
2013年(平25)に90歳で亡くなった、三国連太郎さんの十三回忌法要が命日の14日、都内の角川大映スタジオで開かれた。
長男の佐藤浩市(64)は「つい、この間、七回忌だったなと思ったら、もう十三回忌。月日がたつのは早いなと。やはり、三国連太郎(本名の)佐藤政雄という人には、スタジオが一番、似合うんじゃないかと思いまして、ここで行わせていただきます。三国がカメラの前で、ブイブイ言わせていたのは四半世紀前ですが」と、スタジオで開催した意味を語った。その上で「最後まで、三国の話をして盛り上がっていただきたい。できれば、笑い声が雲の上まで届くように、力強い話を聞かせていただいて…そのためには、故人をやゆしても構わないと思います.雲の上で聞かせてあげたい」と会の趣旨を語った。
この日は、三国さんとゆかりのある小林薫(73)渡辺えり(70)永瀬正敏(58)羽田美智子(56)浅田美代子(69)吉岡秀隆(54)「釣りバカ日誌」シリーズの朝原雄三監督(60)石橋蓮司(83)北大路欣也(82)が登壇。各年代で出会った、それぞれの三国さんとのエピソードを明かした。それを佐藤と、孫で佐藤の長男の寛一郎(28)が檀上で聞くスタイルを取った。
羽田からは、三国さんと佐藤が俳優として本格的に初共演し、自身はヒロイン役で出演した、1996年(平8)の映画「美味しんぼ」(森崎東監督)撮影時の秘話が明かされた。羽田は「『2人の間に入った時に、あまり気を使わない、ボーッとしている人だから…よろしくね』というような感じで」と、キャスティングされた際に製作側から言われた言葉を口にした。そして「実際、緊張はしたんですけども、浩市さんも三国さんも私の目には、とっても普通の、本当に愛し合っている親子にしか見えなかった」と語った。
佐藤が5歳の時に三国さんが母と離婚したこともあり、2人の間には確執が続いたとされた。三国さんの指名で佐藤が出演した「美味しんぼ」では、演じた美食倶楽部の主宰者・海原雄山と、息子で新聞記者の山岡士郎も深い確執があり、実際の親子関係を地でいくような役を演じたことも当時、話題を呼んだ。96年2月の会見では、佐藤が「本当の親子かどうかは、オヤジの臨終の際に分かること」と言えば、終了後の写真撮影で「握手を」と求められたが、2人とも無視。カメラの前では、栗田ゆうこを演じた羽田を挟んだまま、ツーショットになることはなかった。
羽田は、三国さんからかけられた「息子が、お世話になりますね。うちは、ちょっと普通の家庭とは違うんで、息子にはふびんな思いをさせたと、私もいろいろ思うんですよ」との言葉を明かした。さらに「浩市さんが芝居されている姿を、見えないところで、ずっと確認している姿を目撃していましたし、浩市さんも三国さんのことを、とても信頼されていた」と現場での父子の様子を振り返った。そして「マスコミの方たちが、確執だとか、いろいろ、おっしゃっていることは全然、現場では感じなかった」と明かした。
佐藤は、司会の笠井信輔(62)から、当時のことについて聞かれると「羽田さんが、おっしゃってくださったんですけど、僕の方がピリピリしていた感じ。三国と、こうやりたい、ああやりたいという話をしながら、やっていた。あれを、やっていなかったら、どのみち、後悔したと思う」と振り返った。「2人は、あの作品を越えて、わだかまりは解けていった?」と聞かれると「わだかまり…実際に皆さんが言うような、確執なかったです」と振り返った。「でも、やっぱり…ちょっと、反発する。同じ道を選んだ人間として、そういった感じは、あったかも知れませんね」と語った。