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3月2日に開催される第97回アカデミー賞で、最多13部門にノミネートされているミュージカル「エミリア・ぺレス」に主演するトランスジェンダー女優カルラ・ソフィア・ガスコン(52)。彼女が過去にSNSに投稿した差別発言が物議を醸す中、ネットフリックスが初めて公式コメントを発表した。
性別適合手術を受けて女性として新たな人生を歩む犯罪組織の元ボスを演じたガスコンは、トランスジェンダーを公表した女優として初めて主演女優賞にノミネートされる快挙を成し遂げた。しかしその後、過去に反イスラム主義や人種差別的な投稿をしていたことが発覚。共演する女優セレーナ・ゴメスに対するヘイトスピーチも含まれており、授賞式を前に波紋を広げていた。
ネットフリックスは、この騒動で映画とは別の方向に話題がいってしまったことで「ノミネートや受賞した賞の数々が台無しになってしまい、残念」とコメント。過去の差別発言について事前に把握していなかったことへの批判に対しては、数万人規模の出演者やスタッフのSNSを毎日チェックすることは現実的に厳しいと述べる一方、プロセスの見直しを検討していると明かした。
ガスコンはX(旧ツイッター)のアカウントを閉鎖し、謝罪声明も発表しているが、賞レースに暗い影を落とし、助演女優賞にノミネートされているゾーイ・サルダナやメガホンを取ったジャック・オーディアール監督らからも「許しがたい」と厳しい批判が寄せられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)