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「阪神タイガース THE MOVIE ~猛虎神話集~」サンテレビ50年の秘蔵VTRから虎の歴史をプレイバック


2020年、球団創設85周年を迎える阪神タイガース。

このメモリアルイヤーにドキュメンタリー映画「阪神タイガース THE MOVIE~猛虎神話集~」を制作、2020年2月14日から全国公開される。

50年の永きに渡り阪神戦を中継してきた関西ローカル「サンテレビ」が所蔵する名シーン・㊙映像を中心に、8つの“神話”と称して内容をセレクト。江夏豊の日本プロ野球史上初となる延長ノーヒットノーラン(1973年)を皮切りに、バース、掛布、岡田によるバックスクリーン3連発(1985年)、そして現在の矢野タイガース“新世代のニュースター”までが登場し、これまで語られることのなかったエピソードなどを蔵出し映像とインタビューを主としてスクリーンに映し出す。また、現役選手やOBだけでなくタイガース愛が深い著名人が多数登場し思い出を熱く語る。

ナビゲーターは元ミスタータイガース掛布雅之さん、ナレーションは熱烈虎党・石坂浩二さんが務める。

オールドファンはもちろん、若い阪神ファンには虎の歴史を知る上でも観て損はない作品になるのではないだろうか。

サンテレビジョンって?

映像を提供するのは1969年開局の兵庫県神戸市にあるローカルテレビ局「サンテレビジョン」。いわゆる民放キー局ではないが関西圏では最も親しまれている超メジャー局といって過言ではない。兵庫県、大阪府の全域と近隣の6府県の一部など、関西圏の約1720万人、約750万世帯をカバーする独立局である。

ただし、知名度は関西のみならず全国の阪神ファンならほぼ周知されていて、プロ野球ファンでも相当数はその名を一度は聞いたことがあるはず。

開局時から阪神を中心に関西圏チームの試合を中継してきた。驚くのは地上波なのに試合開始のプレイボールからゲームセットまでを完全中継してくれる所。またキー局が21:00以降に中継放送を終了した後を引き継いで、最も見たい試合終了までを中継してくれること(※名称はトップ&リレー中継)等々、2019年まで50年間、関西の野球ファンから愛され続けてきた。

【サンテレビボックス席】

野球中継の番組名は「サンテレビボックス席」、これは50年間ずっと変わらない。2019年は、阪神主催試合は完全生中継28試合、朝日放送とのトップ&リレー中継が9試合の合計37試合、ビジターゲーム25試合を放送した。近年は年間約65試合前後の中継を手掛けている。

試合開始から終了までの完全生中継は「スコアブックが書ける中継」と呼ばれ、攻守交代や投手交代などの際に入るCMも60秒、90秒と長さを考え、一球たりとも放送に欠けないよう配慮。全てのプレイが映るよう完全中継することをモットーとしているそうだ。また主催ゲームの7回表終了後はすぐにCMを入れず、阪神ファンが打ち上げるジェット風船のシーンを必ず映し出すようにしている。

【伝説?都市伝説?】

『日本一の年に』

1980年代くらいから民放の野球放送が21:30頃まで延長されるようになった。それでも試合終了まで収まらないことは多かった。ファンは試合終了まで見たいのが当たり前だ。

そこで、1985年から朝日放送の中継終了後、試合が続いている場合はサンテレビが引き継いで試合終了までを放送する“トップ&リレー中継”をスタートさせた。この年は、阪神が21年ぶりのリーグ優勝を果たし日本に一大トラフィーバーを起こした。当然、強い阪神が勝利するゲームセットの瞬間を見られるわけで、従来の完全中継はもちろんサンテレビは高視聴率を次々にマークした。サンテレビは持っていた(笑)。

『敵か味方か!?』

1973年10月22日の阪神対巨人デーゲーム(甲子園球場)。勝ったほうがリーグ優勝という大一番で阪神は0-9で大敗する。悲願の優勝を逃したばかりか、憎き巨人に9連覇を決められたとあって試合終了直後から阪神ファンが暴徒化。三塁側ベンチの巨人ナインばかりか、よみうりテレビのテレビカメラや記者までも襲撃、マスコミ関係者の多くも被害を受けた。もちろんサンテレビでも中継していたが、「サンテレビは俺たちの味方や」というファンの一声で難を逃れた。

『庶民的テレビ局』

ネット社会になり様々な情報が即座に手に入る世の中になったが、今でもサンテレビには阪神に関する質問や問い合わせの電話が多く寄せられるそうだ。

「今日の先発投手は誰?」「今日は阪神戦あんの?」「あの場面で監督はなんであんな采配をしたんや?」「なんでこの頃の阪神は弱いの?」といった具合で、それを聞かれても・・・という内容も多いらしい。でも、サンテレビでは出来得る限り応対しているそうだ。エライ。

こういったサンテレビ伝説はまだまだあると思うけど以上でやめておく・・・。

阪神タイガースという娯楽ジャンル

阪神タイガースは2020年で球団創立85周年を迎える。

阪神は巨人に次ぐ長い歴史を誇る球団だが、残念ながら成績には段違いの差がある。伝統の一戦などと呼ばれる阪神対巨人だが、対戦成績は(阪神823勝1074敗17分)大きく負け越し、優勝の数なんてここに書いて比べるのも嫌になる。

ただし知ってほしい、球団通算成績は10,641試合 5,319勝 5,004敗 318分 勝率.5153

これは巨人に次いで勝利数、勝率共にリーグ2位なのだ。

それでも2リーグ分裂後、阪神はリーグ優勝5回、日本一はたった1回だけ(楽天と同じ。他球団は全て2回以上)。

[ファンの悩みのタネ]

全体的に見れば好成績であるにも関わらず阪神ファンを悩ませるのは、優勝へあと一歩のところでコケたり、選手の獲得がうまくいかなかったり、内部のお家騒動が多かったり、等々、なんだか関西特有とも言うべきオチが付ついてしまい、結局ファンの期待を裏切るケースが多いこと。

阪神ファンほど自分がオーナーか監督か!?というくらいチーム作りを本気で考えている人はないと思う。でも、そんなファンの気持ちと球団の強化方針に大きなギャップができて埋まらないジレンマが酷いというのも“阪神あるある”である。

[それでも阪神を愛す]

最近は緩和されているが、特に昭和時代の阪神ファンはガラが悪く野次がひどかった、特に阪神選手に対する野次がえげつなかった。でもそれは“愛情の裏返し”だと言う人は多い。負け続けても甲子園が客で埋まるから「甘やかさないように甲子園へ行くのをやめよう」という運動が起こった事もあった。若い選手がちょっと活躍したくらいで新聞に一面報道すると「天狗になるからやめろ」と戒めるケースは今でも多い。

出来の悪い子ほど可愛いというが、クソだのボケだのと野次り罵り、負け続けて「阪神ファンなんかやっとれんわ」とぼやき、悔しくて歯がゆくてじれったくてムカついて悲しみ怒りながらも、やっぱり嫌いになりきれず、気がつけばメガホンを叩いて応援し、勝てば六甲おろしを口ずさんでしまう。やっぱり還る所はタテ縞。そんなファンが関西だけならまだしも全国にたくさんいるというからいじらしい。

昭和の時代、巨人戦以外はガラガラだった甲子園のスタンドも、ファンサービスに力を入れた甲斐あって今や平日でも満員御礼になるほど。阪神の観客動員数は12球団上位を誇り、ビジターでもアウェーをホームに変えてしまうほどのファンが客席を埋めるドル箱カードとなっている。

[もはやレジャー感覚]

阪神にはお世辞にも“栄光の歴史”が多いと言い難い(まあ巨人以外は全部そうだけど)。だからか、今回の映画サブタイトルに『神話』という言葉を使った。そう、神話ならいっぱいある、ウマい!

あえて言うが、観客動員が見込めると踏んで、球団の歴史を振り返る映画を全国公開できるチームは他にあるだろうか? おそらく今の巨人でも難しいのではないか。

この決断の源は、どんな事があっても結局は応援してくれるファミリーのようなファンが全国に大勢いるからだ。もはや「阪神タイガース」はプロ野球の1チームという存在ではなく娯楽ジャンルの一つとして一本立ちされているように思えてならない。

映画では、村山対長嶋、江夏対王、といったライバル対決神話、ミスタータイガース田淵、掛布のホームラン王神話が見られるだろう。

チームが大低迷した‘90年代の長い暗黒神話。

’03、‘05年のチーム改革優勝神話。

そして新しい令和という時代に向け常勝神話を創るべく。

サンテレビがしたためる50年のVTRと、虎の歴史85年分の魅力が詰まったドキュメンタリームービーを観て心を震わせ

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