役と向かってきた。1年半、1つの役に向き合うのは、やろうとしてもできない」と撮影を振り返った。「どの作品も全力でやっていますけど、かけた時間、労力も桁違い。僕のここまでの役者人生の、確実に集大成。培った全てをぶつけた作品」と力を込めた。
劇中では、歌舞伎も実演する。「役者という、〓(繋の車の下に凵)がる部分はあるにしても(歌舞伎役者は)全く違う世界だと感じた。我々は人間の人生を演じ、生きるわけですけど、歌舞伎俳優は芸を生きる覚悟」と役者と歌舞伎役者の違いを強調。「何年、何十年も積み重ねるものを1年半…足元にも及ばないことは分かりきっていますけど、技術的には足りないところはたくさなりますけど、ガムシャラな精神…意地を見て欲しい」と見どころを力説した。
作品は、既に「2回、見ました」という。「いろいろな思いがあったので、1回で全ての思いを処理できず…とにかくすごいものを見た余韻がある。総合芸術としての素晴らしさがある。純粋にエンターテインメントとして楽しめる、最高の作品ができた」と胸を張った。
「国宝」は、世界3大映画祭の1つ、第78回カンヌ映画祭(フランスで5月13日開幕)監督週間に出品が決まった。監督週間は、カンヌ映画祭に併設して開催される独立部門で、フランス監督協会が主催する。吉沢は、出品の報告を、京都のディオールのイベントに、ともに出演していた横浜と喜びを分かち合ったという。吉沢は「竜星とお仕事している時に発表。運命じみたものを感じた。日本の誇れる文化が世界に発信される。どう評価されるか…楽しみ」と期待。横浜は「映画人としてカンヌは憧れの場所。京都で喜びを分かち合った。我々、魂を込めた作品…どう感じてもらえるのか楽しみ」と期待した。
この日は、渡辺謙(65)、高畑充希(33)、寺島しのぶ(52)、森七菜(23)、見上愛(24)、田中泯(80)も登壇した。